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用語集 / 民事訴訟法 / 裁判上の自白の成立要件

裁判上の自白の成立要件(口頭弁論等での陳述・相手方の主張と一致・不利益・主要事実)とは

さいばんじょうのじはくのせいりつようけん

民事訴訟法 訴訟行為・攻撃防御

裁判上の自白とは、口頭弁論又は弁論準備手続において、相手方の主張と一致する自己に不利益な事実を認める陳述のことです。不利益とは相手方が証明責任を負う事実を認めることをいうとするのが判例の一般論で、自白の対象は原則として主要事実です。

貸金返還の訴訟で被告が「お金を借りたことは認めます」と言えば、原告は貸付けを証明しなくてよくなり、裁判所もその事実を前提に判断します。争いのない事実まで証拠で確かめるのは無駄ですし、当事者が自分に不利なことを認めた以上、その責任を負わせてよいからです。ただし、どんな発言でも自白になるわけではありません。弁論の場で、相手方の主張と一致する、自分に不利益な主要事実を認めたときに限って、裁判上の自白が成立します。

法廷の口頭弁論の場面。原告代理人(札「原告」)が立って「被告に100万円を貸し付けました」と述べている。被告代理人(札「被告」)が立って「貸付けの事実は認めます」と答えている。裁判官席に先生が裁判官役(札「裁判所」)として座り、書記官席の調

裁判上の自白は、口頭弁論又は弁論準備手続で、相手方の主張と一致する自己に不利益な事実を認める陳述です

裁判所において当事者が自白した事実は、証明することを要しません(179条)。ここでいう自白(裁判上の自白)が成立するには、①口頭弁論又は弁論準備手続における弁論としての陳述であること、②相手方の主張する事実と一致すること、③自己に不利益な事実であること、④原則として主要事実であること、が必要です。②について、自分から先に不利益な事実を述べた場合は、相手方がそれを援用して主張が一致したときに自白が成立します。所有権に基づく建物明渡請求で、原告が自ら進んで被告との賃貸借契約の締結を述べた事案で、「これを被告が援用すれば,賃貸借契約締結の事実につき裁判上の自白が成立する」という肢は正しいです。反対に、被告が援用しなかった場合について、「被告は,その期日において,当該建物は被告が所有するものであるとして,これを援用しなかった。この原告の陳述について,裁判上の自白が成立する」という肢は誤りです。援用されない不利益陳述の扱いは、主張共通の原則の語で扱います。④の主要事実に限るかという点は、間接事実・補助事実の自白の語で扱います。

  • 場口頭弁論又は弁論準備手続における弁論としての陳述です。当事者尋問での供述や訴訟外の発言は当たりません
  • 一致相手方の主張する事実と一致することが必要です。先に述べた不利益陳述は相手方の援用で一致します
  • 不利益相手方が証明責任を負う事実を認めることです(判例の一般論)
  • 対象主要事実です。間接事実・補助事実・法的評価の自白は裁判所を拘束しません

当事者尋問の中で不利な事実を認める供述をしても、裁判上の自白にはなりません

自白は、当事者が訴訟資料を提出する弁論としての陳述です。当事者尋問での供述は、当事者を証拠方法として調べた結果である証拠資料で、弁論ではありません。そのため、当事者が尋問の中で相手方の主張を認める供述をしても、裁判所はそれを証拠の一つとして評価するにとどまり、自白は成立しません。原告本人尋問で弁済の事実を認めた事案で、「弁済の事実につき裁判上の自白が成立する」という肢は誤りです。被告が当事者尋問で借受けを認めた事案で、「被告は,当事者尋問において,原告から100万円を借り受けたことを認めるとの陳述をした。この被告の陳述について,裁判上の自白が成立する」という肢も誤りです。「当事者が本人尋問の際に自己に不利な事実を認める旨を陳述したとしても,裁判上の自白とはならない」という肢は正しいです。原告本人尋問で被告の抗弁の賃貸借契約締結を認めた事案で、「裁判所は,その陳述に反する事実を認定することができない」という肢は誤りです。

法廷の証言台の場面。証言台に原告本人の男性(札「原告本人(尋問中)」)が立ち、吹き出し「確かに、被告から返してもらったことはあります」。裁判官席の先生(札「裁判所」)の吹き出し「これは尋問で出た供述だから証拠として評価します。弁論での陳述で

不利益とは相手方が証明責任を負う事実を認めることなので、抗弁事実を原告が認めれば原告の自白が成立します

「自己に不利益な」の意味について、判例の一般論は、相手方が証明責任を負う事実を認めることだとする証明責任説に立つと説明されています(最判昭和54年7月31日など)。これに対し、その事実に基づいて判決されると自分が全部又は一部敗訴することになる場合をいうとする敗訴可能性説もあります。証明責任説によれば、自白は請求原因事実についての被告の自白に限られず、被告が証明責任を負う抗弁事実を原告が認めれば原告の自白が成立します。所有権に基づく建物明渡請求で、被告の抗弁である賃貸借契約の締結を原告が認めた事案について、「原告がこれを認める旨の陳述をしたときは,賃貸借契約締結の事実につき裁判上の自白が成立する」という肢と、「裁判所は,賃貸借契約締結の事実が存在することを判決の基礎としなければならない」という肢は正しいです。10年の取得時効の請求原因に対し、被告が主張した原告の占有開始時の悪意(民法186条1項で善意が推定されるので被告が証明責任を負う抗弁事実)を原告が認めた事案でも、「原告は,その期日において,被告が主張をしたこの事実を認めるとの陳述をした。この原告の陳述について,裁判上の自白が成立する」という肢は正しいです。反訴で時効取得を主張する被告が、原告の主張する賃貸借に基づく占有開始を認めた場合も、他主占有であることは原告が証明責任を負う事実なので、反訴の関係で被告の自白が成立し、「被告は,その期日において,原告から当該土地を賃借したことを認めるとの陳述をした。この被告の陳述について,裁判上の自白が成立する」という肢は正しいです。反対に、自分が証明責任を負う事実を自分で主張しても自白にはならず、相手方がそれを援用しても主張した者は拘束されません。被告が占有権原として使用貸借を主張し、原告がそれを援用して使用貸借の終了を主張した事案で、「被告は,使用貸借契約に関する主張を撤回して,当該建物の占有が賃貸借契約に基づくものであると主張することができない」という肢は誤りです。

相手方の主張と一致していても、契約の要件事実の一部だけを認めたにすぎないときや、人事訴訟では、自白は成立しません

自白は、相手方が主張する主要事実と同じ事実を認めるものでなければなりません。消費貸借契約の締結は、金銭の返還の合意と金銭の交付からなるので(民法587条)、被告が金銭の受領を認めただけでは返還の合意を認めたことにならず、消費貸借契約締結の自白は成立しません。「被告が原告の主張する額の金銭の受領を認める旨の陳述をしたときは,金銭消費貸借契約締結の事実につき裁判上の自白が成立する」という肢は誤りです。また、人事訴訟では、身分関係を当事者の意思で決めることは公益に反するので、裁判上の自白の規定が適用されません(人事訴訟法19条1項)。親子関係不存在確認の訴えで被告が両親の別居の事実を認めた事案について、「この事実につき裁判上の自白が成立する」という肢は誤りです。認知の訴えで被告が父子関係の存在を認めた事案で、「裁判所は,その陳述に反する事実を認定することができない」という肢も誤りです。共同訴訟人や補助参加人がいる訴訟で一人の自白がどこまで効力を持つかは、後半の共同訴訟・補助参加・独立当事者参加の語で扱います。

民事訴訟法179条

裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。

民法186条1項

占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。

論文ではこう使う

論文では、ある陳述に自白が成立するかを、場(弁論としての陳述か)・一致・不利益・主要事実の4要件で順に当てはめます。特に不利益については、証明責任説と敗訴可能性説を対比し、判断基準が明確であることを理由に証明責任説を採るのが標準的です。そのうえで、抗弁事実を原告が認めた場合や反訴の請求原因事実を認めた場合のように、誰が証明責任を負うかで自白の主体が変わることを、要件事実の配置から説明します。自白が成立すれば裁判所拘束力と撤回制限が生じるので、効力と撤回の論点へつなげます。

試験ではこう問われる

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