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用語集 / 民事訴訟法 / 訴えの3類型

訴えの3類型(給付・確認・形成)と請求の趣旨とは

うったえのさんるいけいとせいきゅうのしゅし

民事訴訟法 訴えの提起

訴えの3類型とは、原告が求める判決の中身によって訴えを分けた、給付の訴え・確認の訴え・形成の訴えの三つをいいます。給付の訴えは被告に給付を命じる判決を、確認の訴えは権利や法律関係の存否を確認する判決を、形成の訴えは判決の確定によって法律関係を変動させる判決を求めるもので、原告はどれを求めるかを訴状の請求の趣旨で示します。

お金を貸した相手が返さないとき、裁判所に求めたいのは「払え」という命令です。他方で、土地が自分のものかどうかだけをはっきりさせたい人もいれば、離婚のように判決で関係そのものを変えてほしい人もいます。民事訴訟は、原告が求める判決の中身に応じて、給付の訴え・確認の訴え・形成の訴えの三つに分かれます。原告は訴状の請求の趣旨でどの判決を求めるかを示し、裁判所はその申立ての範囲で判断します。

裁判所書記官室の受付カウンターの場面。カウンターに訴状が3通並び、それぞれの請求の趣旨欄が拡大して見える。左の訴状「被告は、原告に対し、1000万円を支払え。」、中央の訴状「原告が甲土地の所有権を有することを確認する。」、右の訴状「原告と被

給付の訴えは給付判決を、確認の訴えは確認判決を、形成の訴えは形成判決を求める訴えです

給付の訴えは、被告に一定の行為(金銭の支払、物の引渡し、登記手続など)を命じる給付判決を求める訴えで、確定した認容判決は強制執行の根拠になります(民事執行法22条1号)。確認の訴えは、権利や法律関係の存否を確認する確認判決を求める訴えで、判決は既判力で争いに決着を付けるだけで執行力はありません。確認の対象は理屈の上ではいくらでも広がるので、訴訟で取り上げる値打ちがあるかを確認の利益で絞ります。形成の訴えは、判決が確定して初めて法律関係が変わる形成判決を求める訴えで、離婚の訴え(民法770条)や株主総会決議取消しの訴えのように、法律がその訴えを認めている場合に限って起こせます。実体法上の形成権(取消権・相殺権など)は意思表示だけで効果が生じるので、判決を待たなければ効果が生じない形成の訴えとは仕組みが違います。

  • 給付の訴え給付判決を求めます。認容判決は既判力に加えて執行力を持ちます
  • 確認の訴え確認判決を求めます。確認の利益がなければ訴えは却下されます
  • 形成の訴え形成判決を求めます。法律に定めがある場合に限られ、判決の確定で法律関係が変わります

請求を棄却する判決は、どの類型の訴えに対するものでも確認判決です

三つの類型は、原告が勝ったときにどんな判決になるかで分けたものです。原告が負けて「原告の請求を棄却する。」という判決が出たときは、給付の訴えでも形成の訴えでも、原告の主張する権利や形成原因がないことを確認する判決になります。離婚の訴えでいえば、請求を認容する判決は婚姻を解消する形成判決ですが、請求を棄却する判決は離婚請求権がないことを確認する確認判決です。「Xの請求を認容する判決と,これを棄却する判決とは,いずれも形成判決である」という肢は誤りです。

法廷の場面。裁判官席の先生(札「裁判所」)が判決書を2枚持ち、左手の1枚に「原告と被告とを離婚する。」、右手の1枚に「原告の請求を棄却する。」と書かれている。左の判決書の下に札「形成判決」、右の判決書の下に札「確認判決」。当事者席に男性2人

形成判決の効果は、さかのぼって生じるものと、将来に向かってのみ生じるものに分かれます

形成判決の効果がいつから生じるかは、それぞれの訴えを定めた実体法が決めています。認知の訴えでは認知は出生の時にさかのぼって効力を生じ(民法784条)、株主総会決議取消しの訴えの認容判決も決議の時にさかのぼって効力を失わせると解されています。これに対し、婚姻の取消しは将来に向かってのみ効力を生じ(民法748条1項)、会社の設立無効の訴えなど会社の組織に関する訴えの多くは、認容判決の確定によって行為が将来に向かって効力を失います(会社法839条)。積み重なった法律関係を一度に覆すと混乱が大きい場面で、効果を将来に限っているのです。「形成訴訟において請求を認容する判決には,遡及して形成の効果を生ずるものと,将来に向かってのみ形成の効果を生ずるものとがある」という肢は正しいです。

原告は請求の趣旨で判決の類型を指定し、裁判所は別の類型の判決をすることができません

請求の趣旨は、原告が求める判決の結論部分を書く訴状の欄で、「被告は、原告に対し、1000万円を支払え。」「別紙物件目録記載の土地につき原告が所有権を有することを確認する。」のように、給付・確認・形成のどれを求めるかがそこに表れます。裁判所は当事者が申し立てていない事項について判決できないので(246条)、原告が指定した類型と違う判決はできません。判例は、給付の訴えで請求権の弁済期が到来していないことがわかった場合に、裁判所が進んでその請求権の存在を確認する判決をすることは許されないとしました(大判大正8年2月6日)。給付の訴えの申立てには、いま行使できない請求権の確認判決を求める申立ては含まれず、給付と確認は種類の違う判決だからです。「原告が給付判決を求めている場合において,訴訟物とされている請求権の履行期が到来していないことが明らかになったときは,裁判所は,当該請求権の存在を確認する判決をすることができる」という肢は誤りです。原告としては、訴えを変更して確認の訴えや将来給付の訴えを加えることになります。申立事項と判決事項の関係は「処分権主義と申立事項・判決事項」で詳しく扱います。

形成の訴えの中には、要件が法定されず裁判所の裁量で内容を決める形式的形成訴訟があります

離婚の訴えのように、どういう事実があればどういう効果が生じるかが条文で決まっている形成の訴えに対し、共有物分割の訴え(民法258条)や父を定めることを目的とする訴え(民法773条)は、どう分けるか・誰を父とするかを裁判所が裁量で決めます。原告が共有者である限り請求棄却という結論もありません。こうした訴えは、実質は非訟事件に近いのに判決手続で審理するもので、形式的形成訴訟と呼ばれます。筆界(境界)確定の訴えも、判例はこの仲間として扱っています。詳しくは「形式的形成訴訟と共有物分割の訴え」「筆界(境界)確定の訴え」で扱います。訴えの類型ごとに訴えの利益の考え方も違うので、給付・確認・形成のそれぞれについて別の語で整理しています。

民事訴訟法246条

裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。

民法748条1項

婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。

論文ではこう使う

論文では、訴えの類型はそれ自体が問われるより、訴えの利益・当事者適格・判決効を論じる前提として使います。確認の訴えなら確認の利益(方法選択・対象選択・即時確定の利益)を、形成の訴えなら法定の要件と事後の事情による訴えの利益の消滅を、給付の訴えなら現在給付か将来給付かを最初に確かめます。請求の趣旨に書かれた判決の類型と訴訟物が、裁判所の判断の枠(246条)になることも答案の起点になります。

試験ではこう問われる

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