証書真否確認の訴え(134条の2)とは
しょうしょしんぎかくにんのうったえ
証書真否確認の訴えとは、法律関係を証する書面が作成者とされる人の意思に基づいて作成されたかどうか(成立の真否)の確認を求める訴えをいいます(134条の2)。確認の対象は原則として現在の権利・法律関係に限られるところ、書面の成立という事実の確認を例外として認めたものです。
「この借用証書に押された印は自分のものではない、勝手に作られた書面だ」と争われることがあります。確認の訴えの対象は原則として現在の権利や法律関係で、単なる事実は対象になりません。しかし、契約書や遺言書のように、その書面が本物かどうかが決まれば法律関係の争いもほぼ片付く場合には、書面の成立の真否という事実だけを確認する訴えが特に認められています。これが証書真否確認の訴えです。
証書真否確認の訴えは、法律関係を証する書面の成立の真否を確認する、事実の確認の例外です
確認の訴えは、法律関係を証する書面の成立の真否を確定するためにも提起することができます(134条の2)。単なる事実の存否は法律上の争訟に当たらず確認の対象にならないのが原則ですが、書面の成立が確定すればそれだけで紛争の解決に直結する場合があるので、例外として認めたものです。条文番号は、令和4年改正で訴え提起の方式の規定が134条に移ったため、旧134条から134条の2になりました。成立の真否とは、作成者とされる人の意思に基づいてその書面が作成されたかどうかをいいます。
法律関係を証する書面とは、その内容から直接に現在の法律関係の成立や存否が証明される書面です
判例は、134条の2(当時の225条)の法律関係を証する書面とは、書面自体の内容から直接に一定の現在の法律関係の成立や存否が証明されうる書面をいうとし、郵便で送った信書で過去の事実を報告するものはこれに当たらないとしました(最判昭和28年10月15日)。契約書や遺言書のように、書面の記載内容が直接に法律関係を基礎づけるものが当たります。過去の事実を報告する手紙は、それが本物と決まっても現在の法律関係は確定しないからです。「郵便に付した信書で過去の事実を報告するものが偽造であることの確認を求める訴えについて,確認の利益が認められることはない」という肢は正しいです。書面の成立の真否を確認しても原告の権利や地位の不安が除かれない場合も同じく不適法とされ、銀行の払戻しを拒まれた原告が払戻しの猶予を求める書面の真否の確認を求めた訴えが不適法とされた例があります。
確認できるのは書面の成立の真否だけで、記載内容が真実かどうかは対象になりません
証書真否確認の訴えで確かめるのは、書面が作成者とされる人の意思で作られたかどうかであり、書かれた内容が真実かどうかではありません。内容の真実性は、その書面が示す法律関係の存否そのものを確認する訴えで争うべきだからです。「法律関係を証する書面の記載内容の真実性に争いがある場合には,その記載内容が真実であることの確認を求める訴えについては,訴えの利益が認められる」という肢は誤りです。また、訴訟代理権の有無はそれが問題になっている訴訟の中で判断すべきなので、訴訟代理権を証する書面の真否を別訴で確認することはできません。「別訴として提起された,訴訟代理権を証すべき書面の真否確認を求める訴えについて,確認の利益が認められることはない」という肢は正しいです。
対象が法律関係を証する書面に当たらなければ訴えは不適法で、被告が認諾しても訴訟は終わりません
請求の認諾は、電子調書に記録されると確定判決と同一の効力を生じ(267条1項)、訴訟を終わらせます。しかし認諾は本案判決の代わりになるものなので、訴訟要件がそろっていることが前提です。判例は、法律関係を証する書面に当たらない文書について証書真否確認の訴えが起こされた場合、その訴えは不適法であり、相手方が請求を認諾しても、証書真否確認の訴えを認めた趣旨に反して訴訟上の効果を生じないとしました(最判昭和28年10月15日)。「確認の対象となる文書が,法律関係を証する書面に該当しないものでも,被告が口頭弁論の期日において原告の請求を認諾する旨の陳述をし,それが調書に記載されたときは,当該訴訟は終了する」という肢は誤りです。訴訟要件と認諾の関係は「訴訟要件の意義と審理」「請求の放棄・認諾」でも扱います。なお、書証として出された文書の成立の真正(228条)は証拠調べの中の問題で、この訴えとは別に「文書の証拠力と成立の真正」で扱います。
民事訴訟法134条の2
確認の訴えは、法律関係を証する書面の成立の真否を確定するためにも提起することができる。
この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。