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用語集 / 民事訴訟法 / 相続をめぐる確認の訴え

相続をめぐる確認の訴え(遺言無効・遺産確認・具体的相続分・特別受益・相続人の地位・遺言者生存中)とは

そうぞくをめぐるかくにんのうったえ

民事訴訟法 訴えの提起

相続をめぐる確認の訴えとは、相続の開始後に共同相続人などの間で、遺言の効力、遺産の範囲、相続分、相続人の地位といった遺産分割の前提となる事項について確認を求める訴えをいいます。遺言無効確認の訴えと遺産確認の訴えは現在の法律関係の確認として確認の利益が認められ、具体的相続分や特別受益財産であることの確認には確認の利益がないとされます。

親が亡くなった後、兄弟の間で「あの遺言は無効だ」「あの土地は遺産だ」「兄は生前にたくさんもらっていた」と争いになることがあります。遺産を最終的に分けるのは家庭裁判所の遺産分割の手続ですが、その前提となる問題の中には、訴訟で確認判決を得て決着を付けた方がよいものと、遺産分割の手続の中で判断すれば足りるものがあります。判例は、確認の利益の考え方を当てはめて、相続をめぐる確認の訴えを一つずつ仕分けています。

和室での遺産分割の話合いの場面。座卓の上に遺言書と不動産の登記簿が置かれている。座卓を囲んで男性3人(札「相続人A」「相続人B」「相続人C」)が言い合っている。座卓の横に先生が弁護士役(札「先生」)で立ち、ホワイトボードに2列の表を書いてい

遺言無効確認の訴えは、現在の特定の法律関係の不存在確認と解される場合には確認の利益があります

遺言は過去の法律行為なので、その無効確認は過去の法律関係の確認のようにも見えます。しかし判例は、遺言無効確認の訴えは、遺言が有効であるとすればそれから生ずべき現在の特定の法律関係が存在しないことの確認を求めるものと解される場合で、原告にその確認を求める法律上の利益があるときは、適法だとしました(最判昭和47年2月15日)。遺言から派生する個々の法律関係に書き直さなくても審理の対象ははっきりしており、紛争の中心である遺言の効力そのものを判断する方が紛争解決に役立つからです。「遺言の無効確認を求める訴えについて,確認の利益が認められることはない」という肢と、「現在の特定の法律関係が存在しないことの確認を求めるものと解される場合であっても,確認の利益を欠く」という肢は誤りです。

遺言者の生存中は、事実上撤回できない状態でも、遺言無効確認の利益はありません

遺言者は生きている間はいつでも遺言を撤回でき(民法1022条)、遺贈は遺言者の死亡によって初めて効力を生じるので、遺言者の生前には遺言から何の法律関係も生じていません。判例は、遺言者が生存中に受遺者に対して遺言の無効確認を求める訴えは許されないとし(最判昭和31年10月4日)、さらに、推定相続人が遺言者の生存中に受遺者に対して起こした訴えについて、受遺者は事実上の期待を持つにすぎず確認の対象となる法律関係がないので、遺言者が心神喪失の常況にあって回復の見込みがなく撤回の可能性が事実上ない場合でも不適法だとしました(最判平成11年6月11日)。「遺言者がその生存中に受遺者に対し遺言の無効確認を求める訴えには,訴えの利益が認められる」という肢は誤りで、「たとえ遺言者が精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあり,当該遺言の撤回又は変更の可能性が事実上ない状態であっても,確認の利益を欠く」という肢は正しいです。

遺産確認の訴えは、財産が現に遺産分割前の共有関係にあることの確認として確認の利益があります

ある財産が遺産に属するかどうかは、遺産分割審判の中でも前提として判断されますが、その判断には既判力がないので、後の訴訟で覆るおそれがあります。自分の相続分に応じた共有持分の確認を求めても、既判力は持分があることにとどまり、それが相続によるものであることまでは確定しません。判例は、遺産確認の訴えを、その財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴え、つまり現在の法律関係の確認と捉え、その財産が遺産分割の対象であることを既判力で確定して紛争を解決できるとして、確認の利益を認めました(最判昭和61年3月13日)。「ある財産が遺産に属することの確認を求める訴えについて,確認の利益が認められることはない」「遺産分割前の共有関係にあることの確認を求めるものと解される場合であっても,確認の利益を欠く」という肢と、相続人間で遺産帰属性に争いがある事例で「確認の利益が認められない」とする肢は誤りで、遺産帰属性に争いがある場合に「訴えの利益が認められる」とする肢は正しいです。遺産確認の訴えは共同相続人全員が当事者となる固有必要的共同訴訟です(最判平成元年3月28日)。「遺産分割審判の申立てをすることができる共同相続人全員を原告又は被告としなければならない」という肢は正しいです。

教室の場面。先生が教師役(札「先生」)で黒板の前に立つ。黒板に遺産分割の計算式の図があり、「遺産」「+特別受益」「×法定相続分」「-特別受益」「=具体的相続分」と並び、「特別受益」と「具体的相続分」の2か所に吹き出しで「計算の途中の数字」と

具体的相続分や特別受益財産であることの確認は、遺産分割の前提問題にすぎないので確認の利益がありません

具体的相続分は、特別受益や寄与分を考慮して法定相続分を修正した、遺産分割での分配の基準となる計算上の価額や割合です。判例は、具体的相続分はそれ自体実体法上の権利関係ではなく、遺産分割審判や遺留分の訴訟で前提問題として判断される事項であり、それだけを別に判決で確認することは紛争の直接かつ抜本的な解決のため適切かつ必要とはいえないとして、確認の利益を否定しました(最判平成12年2月24日)。「具体的相続分についてその価額又は割合の確認を求める訴えは,確認の利益が欠ける」という肢は正しいです。特別受益財産(民法903条1項)であることの確認も同じで、判例は、ある財産が特別受益財産に当たると確定しても、その価額や遺産全体が定まらなければ具体的相続分や遺留分は決まらず、紛争を直接かつ抜本的に解決しないとして、確認の利益を欠くとしました(最判平成7年3月7日)。「ある財産が特別受益財産であることの確認を求める訴えは,確認の利益が欠ける」という肢と、生活費の支払が特別受益に当たるかの事例で「確認の利益が認められない」とする肢は正しく、「相続分又は遺留分をめぐる紛争を直接かつ抜本的に解決することになるから,確認の利益を有する」という肢は誤りです。

相続欠格を理由とする相続人の地位不存在確認の訴えには確認の利益があり、共同相続人全員が当事者になります

共同相続人の一人に相続欠格事由(民法891条)があると主張する場合、その者が遺産について相続人の地位を持たないことは、遺産分割の当事者の範囲を決める問題です。判例は、共同相続人が他の共同相続人に対してその者が被相続人の遺産について相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは、遺産分割審判などでの紛争の発生を防ぎ、共同相続人間の紛争解決に役立つとして、確認の利益を認めました(最判平成16年7月6日)。「その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは,確認の利益を欠く」という肢は誤りです。同じ判決は、この訴えを共同相続人全員が当事者となる固有必要的共同訴訟としました。遺産分割は相続人全員で行うので、誰が相続人かも全員の間で一致させる必要があるからです。他の共同相続人のうち一人だけを被告とした訴えを「不適法である」とする肢は正しいです。

  • 遺言無効確認現在の特定の法律関係の不存在確認と解されれば利益あり(最判昭和47年2月15日)
  • 遺言者生存中の遺言無効確認利益なし。撤回の可能性が事実上なくても同じ(最判平成11年6月11日)
  • 遺産確認利益あり。固有必要的共同訴訟(最判昭和61年3月13日・最判平成元年3月28日)
  • 具体的相続分の確認利益なし(最判平成12年2月24日)
  • 特別受益財産であることの確認利益なし(最判平成7年3月7日)
  • 相続人の地位不存在確認利益あり。固有必要的共同訴訟(最判平成16年7月6日)

論文ではこう使う

論文では、相続をめぐる確認の訴えを確認の利益の当てはめ問題として扱います。対象選択の観点では、遺言無効確認・遺産確認が形の上では過去の行為や事実の確認に見えても現在の法律関係の確認と読めることを示し、具体的相続分・特別受益財産のように遺産分割の前提問題にとどまるものは、確定しても紛争の直接かつ抜本的な解決にならないと論じます。遺言者生存中の訴えは、受遺者の地位が確認の対象になるかという対象の適格の問題と、原告の側に即時確定の必要があるかの問題とを分けて書くと説得力が出ます。

試験ではこう問われる

「相続をめぐる確認の訴え」が短答式でどう出題されてきたか、ひっかけの型7件と関係する過去問の肢18本は、無料のアカウントでログインすると読めます。

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