準備書面(161条〜163条・規則)とは
じゅんびしょめん
準備書面とは、口頭弁論を準備するため、当事者が攻撃防御の方法と相手方の主張に対する陳述を記載して、あらかじめ裁判所に提出し相手方に直送する書面のことです(161条)。提出しただけでは判決の基礎にならず、口頭弁論で陳述して初めて訴訟資料になります。
口頭弁論の当日にいきなり新しい主張を持ち出されたら、相手方はその場で反論できず、期日が無駄になります。そこで地方裁判所以上の口頭弁論は、言いたいことをあらかじめ書面にまとめて準備することになっています。この書面が準備書面で、相手方にも前もって届けておくことで、期日には中身のある議論ができます。ただし準備書面はあくまで準備のための書面なので、出しただけでは判決の材料にならず、期日で陳述して初めて主張として扱われます。
準備書面は口頭弁論を準備するための書面で、提出しただけでは判決の基礎にならず、口頭弁論で陳述して初めて訴訟資料になります
161条1項は、口頭弁論は書面で準備しなければならないと定め、準備書面には攻撃又は防御の方法と、相手方の請求及び攻撃防御の方法に対する陳述を記載します(同条2項)。口頭主義のもとでは、口頭弁論で陳述されたものだけが判決の基礎になるので、準備書面を裁判所に出しただけでは主張したことになりません。「準備書面は,裁判所に提出されただけでは,判決の基礎とすることができない」という肢は正しいです。「当事者が準備書面に記載した事項は、その準備書面が裁判所に提出されただけでは、判決の基礎とすることはできない」という肢も正しいです。最初にすべき口頭弁論の期日に欠席した当事者の準備書面は陳述したものとみなされることがあり(158条)、その要件は最初の期日の欠席と陳述擬制の語で扱います。
準備書面は裁判所に提出するとともに相手方に直送し、否認するときは理由を書き、引用した文書の写しは求めがあれば提出します
準備書面は、記載した事項について相手方が準備をするのに必要な期間をおいて裁判所に提出し(民事訴訟規則79条1項)、同じ期間をおいて当事者が相手方に直送します(同規則83条)。直送とは、当事者が相手方に直接送付することで、裁判所を通じて送達するのではありません。「準備書面は,記載した事項につき相手方が準備するのに必要な期間をおいて,裁判所を通じて相手方に送達しなければならない」という肢は誤りです。「準備書面は、裁判所を通じて相手方に送付しなければならない」という肢も誤りです。相手方の主張する事実を否認するときは、その理由を記載しなければなりません(同規則79条3項)。早い段階で争点をかみ合わせるためです。「準備書面において相手方の主張する事実を否認する場合には、その理由を記載しなければならない」という肢は正しいです。文書を準備書面に引用した当事者は、裁判所又は相手方の求めがあるときにその写しを提出します(同規則82条1項)。「文書を準備書面に引用した当事者は、裁判所又は相手方の求めがなくとも、その写しを提出しなければならない」という肢は誤りです。
相手方が在廷していない口頭弁論では送達された準備書面に記載した事実しか主張できませんが、相手方が在廷していれば記載がなくても主張できます
161条3項は、相手方が在廷していない口頭弁論においては、相手方に送達された準備書面、受領した旨の書面が提出された準備書面、又は相手方が閲覧・複写をした準備書面に記載した事実でなければ主張することができないと定めます。欠席した相手方に不意打ちをしないためです。逆に、相手方が在廷していれば、その場で反論や次回までの準備ができるので、準備書面に記載のない事実も主張できます。「相手方が口頭弁論期日に出頭した場合には,準備書面に記載のない事項でも陳述することができる」という肢は正しいです。続行期日に被告が欠席しても、事前に送達されていた原告の準備書面の事実は主張できるので、「事前に原告の準備書面が被告に送達されていたときには,原告は,その期日において,その準備書面に記載された事実を主張することができる」という肢は正しいです。弁論準備手続でも、相手方が出頭していれば不意打ちのおそれはありません。「弁論準備手続では,相手方が出頭している場合であっても,準備書面に記載していない事実を主張することができない」という肢は誤りです。
簡易裁判所では、口頭弁論を書面で準備することは要りません
簡易裁判所の訴訟手続では、本人訴訟が多いことから手続を簡易にするため、口頭弁論は書面で準備することを要しません(276条1項)。ただし、相手方が準備をしなければ陳述できない事項は、書面で準備するか、口頭弁論前に直接相手方に通知しなければならず(同条2項)、相手方が在廷していないときは、その書面や通知をした事項でなければ主張できません(同条3項)。「口頭弁論は,簡易裁判所においても,書面で準備しなければならない」という肢は誤りです。「口頭弁論は、簡易裁判所においても、書面で準備しなければならない」という肢も誤りです。
裁判長が定めた提出期間を過ぎた準備書面も陳述でき、期間を守れなかった理由の説明や費用の負担、時機に後れた攻撃防御方法の却下が問題になります
裁判長は、答弁書や特定の事項に関する主張を記載した準備書面の提出期間を定めることができます(162条1項)。期間を過ぎて準備書面を出した当事者は、裁判所に期間を守れなかった理由を説明しなければなりませんが(同条2項)、陳述そのものが禁止されるわけではありません。「当事者は,裁判長が定めた期間内に提出しなかった準備書面を,口頭弁論期日において陳述することができない」という肢は誤りです。期間を守らずに訴訟を遅滞させれば、勝訴しても遅滞による費用を負担させられることがあり(63条)、故意又は重大な過失で時機に後れたと認められれば却下されることもあります(157条1項)。
- 提出相手方の準備に必要な期間をおいて裁判所に提出します(民事訴訟規則79条1項)
- 相手方へ当事者が直送します(同規則83条)。裁判所を通じた送達ではありません
- 否認理由を記載します(同規則79条3項)
- 引用文書の写し裁判所又は相手方の求めがあれば提出します(同規則82条1項)
- 記載のない事実相手方が在廷していなければ主張できず、在廷していれば主張できます(161条3項)
- 簡易裁判所書面で準備することを要しません(276条1項)
- 提出期間の経過陳述はでき、遅れた理由を説明します(162条2項)
民事訴訟法161条1項
口頭弁論は、書面で準備しなければならない。
民事訴訟法276条1項
口頭弁論は、書面で準備することを要しない。
民事訴訟法162条2項
前項の規定により定めた期間の経過後に準備書面の提出又は証拠の申出をする当事者は、裁判所に対し、その期間を遵守することができなかった理由を説明しなければならない。
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