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訴訟指揮と当事者の関与の一覧(申立て・同意・意見聴取・異議がないこと・職権でできる行為)とは

そしょうしきととうじしゃのかんよのいちらん

民事訴訟法 審理の原則と手続

訴訟指揮とは、裁判所(裁判長)が訴訟手続を主導して進める権能のことで、当事者の関与は、行為ごとに、当事者の申立て・同意・意見聴取・異議がないこと、のどれを要するか、又は裁判所が職権だけでできるかが条文で決まっています。

手続をどう進めるかは裁判所が決めるのが原則ですが、当事者の利害に深くかかわる場面では、当事者の言い分を聴いたり、同意を得たりしなければなりません。どの場面で何が要るかは、その手続が当事者の権利をどれだけ左右するかで決まっています。同意が要るのは当事者の審級の利益や手続上の地位に直接かかわるとき、意見を聴けば足りるのは裁判所の判断で進めてよいが当事者の事情も聞くべきときです。短答では、同じ問いが専門委員・争点整理・移送・証拠調べと場面を変えて繰り返されます。

裁判官室の場面。机に向かう先生が裁判官役(札「裁判所」)として、3つのトレーを前にしている。トレーの札は左から「同意が要る」「意見を聴く」「裁判所が決める」。左のトレーには「専門委員の直接の発問」「控訴審の反訴」、中央のトレーには「弁論準備

当事者の同意が要るのは、専門委員の和解への関与や直接の発問、必要的移送、控訴審の反訴のように、当事者の地位に直接かかわる場面です

専門委員が証人・当事者本人・鑑定人に直接問いを発することを裁判長が許すには、当事者の同意が必要です(92条の2第3項後段)。証拠調べに第三者が直接入り込むので、当事者の手続保障を重くみているからです。「裁判長は,当事者の同意を得なくとも,専門委員に,尋問を受ける当事者本人に対し直接に問いを発することを許すことができる」という肢は誤りです。和解を試みる期日に専門委員を関与させるときも当事者の同意が要ります(同条4項)。第一審裁判所は、当事者の申立てと相手方の同意があれば移送しなければなりません(19条1項)が、訴訟が専属管轄(合意によるものを除く)に属するときは適用されません(20条1項)。「訴訟が法令の定めによりその専属管轄に属する場合においても,当事者の申立て及び相手方の同意があるときは,訴訟の全部又は一部を申立てに係る地方裁判所又は簡易裁判所に移送しなければならない」という肢は誤りです。控訴審の反訴は相手方の審級の利益を奪うので相手方の同意が要りますが、相手方が異議を述べないで反訴の本案について弁論をしたときは同意したものとみなされます(300条)。「控訴審において,反訴の提起の相手方が異議を述べないで反訴の本案について弁論をしたときは,反訴の提起に同意したものとみなされる」という肢は正しいです。

弁論準備手続に付すこと、専門委員を争点整理に関与させること、尋問の順序の変更は、当事者の意見を聴けば足り、同意は要りません

裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、事件を弁論準備手続に付することができます(168条)。当事者が反対しても裁判所は弁論準備手続に付することができるので、「事件を弁論準備手続に付するときは,当事者の同意を得なければならない」という肢は誤りです。「事件を弁論準備手続に付するときは,当事者の意見を聴かなければならない」という肢は正しいです。専門委員を争点若しくは証拠の整理又は進行協議に関与させるときも、当事者の意見を聴いて決定でします(92条の2第1項)。当事者の一方の反対で専門委員の関与ができなくなるのは審理の充実の妨げになるからです。「専門委員を手続に関与させるときは,当事者の同意を得なければならない」という肢は誤りです。「専門的な知見に基づく説明を聴くために専門委員を手続に関与させる決定を行うときは,当事者の意見を聴かなければならない」という肢は正しいです。証人尋問は申出をした当事者、他の当事者、裁判長の順序でしますが、裁判長は適当と認めるときは当事者の意見を聴いて順序を変更できます(202条2項)。「裁判長は,地方裁判所で行う証人の尋問において,当事者に先立って尋問をしようとするときは,当事者の意見を聴かなければならない」という肢は正しいです。

  • 同意が要る専門委員の直接の発問(92条の2第3項後段)・和解期日への関与(同条4項)、必要的移送の相手方(19条1項)、控訴審の反訴(300条1項。異議なく本案弁論で同意擬制)、本案弁論後の訴えの取下げ(261条2項)
  • 意見を聴く弁論準備手続に付す(168条)、書面による準備手続に付す(175条)、専門委員の争点整理・進行協議・証拠調べへの関与(92条の2第1項・3項前段)、尋問の順序の変更(202条2項)、電話会議による弁論準備手続(170条3項)、ウェブ会議による口頭弁論(87条の2第1項)
  • 異議がないこと尋問に代わる書面の提出(205条1項)、受命・受託裁判官による裁判所外の証人尋問(195条4号)、大規模訴訟の受命裁判官による尋問(268条)
  • 当事者の関与なし弁論の制限・分離・併合(152条1項)、調書判決(254条1項)、準備的口頭弁論の開始(164条)
板書の図解。黒板に見出し「申立てがあったら訴訟手続は止まるか」とあり、左に「止まる」として「除斥・忌避の申立て(26条)」、右に「止まらない」として「移送の申立て」「文書提出命令への即時抗告」「併合を求める申出」が並ぶ。下段に「双方の申立て

弁論の分離・併合や調書判決は裁判所の裁量で行い、当事者の意見を聴く必要はありません

裁判所は、口頭弁論の制限、分離若しくは併合を命じ、又はその命令を取り消すことができます(152条1項)。条文に当事者の意見を聴く旨の定めはなく、裁判所の訴訟指揮の裁量に委ねられています。「裁判所は,口頭弁論を分離するときは,当事者の意見を聴かなければならない」という肢は誤りです。被告が口頭弁論で原告の主張した事実を争わず、何らの防御の方法も提出しない場合に請求を認容するときは、電子判決書に基づかないで判決を言い渡すことができます(254条1項1号。調書判決)。ここにも当事者の意見を聴く旨の定めはありません。「判決書の原本に基づかないで原告の請求を認容する判決をするときは,当事者の意見を聴かなければならない」という肢は誤りです。出題当時の「判決書の原本」は、現在は電子判決書になっています。

尋問に代わる書面の提出は当事者に異議がないことが要件で、補助参加の理由の疎明は当事者が異議を述べたときに限って必要になります

裁判所は、当事者に異議がない場合であって相当と認めるときは、証人の尋問に代え、書面の提出をさせることができます(205条1項)。反対尋問の機会がなくなるので、当事者の一人でも異議を述べればこの方法は使えません。「裁判所は,当事者が異議を述べたときは,証人の尋問に代え,書面の提出をさせることはできない」という肢は正しいです。補助参加では、当事者が異議を述べたときに初めて裁判所が参加の許否を決定し、そのときに補助参加人が参加の理由を疎明します(44条1項)。「当事者が補助参加について異議を述べなければ,補助参加人が参加の理由を疎明する必要はない」という肢は正しいです。この異議は、述べないで弁論をし、又は弁論準備手続で申述をした後は述べられなくなります(同条2項)。

当事者双方の申立てがあれば取り消さなければならない裁判があり、一方だけの申立てなら取り消すかどうかは裁判所が決めます

裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、弁論準備手続に付する裁判を取り消すことができ、当事者双方の申立てがあるときは取り消さなければなりません(172条)。双方が望まない争点整理を続けても実効性がないからです。一方だけの申立てなら取り消すかは裁判所の裁量なので、「当事者の一方がその取消しを申し立てたときは,当該裁判を取り消さなければならない」という肢は誤りです。専門委員を手続に関与させる決定の取消しも同じ構造です(92条の4)。

申立てがあれば訴訟手続を停止しなければならないのは除斥・忌避の申立てで、移送の申立て、文書提出命令への即時抗告、併合を求める申出では停止しません

除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての決定が確定するまで訴訟手続を停止しなければなりません(26条)。これに対し、移送の申立てや、文書提出命令の申立てについての決定に対する即時抗告(223条7項)、他の事件との口頭弁論の併合を求める申出には、訴訟手続を停止させる規定がありません。「著しい遅滞を避けるための移送の申立てがあったときは,裁判所は,訴訟手続を停止しなければならない」という肢は誤りです。「文書提出命令の申立てについての決定に対して即時抗告がされたときは,裁判所は,その即時抗告についての裁判が確定するまで,訴訟手続を停止しなければならない」という肢も誤りです。「他の事件との口頭弁論の併合を命ずることが求められたときは,裁判所は,その訴訟手続を停止しなければならない」という肢も誤りです。他方、秘密保護のための閲覧等の制限の申立てがあれば、裁判が確定するまで第三者は秘密記載部分の閲覧等を請求できません(92条2項)。「事件の記録の閲覧等の制限の申立てがあったときは,その申立てについての裁判が確定するまで,第三者は,秘密記載部分の閲覧等の請求をすることができない」という肢は正しいです。補助参加に異議があっても、補助参加人は参加を許さない裁判が確定するまで訴訟行為ができ(45条3項)、その裁判が確定した後も当事者が援用すればその行為は効力を有します(同条4項)。「補助参加人は,補助参加について異議があった場合においても,補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は,訴訟行為をすることができる」という肢は正しいです。「補助参加を許さない裁判が確定した場合においても,相手方当事者が援用したときは,補助参加人の訴訟行為は,その効力を有する」という肢も正しいです。また判例(最決平成12年12月14日)は、文書提出命令の申立てについての決定に対しては、提出を命じられた所持者と申立てを却下された申立人以外の者は抗告の利益がなく、本案の当事者でも即時抗告できないとしています。「当事者は,第三者に対してされた文書提出命令に対して,即時抗告をすることができない」という肢は正しいです。

民事訴訟法26条

除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての決定が確定するまで訴訟手続を停止しなければならない。ただし、急速を要する行為については、この限りでない。

民事訴訟法172条

裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、弁論準備手続に付する裁判を取り消すことができる。ただし、当事者双方の申立てがあるときは、これを取り消さなければならない。

試験ではこう問われる

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