訴訟記録の閲覧・謄写と秘密保護のための閲覧等の制限(91条・92条)とは
そしょうきろくのえつらんとうしゃとひみつほごのためのえつらんとうのせいげん
訴訟記録の閲覧とは、何人も裁判所書記官に請求して訴訟記録を見ることで、謄写は当事者と利害関係を疎明した第三者に限られます(91条)。秘密保護のための閲覧等の制限とは、私生活上の重大な秘密や営業秘密が記載された部分について、当事者の申立てにより閲覧等をできる者を当事者に限ることです(92条)。
裁判の公開は法廷の傍聴だけでなく、訴訟記録を誰でも見られることによっても支えられています。ただし、写しを取ることまで誰にでも許すと、記録の内容が広く出回り、当事者の私生活が晒されかねません。そこで民事訴訟法は、閲覧は何人にも認め、謄写は当事者と利害関係を疎明した第三者に限り、さらに重大な秘密や営業秘密が書かれた部分は、当事者の申立てで第三者が見られないようにする仕組みを設けました。
閲覧は何人も裁判所書記官に請求できますが、謄写は当事者と利害関係を疎明した第三者に限られます
何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができます(91条1項。電磁的訴訟記録は91条の2第1項)。「民事訴訟の訴訟記録の閲覧の請求は,何人でもすることができる」という肢も、「訴訟記録の閲覧の請求は,裁判所書記官に対して行う」という肢も正しいです。謄写や正本・謄本・抄本の交付は、当事者及び利害関係を疎明した第三者に限られます(91条3項)。「民事訴訟の訴訟記録の謄写の請求は,当事者及び利害関係を疎明した第三者に限り,することができる」という肢は正しく、「何人も,裁判所書記官に対し,訴訟記録の謄写を請求することができる」という肢は誤りです。公開を禁止した口頭弁論の記録や、和解条項案などに係る部分は、閲覧も当事者と利害関係を疎明した第三者に限られます(91条2項)。記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、閲覧・謄写・複製の請求はできない(91条5項)ので、「訴訟記録の謄写の請求は,裁判所の執務に支障があるときは,することができない」という肢は正しいです。
請求を拒んだ書記官の処分には異議を申し立て、即時抗告はできません
閲覧や謄写の請求は裁判所書記官にするので、書記官が拒絶したときは、書記官の処分に対する異議の申立てをし、その書記官の所属する裁判所が決定で裁判をします(121条)。「当該請求を拒絶した裁判所書記官の処分に対しては,即時抗告をすることができる」という肢は誤りです。
私生活上の重大な秘密や営業秘密が書かれた部分は、当事者の申立てで閲覧等の請求者を当事者に限ることができます
92条1項は、訴訟記録中に当事者の私生活についての重大な秘密が記載され、かつ第三者の閲覧等によってその当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあること(1号)、又は当事者が保有する営業秘密が記載されていること(2号)について疎明があった場合には、裁判所は、当該当事者の申立てにより、決定で、秘密記載部分の閲覧等の請求をすることができる者を当事者に限ることができるとしています。「当事者の私生活についての重大な秘密が記載された部分の閲覧の請求をすることができる者を当事者に限ることができない」という肢は誤りです。制限は第三者に対するものであり、相手方当事者の閲覧や謄写は制限できないので、相手方当事者の謄写の請求を制限できるとする肢は誤りです。制限の事由は二つに限られるので、「当事者の業務の平穏を害するおそれがあると認められる部分」について申立てができるとする肢も誤りです。
申立てがあれば裁判の確定まで第三者は閲覧できず、秘密でなくなれば第三者は決定の取消しを申し立てられます
92条1項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、第三者は秘密記載部分の閲覧等を請求することができません(92条2項)。「事件の記録の閲覧等の制限の申立てがあったときは,その申立てについての裁判が確定するまで,第三者は,秘密記載部分の閲覧等の請求をすることができない」という肢は正しいです。閲覧等をしようとする第三者は、要件を欠くこと又は欠くに至ったことを理由に、決定の取消しを申し立てることができ(92条3項)、取消しの裁判は確定しなければ効力を生じません(同条5項)。制限決定の後に秘密でなくなったときに第三者が取消しを申し立てられるとする肢は正しいです。人事訴訟では、訴訟記録中の事実の調査に係る部分の閲覧は、裁判所が許可したときに限られます(人事訴訟法35条1項)。「人事訴訟の訴訟記録中事実の調査に係る部分についての閲覧の請求は,裁判所が許可したときに限り,することができる」という肢は正しいです。
民事訴訟法91条1項
何人も、裁判所書記官に対し、非電磁的訴訟記録(訴訟記録中次条第一項に規定する電磁的訴訟記録を除いた部分をいう。以下この条において同じ。)の閲覧を請求することができる。
民事訴訟法91条3項
当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、非電磁的訴訟記録の謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。
民事訴訟法92条2項
前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、第三者は、秘密記載部分の閲覧等の請求をすることができない。
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