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民事訴訟法上の制裁の一覧(真実擬制・過料・訴訟費用負担・却下・濫上訴の金銭納付)とは

みんじそしょうほうじょうのせいさいのいちらん

民事訴訟法 審理の原則と手続

民事訴訟法上の制裁とは、訴訟を遅らせたり証拠調べに協力しなかったりした当事者や第三者に、法律が科す不利益のことです。攻撃防御方法の却下、遅滞による訴訟費用の負担、訴状の却下、濫用的な控訴への金銭の納付命令、相手方の主張の真実擬制、過料があり、誰が何をしたかで制裁の種類が決まっています。

訴訟をわざと引き延ばしたり、出すべき証拠を隠したりする当事者がいると、相手方は迅速で公正な裁判を受けられません。そこで民事訴訟法は、攻撃防御方法の却下、勝訴しても費用を負担させること、訴状の却下、控訴を濫用した者への金銭の納付命令、主張を真実と認めること、過料といった制裁を用意しています。どの制裁がつくかは、誰が(当事者か第三者か)何をしたかで決まっていて、短答では制裁の種類の入れ替えがよく問われます。

控訴審の法廷の場面。正面の裁判官席で先生が裁判長役(札「控訴裁判所」)として判決書を読み上げている。控訴人席の男性(札「控訴人」)が驚いた顔をしている。判決書の文面に「本件控訴を棄却する」「控訴人は手数料の10倍以下の金銭を納付せよ」と見え

訴訟を遅らせる当事者には、攻撃防御方法の却下と、勝訴しても遅滞による費用を負担させるという不利益があります

当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃防御方法は、訴訟の完結を遅延させることとなると認めるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で却下できます(157条1項)。「裁判所は,これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは,相手方の申立てがなくても,却下の決定をすることができる」という肢は正しいです。趣旨が明瞭でない攻撃防御方法について釈明をしないときも却下でき、この場合は遅延の要件がありません(同条2項)。また、当事者が適切な時期に攻撃防御方法を出さず、又は期日・期間を守らないなど責めに帰すべき事由で訴訟を遅滞させたときは、裁判所はその当事者に、勝訴の場合でも遅滞によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができます(63条)。「当事者が適切な時期に攻撃防御方法を提出しないことにより訴訟を遅滞させたときは,裁判所は,その当事者に,その勝訴の場合においても,遅滞によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる」という肢は正しいです。裁判長が定めた準備書面の提出期間を守らずに遅滞させた場合も同じなので、「裁判所は、その当事者に、その当事者が勝訴する場合であっても、遅滞によって生じた訴訟費用の全部を負担させることができる」という肢も正しいです。

送達費用を予納しなければ、裁判長が命令で訴状を却下します

訴状は被告に送達しなければならず、送達ができない場合(送達に必要な費用を予納しない場合を含む)には、訴状審査の137条が準用されます(138条2項)。裁判長が相当の期間を定めて予納を命じ、原告が従わなければ、裁判長は命令で訴状を却下しなければなりません(137条1項・2項)。却下するのは裁判所ではなく裁判長で、裁判の形式は決定ではなく命令です。「その予納がないときは、決定で、訴状を却下しなければならない」という肢は誤りです。訴え提起の手数料を納付しないときは、令和4年改正後は裁判所書記官が納付を命じる処分をし、納付がなければ裁判長が命令で訴状を却下します(137条の2。訴状審査と訴状却下の語で扱います)。

訴訟の完結を遅らせるためだけの控訴には、控訴の提起の手数料の10倍以下の金銭の納付を命じることができます

控訴裁判所は、第一審判決を相当として控訴を棄却する場合に、控訴人が訴訟の完結を遅延させることのみを目的として控訴を提起したと認めるときは、控訴の提起の手数料として納付すべき金額の10倍以下の金銭の納付を命じることができます(303条1項)。この裁判は判決の主文に掲げ(同条2項)、本案判決を変更する判決の言渡しによって効力を失います(同条3項)。上告にも準用されます(313条)。「控訴人が訴訟の完結を遅延させることのみを目的として控訴を提起したものと認めるときは、控訴人に対し、控訴の提起の手数料として納付すべき金額の10倍以下の金銭の納付を命ずることができる」という肢は正しいです。

板書の図解。黒板を左右に分け、左に見出し「当事者」として「文書提出命令に従わない→相手方の主張を真実と認める」「尋問に出頭しない→相手方の主張を真実と認める」「当事者照会に答えない→制裁なし」、右に見出し「第三者」として「文書提出命令に従わ

証拠調べに協力しない当事者には相手方の主張を真実と認める制裁、第三者には過料という制裁が科されます

当事者が文書提出命令に従わないとき、又は相手方の使用を妨げる目的で提出義務のある文書を滅失させたときは、裁判所は、文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができます(224条1項・2項)。当事者に対する過料の定めはありません。「当事者が文書提出命令に従わないときは,裁判所の決定により,過料に処されることがある」という肢は誤りです。「当事者が,相手方の使用を妨げる目的で提出の義務がある文書を滅失させたときは,裁判所は,当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる」という肢は正しいです。第三者が文書提出命令に従わないときは、その第三者の態度で当事者の主張を真実と認める理由はないので、決定で20万円以下の過料に処します(225条1項)。「第三者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、決定で、過料に処する」という肢は正しいです。「文書の所持者である第三者が文書提出命令に従わないときは,裁判所は,当該文書の記載に関する文書提出命令を申し立てた当事者の主張を真実と認めることができる」という肢は誤りです。当事者本人が正当な理由なく尋問に出頭せず、又は宣誓・陳述を拒んだときも、尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができます(208条)。「当事者本人を尋問する場合において,その当事者が,正当な理由なく出頭しないときは,裁判所は,尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができる」という肢は正しいです。証人の不出頭への過料・罰金・勾引など、証拠調べの不協力の効果の全体は証拠調べに協力しない者への効果の一覧の語で扱います。

当事者照会への回答拒絶には制裁がなく、真実に反して文書の成立の真正を争った当事者や代理人は過料に処されます

当事者照会(163条)は当事者間で直接行う情報収集の手段で、相手方が正当な理由なく回答を拒んでも、法律上の制裁はありません。「当事者照会に対し,相手方が正当な理由なく回答を拒んだときは,裁判所は,照会をした当事者の照会事項に関する主張を真実と認めることができる」という肢は誤りです。他方、当事者又はその代理人が故意又は重大な過失により真実に反して文書の成立の真正を争ったときは、裁判所は決定で10万円以下の過料に処します(230条1項)。代理人も対象なので、「訴訟代理人が故意又は重大な過失により真実に反して文書の成立の真正を争ったときであっても,訴訟代理人が過料に処せられることはない」という肢は誤りです。

  • 時機に後れた攻撃防御方法申立て又は職権で却下(157条1項)。遅延の要件あり
  • 趣旨不明で釈明しない攻撃防御方法却下(157条2項)。遅延の要件なし
  • 遅滞させた当事者勝訴しても遅滞による訴訟費用の全部又は一部を負担(63条)
  • 送達費用の不予納・訴状の不備裁判長が命令で訴状を却下(138条2項・137条2項)
  • 遅延目的のみの控訴控訴の提起の手数料の10倍以下の金銭の納付(303条1項)
  • 当事者の文書提出命令不服従・文書の滅失文書の記載に関する相手方の主張を真実と認める(224条)
  • 第三者の文書提出命令不服従20万円以下の過料(225条1項)。真実擬制はない
  • 当事者本人の不出頭・宣誓拒絶・陳述拒絶尋問事項に関する相手方の主張を真実と認める(208条)
  • 文書の成立の真正を真実に反して争う当事者・代理人に10万円以下の過料(230条1項)
  • 当事者照会への回答拒絶制裁なし

民事訴訟法63条

当事者が適切な時期に攻撃若しくは防御の方法を提出しないことにより、又は期日若しくは期間の不遵守その他当事者の責めに帰すべき事由により訴訟を遅滞させたときは、裁判所は、その当事者に、その勝訴の場合においても、遅滞によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる。

民事訴訟法303条1項

控訴裁判所は、前条第一項の規定により控訴を棄却する場合において、控訴人が訴訟の完結を遅延させることのみを目的として控訴を提起したものと認めるときは、控訴人に対し、控訴の提起の手数料として納付すべき金額の十倍以下の金銭の納付を命ずることができる。

民事訴訟法224条1項

当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる。

民事訴訟法225条1項

第三者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、決定で、二十万円以下の過料に処する。

試験ではこう問われる

「民事訴訟法上の制裁の一覧」が短答式でどう出題されてきたか、ひっかけの型9件と関係する過去問の肢12本は、無料のアカウントでログインすると読めます。

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