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用語集 / 民事訴訟法 / 訴訟費用と訴訟上の救助

訴訟費用と訴訟上の救助とは

そしょうひようとそしょうじょうのきゅうじょ

民事訴訟法 判決

訴訟費用とは、訴え提起の手数料や証人の旅費・鑑定費用など、法律が定める訴訟の費用で、原則として敗訴した当事者が負担します(61条)。訴訟上の救助とは、費用を払う資力のない者などに、申立てにより、裁判費用の支払の猶予などを与える決定です(82条・83条)。

裁判を起こすには、請求額に応じた手数料を納め、証人の旅費や鑑定の費用もかかります。これらを誰が負担するかを放っておくと、正しい権利を持つ人が費用倒れになります。そこで民事訴訟法は、原則として負けた側に負担させる一方、勝った側が無駄な手続で費用を増やしたときはその分を負担させるなど、公平に配分する仕組みを置いています。お金がないために裁判を受けられないことがないよう、費用の支払を猶予する訴訟上の救助の制度もあります。

公開の法廷の場面。法壇の先生(札「裁判所」)が判決の主文を読み上げ、主文の紙に「1 被告は原告に100万円を支払え。2 訴訟費用は被告の負担とする。」と書かれている。原告席にも被告席にも「申立書」は置かれていない。法壇の脇の掲示「67条1項

裁判所は事件を完結する裁判で、申立てがなくても職権で、その審級の訴訟費用の全部について負担の裁判をしなければなりません

訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とするのが原則です(61条)。裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における訴訟費用の全部について、その負担の裁判をしなければなりません(67条1項本文)。訴訟費用の負担は訴訟物の判断に付随する事項なので、処分権主義(246条)の外にあり、申立てを待ちません。「裁判所は,終局判決において,当事者の申立てがなくても,訴訟費用の負担について裁判をしなければならない」という肢と、「当事者が申立てをしない場合でも、判決において、訴訟費用の負担の裁判をしなければならない」という肢は正しいです。上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合は、訴訟の総費用について負担の裁判をします(同条2項)。負担の裁判を脱漏したときは、申立てにより又は職権で決定で補います(258条2項)。訴訟費用に入るのは、訴え提起の手数料(民事訴訟費用等に関する法律で額が決まります)や証人・鑑定の費用など法律が定めるものに限られ、当事者が任意に選任した弁護士の報酬は、裁判所が付添いを命じた場合のほかは含まれません。弁護士に依頼するかどうかは当事者の自由だからで、「当事者が任意で選任した訴訟代理人である弁護士に対して支払う報酬も含まれる」という肢は誤りです。

  • 敗訴者負担訴訟費用は敗訴の当事者が負担します(61条)
  • 不必要な行為勝訴者にも、権利の伸張又は防御に必要でない行為で生じた費用を負担させられます(62条)
  • 訴訟の遅滞適切な時期に攻撃防御方法を出さず、期日・期間を守らないなど責めに帰すべき事由で遅滞させた当事者には、勝訴しても遅滞による費用を負担させられます(63条)
  • 一部敗訴各当事者の負担は裁判所が裁量で定めます(64条)
  • 和解費用の負担について特別の定めがなければ各自が負担します(68条)
  • 取下げなど裁判と和解によらないで完結したときは、申立てにより第一審裁判所が決定で負担を命じます(73条1項)

勝訴した当事者でも、権利の伸張や防御に必要でない行為や、責めに帰すべき事由による訴訟の遅滞で生じた費用は負担させられます

裁判所は、事情により、勝訴の当事者に、その権利の伸張若しくは防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができます(62条)。「敗訴の当事者が負担するのが原則であるが,裁判所は,事情により,勝訴の当事者に,その権利の伸張又は防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる」という肢は正しいです。当事者が適切な時期に攻撃若しくは防御の方法を提出しないことにより、又は期日若しくは期間の不遵守その他当事者の責めに帰すべき事由により訴訟を遅滞させたときも、その当事者に、勝訴の場合でも遅滞によって生じた費用の全部又は一部を負担させられます(63条)。適時提出主義(156条)を費用の面から支える規定です。「当事者が適切な時期に攻撃防御方法を提出しないことにより訴訟を遅滞させたときは,裁判所は,その当事者に,その勝訴の場合においても,遅滞によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる」という肢は正しく、裁判長が定めた準備書面の提出期間を責めに帰すべき事由で守らずに遅滞させた当事者に遅滞による費用の全部を負担させられるという肢も正しいです。制裁の全体は「民事訴訟法上の制裁の一覧」で扱います。

和解で費用の定めをしなければ各自が負担し、訴えの取下げのときは申立てにより第一審裁判所が決定で負担を命じます

当事者が裁判所において和解をした場合に、和解の費用又は訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は各自が負担します(68条)。各自が自分の支出した費用を負担するのであって、合計を折半するのではありません。「当事者双方が半分ずつ平等に負担する」という肢は誤りで、「各当事者が自己の支出した訴訟費用を負担することになる」という肢は正しいです。訴訟費用の負担だけで譲歩し合う和解もでき、原告が請求の全部を放棄しつつ訴訟費用の負担について相手方が譲歩する内容の和解も有効です(大判昭和8年2月13日)。この肢は正しいです。訴訟が裁判及び和解によらないで完結したとき、例えば訴えが取り下げられたときは、申立てにより、第一審裁判所が決定で訴訟費用の負担を命じます(73条1項前段)。「第一審裁判所は,当事者の申立てにより,訴えの取下げまでに生じた訴訟費用の負担を命じなければならない」という肢は正しいです。負担の裁判が執行力を生じた後、具体的な費用の額は、申立てにより、第一審裁判所の裁判所書記官が定めます(71条1項)。「当事者が負担すべき訴訟費用の額は,第一審裁判所の裁判所書記官が定める」という肢は正しいです。

裁判所書記官室の受付カウンターの場面。カウンターの前の男性(札「原告」)が判決書を指さし、判決書の主文に「請求認容」「訴訟費用の一部は原告の負担」と書かれている。男性は控訴状を出そうとしているが、カウンターの奥の先生(札「先生」)が首を横に

訴訟費用の負担の裁判だけを不服として独立して控訴することはできず、本案で全部勝訴した原告は費用の負担を理由に控訴できません

訴訟費用の負担の裁判に対しては、独立して控訴をすることができません(282条)。費用の負担は本案の結論に従って決まる付随的なものなので、本案と切り離して争わせると上級審の負担が重くなるからです。上告にも準用され(313条)、抗告にも同じ扱いが及びます。「訴訟費用の負担の裁判に対しては,独立して控訴をすることができない」という肢と、「訴訟費用の負担の裁判に対しては,独立して不服を申し立てることができない」という肢は正しいです。判例も、訴訟費用の裁判に対しては独立して上訴できないとしています(最判昭和29年1月28日)。請求を全部認容された原告は本案について控訴の利益がないので、訴訟費用の一部を負担させられたことだけを理由に控訴することはできません。「Xは,訴訟費用の負担の裁判を不服として控訴することができる」という肢は誤りです。

訴訟上の救助は資力のない者などに申立てにより与えられ、資力の判断では弁護士費用を払う資力がないことも考慮できます

訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者、又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができます(82条1項本文)。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限り(同項ただし書)、救助の決定は審級ごとにします(同条2項)。条文は「申立てにより」とだけ書いているので、「訴訟上の救助の決定は,申立て又は職権ですることができる」という肢は誤りです。救助の決定は、裁判費用の支払の猶予、付添いを命じた弁護士の報酬・費用の支払の猶予、訴訟費用の担保の免除の効力を持ちます(83条1項)。82条の「訴訟の準備及び追行に必要な費用」には弁護士費用も含まれるので、手数料や鑑定費用について救助するかを判断するときに、弁護士費用を払う資力がないことを考慮できます。弁護士費用を損害として相手方に請求できるかどうかは関係がないので、「弁護士費用を支払う資力がないことを考慮することはできない」という肢は誤りです。救助の決定に対しては即時抗告ができます(86条)。なお、訴え提起の手数料を納めないときは、現行法では裁判所書記官が納付を命じる処分をし、納付がなければ裁判長が命令で訴状を却下します(137条の2)。

民事訴訟法61条

訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする。

民事訴訟法67条1項

裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における訴訟費用の全部について、その負担の裁判をしなければならない。ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。

民事訴訟法68条

当事者が裁判所において和解をした場合において、和解の費用又は訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。

民事訴訟法82条1項

訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができる。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限る。

民事訴訟法282条

訴訟費用の負担の裁判に対しては、独立して控訴をすることができない。

試験ではこう問われる

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