第1条過去問 4
この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。
この条文の過去問 4問
商慣習が民法上の強行規定に優先して適用されることはない。
解説
本肢は誤り。商法1条2項は「商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法の定めるところによる」と定め、商事関係における法源の適用順位を、商法典(および商事特別法)→商慣習→民法の順とする。ここで重要なのは、同項が商慣習を民法に優先させている点であり、この優先は民法の任意規定に対してのみ働くのではなく、民法の強行規定に対しても及ぶと解されている。すなわち、本来は当事者の合意によっても排除できないはずの民法の強行規定であっても、商事に関する事項については、これを排して商慣習が適用される余地があるということであり、これを商慣習の民事法に対する「変更的効力」と呼ぶ。
法の適用に関する通則法3条は、慣習に法律と同一の効力を認めるのを「法令の規定により認められたもの又は法令に規定されていない事項に関するもの」に限っており、原則として制定法が慣習に優先する。しかし商法1条2項は、まさに「法令の規定により認められたもの」として、商事に関する限り商慣習に民法を排除する効力を与えたものと位置づけられる。商取引の迅速性・定型性・営利性という特質に照らし、民事法の一般原則をそのまま適用したのでは取引の実情に反する場合があることが、この特則の実質的根拠である。
したがって、商慣習が民法上の強行規定に優先して適用される場合はあり、「優先して適用されることはない」とする本肢は誤りである。
商事に関しては,商法に定めがない事項について商慣習があれば, それに従う。
解説
本肢は正しい。商法1条2項は「商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法の定めるところによる」と規定しており、本肢はこの条文の内容をそのまま述べたものである。
同項にいう「この法律に定めがない事項」とは、商法典に規定がない事項をいい、実務上は会社法・手形法・小切手法・保険法等の商事特別法を含む商事制定法に定めのない事項を指すものとして扱われる。したがって商事に関する法源の適用順位は、まず商事自治法(定款・取引所規則等)および商事特別法、次いで商法典、次いで商慣習、最後に民法(さらに民事慣習)という順序になる。制定法である商法が慣習に優先するのは、法の適用に関する通則法3条の原則どおりであるが、商慣習が民法に優先する点が商法1条2項の特則としての意義である。
なお、平成17年改正前の商法1条は「商慣習法」という文言を用いていたが、現行法は「商慣習」とする。この文言変更は、法的確信に支えられた慣習法のみならず広く商慣習を含める趣旨か、実質は従前と変わらないかにつき議論があるものの、商法に定めのない商事につき商慣習が民法に優先して適用されるという規律自体に変更はない。よって本肢は正しい。
商慣習が民法上の強行規定に優先して適用されることはない。
解説
本肢は誤り。商法1条2項は、商事に関し、商法に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときに初めて民法の定めるところによる、と規定する。すなわち法適用の順位は、商事特別法→商法→商慣習→民法の順であり、商慣習は民法に優先する。ここでいう「民法」は任意規定に限定されておらず、通説は、商慣習(法的確信を伴う商慣習法)は民法の強行規定にも優先し得ると解している。法の適用に関する通則法3条は、公序良俗に反しない慣習のうち、法令の規定により認められたもの又は法令に規定されていない事項に関するものに限って法律と同一の効力を認めるにとどまるが、商法1条2項はまさにこの「法令の規定により認められたもの」に当たり、商慣習法に法律と同一の効力を与えたうえ、さらに民法に対する優先的地位まで付与した特則と位置づけられる。その趣旨は、商取引の迅速性・集団性・定型性という要請から、私人間の一般法理である民法の規律をそのまま及ぼすことが適当でない場面が生じるため、生きた取引実態から生成した規範を優先させる点にある。現に、手形法上明文のない白地手形の効力など、既存の制定法が予定していなかった法律関係が商慣習法によって承認されてきた。したがって、民法上の強行規定に優先して適用されることは「ない」と断ずる本肢は誤りである。
商事に関しては,商法に定めがない事項について商慣習があれば, それに従う。
解説
本肢は正しい。商法1条2項は、「商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法の定めるところによる」と定めており、本肢はこの条文の内容をそのまま述べたものである。商法典に規定がある事項については当然に商法が適用され(なお、商事特別法・商事自治法があればそれが商法に優先する)、商法に規定がない事項について商慣習が存在すれば、民法に先立って商慣習が適用される。これは、商取引の実際において絶えず新しい取引類型が生成し、制定法がその展開に追いつかないという商法の特質を踏まえ、取引社会に定着した規範に法源としての地位を認めたものである。なお、条文は平成17年改正前は「商慣習法」と表記されていたが、現行法は「商慣習」と改められている。これを、法的確信を要しない単なる事実たる慣習まで含める趣旨と解するかについては学説上争いがあるものの、少なくとも法的確信に支えられた商慣習が商法に定めのない事項につき民法に優先して適用される点は争いがなく、本肢の記述は条文どおりで正しい。