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用語集 / 刑事訴訟法 / 有罪判決・無罪判決の要件と理由

有罪判決・無罪判決の要件と理由(333〜336条)とは

ゆうざいはんけつむざいはんけつのようけんとりゆう

刑事訴訟法 裁判・既判力・上訴

有罪判決とは、被告事件について犯罪の証明があったときに、判決で刑を言い渡し、又は刑を免除する裁判です。無罪判決とは、被告事件が罪とならないとき、又は犯罪の証明がないときに、判決で無罪を言い渡す裁判です。有罪判決の理由には罪となるべき事実、証拠の標目、法令の適用を示します。

刑事裁判の終わり方は三つに分かれます。犯罪が証明されれば有罪の判決で刑を言い渡し、証明されなければ無罪の判決、そもそも裁判をする条件が欠けていれば公訴棄却や免訴という形式裁判です。起訴された事実がそもそも犯罪に当たらないとき、たとえば起訴状に書かれた行為が罪にならないと分かったときも、手続を打ち切るのではなく無罪を言い渡します。被告人にとって無罪の判決は、刑事補償や再起訴の禁止につながる最も強い決着だからです。有罪の判決には、何を認定し、どの証拠で、どの条文を使ったかを書きます。

法廷の場面。先生が裁判長役(札「裁判長」)で法壇に立ち、判決書を読んでいる。判決書の紙面に大きく「主文 被告人は無罪」と読める文字。被告人席の男性(札「被告人」)が顔を上げている。先生の吹き出し「起訴された事実は罪とならない。公訴棄却ではな

犯罪の証明があれば判決で刑を言い渡し、刑を免除するときも判決でします

被告事件について犯罪の証明があったときは、刑を免除する場合を除いて、判決で刑の言渡しをしなければなりません(刑事訴訟法333条1項)。刑の全部又は一部の執行猶予は、刑の言渡しと同時に判決で言い渡し、猶予期間中保護観察に付する場合も同じです(同条2項)。被告事件について刑を免除するときも判決でその旨を言い渡します(334条)。刑の免除は有罪を前提にした判決です。未決勾留日数の算入(刑法21条)や没収・追徴も有罪判決の中で言い渡します。即決裁判手続では、できる限り即日判決を言い渡し、拘禁刑を言い渡すときは必ず執行猶予を付けます。もっとも、即決裁判手続でも有罪とするには合理的な疑いを超える程度の証明が要り、証拠の優越では足りません。「即決裁判手続において「罪となるべき事実」を認定する場合には、同事実の存在を肯定する証拠の証明力がそれを否定する証拠の証明力を上回る程度の証明、いわゆる証拠の優越で足りる」という肢は誤りです。

有罪の言渡しには罪となるべき事実・証拠の標目・法令の適用を示し、主張された阻却事由等には判断を示します

有罪の言渡しをするには、罪となるべき事実、証拠の標目及び法令の適用を示さなければなりません(335条1項)。罪となるべき事実は裁判所が認定した犯罪事実、証拠の標目は認定に用いた証拠の一覧、法令の適用は適用した罰条等です。法律上犯罪の成立を妨げる理由(正当防衛・心神喪失など)又は刑の加重減免の理由となる事実(心神耗弱・自首・累犯など)が主張されたときは、これに対する判断を示さなければなりません(同条2項)。「有罪の言渡しをするには、罪となるべき事実のみならず、証拠の標目及び法令の適用を示さなければならない」という肢、「法律上犯罪の成立を妨げる理由又は刑の加重減免の理由となる事実が主張されたときは、これに対する判断を示さなければならない」という肢は正しいです。これらを欠くと、判決に理由を付さず又は理由に食い違いがあるものとして絶対的控訴理由になります(378条4号)。共謀共同正犯の共謀も罪となるべき事実なので、厳格な証明が要ります。

裁判官室の机の場面。先生が裁判官役(札「裁判官」)で判決書を書いている。机の上の判決書に三つの見出し「罪となるべき事実」「証拠の標目」「法令の適用」が並び、その下に小さく「正当防衛の主張に対する判断」と書かれている。先生の吹き出し「有罪の理

罪とならないときも犯罪の証明がないときも、公訴棄却ではなく無罪の判決です

被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡しをしなければなりません(336条)。罪とならないときとは、起訴された事実が認められてもそれが犯罪の構成要件に当たらないときや、違法性や責任が阻却されるときです。犯罪の証明がないときとは、審理を尽くしても合理的な疑いを超える証明に至らないときです。どちらも実体判断なので、手続を打ち切る公訴棄却ではなく無罪です。「被告事件が罪とならないときは、判決で公訴を棄却しなければならない」という肢は誤りです。起訴状に記載された事実そのものが真実でも何らの罪となるべき事実を包含していないことが明らかなときに決定で公訴を棄却する規定(339条1項2号)は、起訴状の記載から一見して罪にならない場合の形式裁判で、審理の結果として罪とならないと判断する336条前段とは別です。無罪判決の宣告があったときは勾留状は効力を失い(345条)、身体を拘束されていた被告人は刑事補償を請求できます。無罪が確定すると一事不再理効が生じ、同じ事件を再び起訴すれば免訴になります(337条1号)。

  • 有罪(333条)犯罪の証明あり→判決で刑の言渡し。執行猶予・保護観察は同時に判決で。理由は罪となるべき事実・証拠の標目・法令の適用(335条1項)+主張された阻却事由・加重減免事由への判断(2項)
  • 刑の免除(334条)犯罪の証明はあるが刑を免除するとき→判決。有罪判決の一種
  • 無罪(336条)罪とならないとき/犯罪の証明がないとき→判決。勾留状は失効(345条)。刑事補償の対象。一事不再理効
  • 形式裁判免訴(337条・判決)/公訴棄却(338条・判決、339条・決定)/管轄違い(329条・判決)。実体判断をしない

刑事訴訟法333条

被告事件について犯罪の証明があつたときは、第三百三十四条の場合を除いては、判決で刑の言渡をしなければならない。刑の執行猶予は、刑の言渡しと同時に、判決でその言渡しをしなければならない。猶予の期間中保護観察に付する場合も、同様とする。

刑事訴訟法335条

有罪の言渡をするには、罪となるべき事実、証拠の標目及び法令の適用を示さなければならない。法律上犯罪の成立を妨げる理由又は刑の加重減免の理由となる事実が主張されたときは、これに対する判断を示さなければならない。

刑事訴訟法336条

被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない。

論文ではこう使う

論文で裁判所がどの裁判をすべきかを問われたときは、まず訴訟条件を確かめて形式裁判(公訴棄却・免訴・管轄違い)になるかを先に判断し、訴訟条件が備わっていれば実体判断に進み、犯罪の証明があれば有罪、罪とならないか証明がなければ無罪と結びます。訴因と異なる事実を認定して有罪にできるかが論点のときは、訴因変更の要否を先に論じ、縮小認定なら訴因変更なしに有罪にできることを書きます。有罪判決の理由の記載が問題なら、335条1項の三つの要素と2項の判断の要否を条文で示します。

試験ではこう問われる

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