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用語集 / 刑事訴訟法 / 控訴審の手続

控訴審の手続(申立書・趣意書・弁論は弁護人・被告人の出頭)とは

こうそしんのてつづき

刑事訴訟法 裁判・既判力・上訴

控訴審の手続とは、控訴申立書を第一審裁判所に差し出し、控訴趣意書を控訴裁判所に差し出して、控訴趣意書に基づく弁論と必要な事実の取調べを経て判決に至る流れです。控訴審では被告人のためにする弁論は弁護人でなければできず、被告人は公判期日に出頭することを要しません。

控訴は二段構えで始まります。まず判決から14日以内に「控訴します」という申立書を判決をした裁判所に出し、次に「どこが不服か」を書いた控訴趣意書を高等裁判所に出します。控訴審の法廷では、第一審のように被告人が自分の言葉で争うのではなく、弁護人が控訴趣意書に沿って法律的に主張します。記録を点検する手続なので、被告人が来なくても審理は進みます。簡易裁判所の刑事判決でも控訴先は地方裁判所ではなく高等裁判所です。

高等裁判所の法廷の場面。先生が弁護人役(札「弁護人」)で立って控訴趣意書と書かれた書面を手に弁論している。法壇に三人の裁判官(札「控訴裁判所」)。被告人席は空いていて札「被告人(出頭不要)」。検察官席に男性(札「検察官」)。先生の吹き出し「

控訴申立書は第一審裁判所に、控訴趣意書は控訴裁判所に差し出します

控訴をするには、申立書を第一審裁判所に差し出さなければなりません(刑事訴訟法374条)。「申立書を控訴裁判所に差し出さなければならない」という肢は誤りです。申立てが明らかに控訴権の消滅後にされたものであるときは第一審裁判所が決定で棄却します(375条)。控訴申立人は、裁判所の規則で定める期間内に控訴趣意書を控訴裁判所に差し出さなければならず(376条1項)、控訴理由ごとに定められた疎明資料や保証書を添付します(377条〜383条)。期間内に控訴趣意書を出さないとき、方式に違反するとき、記載された理由が明らかに控訴理由に当たらないときは、控訴裁判所が決定で控訴を棄却します(386条)。控訴裁判所は控訴趣意書に包含された事項を調査しなければなりません(392条1項)。簡易裁判所がした刑事の第一審判決に対する控訴は高等裁判所が裁判権を持ち(裁判所法16条1号)、「地方裁判所が裁判権を有する」という肢は誤りで、「地方裁判所ではなく、高等裁判所が裁判権を有する」という肢は正しいです。

控訴審では被告人のためにする弁論は弁護人でなければできず、被告人は出頭を要しません

控訴審では弁護士以外の者を弁護人に選任できず(387条)、被告人のためにする弁論は弁護人でなければすることができません(388条)。公判期日には検察官及び弁護人が控訴趣意書に基づいて弁論をします(389条)。第一審の公判に関する規定は控訴審に準用されますが(404条)、388条が特別の定めとして被告人自身の弁論を除いています。「控訴審では、第一審の公判手続に関する規定が準用されるので、被告人は、公判期日において、控訴趣意書に基づき自ら弁論をすることができる」という肢は誤りで、「控訴審では、被告人自身が弁論をすることはできず、控訴趣意書を被告人が差し出した場合でも、それに基づく弁論は弁護人が行う」という肢は正しいです。弁護人が出頭せず又は選任が無いときは、必要的弁護事件や決定で弁護人を付した場合を除き、検察官の陳述を聴いて判決できます(391条)。被告人は控訴審の公判期日に出頭することを要しません(390条本文)。ただし裁判所は、一定の軽微な罰金・科料の事件以外の事件について、被告人の出頭がその権利の保護のため重要であると認めるときは出頭を命ずることができます(同条ただし書)。「控訴審において、裁判所は、公判期日に被告人が出頭しなければ開廷することができない」という肢は誤りです。

教室の板書の場面。先生が黒板の前に立ち、黒板に左から右へ流れる矢印の図が描かれている。「判決宣告」→「14日以内に控訴申立書→第一審裁判所」→「控訴趣意書→控訴裁判所(高裁)」→「弁護人が趣意書に基づき弁論」→「判決(棄却/破棄差戻し/破棄

第一審でした証拠の同意は控訴審で撤回できず、即決裁判手続の判決には事実誤認を理由とする控訴ができません

第一審で書面や供述を証拠とすることに同意し(326条)、その証拠調べが済んだ後は、同意の効果は確定しているので、控訴審で撤回したり改めて不同意としたりすることはできません。第一審において証拠とすることができた証拠は控訴審においても証拠とすることができます(394条)。「その効果は、第一審にしか及ばないので、控訴審では、その書面又は供述を不同意とすることができる」という肢は誤りです。即決裁判手続においてされた判決に対する控訴の申立ては、その判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について事実誤認があることを理由としてはすることができず(403条の2第1項)、控訴裁判所も同じ理由では原判決を破棄できません(同条2項)。即決裁判手続は被告人が事実を争わないことを前提に簡易迅速に行う手続だからです。もっとも、量刑不当や法令違反を理由とする控訴はできるので、「即決裁判手続においてされた判決に対しては、控訴の申立てをすることができない」という肢は誤りです。

  • 申立て控訴申立書を第一審裁判所へ(374条)、14日以内(373条)
  • 趣意書控訴趣意書を控訴裁判所へ(376条)。理由ごとに疎明資料・保証書を添付。不提出・方式違反・明らかに理由に当たらないときは決定で棄却(386条)
  • 弁論弁護人だけが被告人のための弁論をする(388条)。弁護士以外は弁護人になれない(387条)。控訴趣意書に基づく(389条)
  • 被告人の出頭要しない(390条本文)。権利保護のため重要なら出頭を命じられる(ただし書)
  • 証拠第一審で証拠にできた証拠は控訴審でも証拠にできる(394条)。同意の撤回は不可
  • 裁判所簡裁の刑事判決の控訴も高裁(裁判所法16条1号)
  • 即決裁判手続の判決罪となるべき事実の事実誤認を理由とする控訴は不可(403条の2)。他の理由ならできる

刑事訴訟法376条1項

控訴申立人は、裁判所の規則で定める期間内に控訴趣意書を控訴裁判所に差し出さなければならない。

刑事訴訟法388条

控訴審では、被告人のためにする弁論は、弁護人でなければ、これをすることができない。

刑事訴訟法390条本文

控訴審においては、被告人は、公判期日に出頭することを要しない。

刑事訴訟法403条の2第1項

即決裁判手続においてされた判決に対する控訴の申立ては、第三百八十四条の規定にかかわらず、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について第三百八十二条に規定する事由があることを理由としては、これをすることができない。

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