裁判の種類と形式(判決・決定・命令、口頭弁論、理由、告知)とは
さいばんのしゅるいとけいしき
裁判の種類とは、裁判所がする判決・決定と裁判官がする命令の区別です。判決は口頭弁論に基づいて公判廷で宣告により告知し、決定と命令は口頭弁論を要しません。裁判には理由を付しますが、上訴を許さない決定や命令には要りません。
裁判所の判断には、有罪・無罪のように事件そのものに決着をつけるものと、保釈を許すかどうかのように途中で決める細かな判断があります。前者を判決、後者を決定と呼び、裁判官が一人でする判断は命令といいます。判決は人の一生を左右するので、公開の法廷で当事者の弁論を聞いたうえで言い渡し、理由も付けなければなりません。決定や命令は迅速さが求められるので弁論は要りません。無罪は事件の決着ですから、決定ではなく判決の形式でなければなりません。
判決は口頭弁論に基づいて行い、決定と命令は口頭弁論を要しません
判決は、法律に特別の定めのある場合を除いて、口頭弁論に基づいてしなければなりません(刑事訴訟法43条1項)。決定又は命令は口頭弁論に基づくことを要せず(同条2項)、必要があれば事実の取調べをすることができます(同条3項)。判決は裁判所がする終局の裁判で、決定は裁判所がする判決以外の裁判、命令は裁判長や受命裁判官など裁判官がする裁判です。判決以外の裁判は判事補が一人でできます(45条)。公訴棄却には判決でする場合(338条)と決定でする場合(339条)があり、起訴状謄本の不送達や被告人の死亡など形式的で明白な事由による公訴棄却は決定でするので、口頭弁論は要りません。「裁判所は、決定をもって公訴を棄却する場合、口頭弁論に基づく必要はない」という肢は正しいです。無罪は被告事件の実体についての終局判断ですから、判決でしなければならず(336条)、「無罪の言渡しをする場合には、決定ではなく、判決でしなければならない」という肢は正しいです。
裁判には理由を付しますが、上訴を許さない決定や命令には要りません
裁判には理由を付さなければなりません(44条1項)。ただし、上訴を許さない決定又は命令には理由を付することを要しません(同条2項本文)。高等裁判所の決定のように抗告はできないが異議の申立てができる決定には理由が要ります(同項ただし書)。有罪判決の理由に何を書くかは335条が定め、罪となるべき事実・証拠の標目・法令の適用を示します。理由を付さなかったり理由に食い違いがあったりすると絶対的控訴理由になります(378条4号)。被告人その他の訴訟関係人は、自己の費用で裁判書や裁判を記載した調書の謄本・抄本の交付を請求できます(46条)。
判決は公判廷で宣告して告知し、判決書謄本の交付だけでは告知になりません
判決は、公判廷において、宣告によりこれを告知します(342条)。宣告は裁判長が主文及び理由を朗読し、又は主文の朗読とともに理由の要旨を告げてします(刑事訴訟規則35条)。決定や命令は公判廷では宣告で、それ以外では裁判書の謄本の送達で告知しますが(規則34条)、判決にはこの謄本送達による告知が認められていません。「宣告をせずに判決書謄本を丙に交付するだけでは、丙に判決を告知したことにはならない」という肢は正しいです。上訴の提起期間は裁判が告知された日から進行するので(358条)、判決では宣告の日が起算点になります。判決の宣告をする公判期日には、必要的弁護事件であっても弁護人の立会いは要りません。宣告は裁判所の一方的な告知で当事者の弁論が予定されていないからです。「判決宣告を行うための公判期日に弁護人が出頭しなければ、裁判所は、判決を宣告することができない」という肢は誤りです。被告人の出頭は原則として必要で、拘禁刑以上の実刑判決の宣告期日には出頭義務が強められています(令和5年改正)。
宣告の後に裁判長は訓戒ができ、有罪の宣告では上訴期間と申立書の提出先を告知します
裁判長は、判決の宣告をした後、被告人に対し、その将来について適当な訓戒をすることができます(規則221条)。有罪の判決の宣告をする場合には、被告人に対し、上訴期間及び上訴申立書を差し出すべき裁判所を告知しなければなりません(規則220条)。「判決の宣告をした後、被告人に対し、その将来について適当な訓戒をすることができる」という肢、「上訴期間及び上訴申立書を差し出すべき裁判所を告知しなければならない」という肢はいずれも正しいです。刑の言渡しをしたときは、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときを除き、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければなりません(181条1項)。「被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときを除き、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない」という肢は正しいです。刑の言渡しをしない場合でも被告人の責めに帰すべき事由で生じた費用は負担させることができます(同条2項)。
- 判決裁判所の終局裁判。口頭弁論に基づく(43条1項)。公判廷で宣告により告知(342条)。理由必要。不服は控訴・上告
- 決定裁判所がする判決以外の裁判。口頭弁論不要(43条2項)。事実の取調べ可。理由は上訴を許さないものを除き必要。不服は抗告・即時抗告・異議
- 命令裁判長・受命裁判官・受託裁判官など裁判官がする裁判。口頭弁論不要。不服は準抗告(裁判官の裁判)
- 判決でするもの有罪(333条)・刑の免除(334条)・無罪(336条)・免訴(337条)・338条の公訴棄却・管轄違い(329条)
- 決定でするもの339条の公訴棄却(起訴状不送達・公訴取消し・被告人死亡等)・保釈・勾留・証拠決定・公判手続の停止など
刑事訴訟法43条1項・2項
判決は、この法律に特別の定のある場合を除いては、口頭弁論に基いてこれをしなければならない。決定又は命令は、口頭弁論に基いてこれをすることを要しない。
刑事訴訟法44条
裁判には、理由を附しなければならない。上訴を許さない決定又は命令には、理由を附することを要しない。但し、第四百二十八条第二項の規定により異議の申立をすることができる決定については、この限りでない。
刑事訴訟法342条
判決は、公判廷において、宣告によりこれを告知する。
刑事訴訟法181条1項
刑の言渡をしたときは、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない。但し、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときは、この限りでない。
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