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用語集 / 刑事訴訟法 / 刑事補償と費用補償

刑事補償と費用補償とは

けいじほしょうとひようほしょう

刑事訴訟法 再審・特別手続・裁判員・少年・刑事補償

刑事補償とは、無罪の裁判を受けた者が未決の抑留・拘禁や刑の執行を受けていた場合に、国に対して金銭の補償を請求できる制度です(刑事補償法1条)。費用補償とは、無罪の判決が確定したときに、国が被告人であった者に裁判に要した費用を補償する制度です(刑事訴訟法188条の2)。

逮捕・勾留されて長い間拘束され、裁判の結果が無罪だったとしても、失われた時間は戻りません。そこで憲法40条は、抑留又は拘禁された後に無罪の裁判を受けたときは国に補償を求められると定め、刑事補償法がその中身を決めています。これが刑事補償です。拘束された日数に応じて一定の範囲の金額が支払われます。これとは別に、無罪になった人が払った弁護士の報酬や出頭の交通費を国が持つ費用補償が刑事訴訟法にあります。どちらも請求先と期間が決まっています。

裁判所の受付で刑事補償を請求する場面。先生が裁判官役(札「無罪の裁判をした裁判所」)でカウンターの内側に座り、向かいに中年の男性(札「無罪が確定した人」)が「刑事補償請求書」と書いた書面を差し出し、「勾留されていた120日分をお願いします」

刑事補償は無罪の裁判を受けた者が、未決の抑留・拘禁や刑の執行を受けていた場合に国に請求できます

刑事訴訟法による通常手続又は再審若しくは非常上告の手続において無罪の裁判を受けた者が、未決の抑留又は拘禁を受けていた場合には、国に対して抑留又は拘禁による補償を請求することができます(刑事補償法1条1項)。上訴権回復による上訴、再審又は非常上告の手続で無罪の裁判を受けた者が、原判決によって既に刑の執行や死刑確定者としての拘置を受けていた場合には、刑の執行又は拘置による補償を請求できます(同条2項)。補償を請求できる者が請求しないで死亡したときは、相続人が請求できます(2条1項)。免訴又は公訴棄却の裁判を受けた者も、免訴又は公訴棄却の裁判をすべき事由がなかったならば無罪の裁判を受けるべきものと認められる十分な事由があるときは、補償を請求することができます(25条1項)。他方で、本人が捜査又は審判を誤らせる目的で虚偽の自白をし、又は他の有罪の証拠を作為することにより起訴・抑留・拘禁・有罪の裁判を受けるに至ったと認められる場合や、一個の裁判で併合罪の一部について無罪を受けても他の部分について有罪を受けた場合には、裁判所の健全な裁量により補償の一部又は全部をしないことができます(3条)。

補償金は抑留・拘禁1日につき1,000円以上12,500円以下で、請求は無罪の裁判をした裁判所へ確定から3年以内にします

抑留又は拘禁による補償では、その日数に応じて1日1,000円以上12,500円以下の割合による額の補償金が交付され、拘禁刑・拘留の執行や拘置による補償も同様です(4条1項)。裁判所は額を定めるにあたり、拘束の種類と期間、本人が受けた財産上の損失、得るはずであった利益の喪失、精神上の苦痛と身体上の損傷、警察・検察・裁判の各機関の故意過失の有無その他一切の事情を考慮します(同条2項)。死刑の執行による補償は3,000万円以内で裁判所が相当と認める額ですが、本人の死亡によって生じた財産上の損失額が証明されたときは、その損失額に3,000万円を加算した額の範囲内になります(同条3項)。罰金・科料の執行による補償は徴収額に法定利率による金額を加えた額です(同条5項)。補償の請求は無罪の裁判をした裁判所に対してしなければならず(6条)、無罪の裁判が確定した日から3年以内にしなければなりません(7条)。補償を受けるべき者が国家賠償法などにより損害賠償を請求することは妨げられませんが、同一の原因について損害賠償を受けたときは、その額が補償金の額に等しいか超える場合には補償せず、少ないときは差し引いて定めます(5条)。

教室で先生が教師役(札「刑事訴訟法」)が黒板の前に立つ場面。黒板を縦線で二分し、左の見出し「刑事補償(刑事補償法)」、右の見出し「費用補償(刑訴188条の2)」。左の列に札「抑留・拘禁・刑の執行への補償」「1日 1,000〜12,500円」

費用補償は無罪判決の確定から6か月以内に無罪判決をした裁判所へ請求し、決定で行われます

無罪の判決が確定したときは、国は、その事件の被告人であった者に対し、その裁判に要した費用の補償をします(刑事訴訟法188条の2第1項本文)。被告人であった者の責めに帰すべき事由によって生じた費用は補償しないことができ(同項ただし書)、捜査又は審判を誤らせる目的で虚偽の自白をするなどして公訴の提起を受けるに至ったと認められるときは全部又は一部をしないことができます(同条2項)。補償は被告人であった者の請求により、無罪の判決をした裁判所が決定で行い(188条の3第1項)、請求は無罪の判決が確定した後6か月以内にしなければなりません(同条2項)。補償に関する決定に対しては即時抗告ができます(同条3項)。補償される費用の範囲は、被告人であった者とその弁護人であった者が公判準備及び公判期日に出頭するのに要した旅費・日当・宿泊料と、弁護人であった者に対する報酬に限られます(188条の6第1項)。検察官のみが上訴をして、上訴が棄却され又は取り下げられて原裁判が確定したときも、無罪判決の確定による場合を除き、国は上訴によりその審級で生じた費用を補償します(188条の4)。この請求は上訴裁判所であった最高裁判所又は高等裁判所に、原裁判の確定後2か月以内にします(188条の5)。

刑事補償と費用補償の対比

  • 刑事補償の要件無罪の裁判(通常手続・再審・非常上告)+未決の抑留・拘禁、又は再審等で無罪+刑の執行・拘置(刑事補償法1条)。免訴・公訴棄却でも無罪であったであろう十分な事由があれば可(25条)
  • 補償しないことができる場合本人の虚偽の自白・証拠の作為、併合罪の一部有罪(3条)
  • 補償金抑留・拘禁1日1,000円以上12,500円以下(4条1項)。死刑の執行は3,000万円以内+証明された損失額(4条3項)
  • 請求先と期間無罪の裁判をした裁判所へ(6条)、確定から3年以内(7条)
  • 費用補償無罪判決の確定で、裁判に要した費用(旅費・日当・宿泊料・弁護人の報酬)を国が補償(刑訴188条の2・188条の6)
  • 費用補償の請求無罪判決をした裁判所へ、確定から6か月以内(188条の3)。決定で行い、即時抗告ができる
  • 検察官のみ上訴の場合上訴審で生じた費用を補償。上訴裁判所へ確定から2か月以内(188条の4・188条の5)

刑事補償法1条1項

刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)による通常手続又は再審若しくは非常上告の手続において無罪の裁判を受けた者が同法、少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)又は経済調査庁法(昭和二十三年法律第二百六号)によつて未決の抑留又は拘禁を受けた場合には、その者は、国に対して、抑留又は拘禁による補償を請求することができる。

刑事補償法4条1項

抑留又は拘禁による補償においては、前条及び次条第二項に規定する場合を除いては、その日数に応じて、一日千円以上一万二千五百円以下の割合による額の補償金を交付する。拘禁刑若しくは拘留の執行又は拘置による補償においても、同様である。

刑事訴訟法188条の2第1項

無罪の判決が確定したときは、国は、当該事件の被告人であつた者に対し、その裁判に要した費用の補償をする。ただし、被告人であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、補償をしないことができる。

試験ではこう問われる

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