旅客運送契約は、運送人が旅客を運送することを約し、相手方がその結果に対してその運送賃を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
運送人は、旅客が運送のために受けた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送人が運送に関し注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
1旅客の生命又は身体の侵害による運送人の損害賠償の責任(運送の遅延を主たる原因とするものを除く。)を免除し、又は軽減する特約は、無効とする。
2前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。大規模な火災、震災その他の災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において運送を行うとき。運送に伴い通常生ずる振動その他の事情により生命又は身体に重大な危険が及ぶおそれがある者の運送を行うとき。
1 大規模な火災、震災その他の災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において運送を行うとき。
2 運送に伴い通常生ずる振動その他の事情により生命又は身体に重大な危険が及ぶおそれがある者の運送を行うとき。
1運送人は、旅客から引渡しを受けた手荷物については、運送賃を請求しないときであっても、物品運送契約における運送人と同一の責任を負う。
2運送人の被用者は、前項に規定する手荷物について、物品運送契約における運送人の被用者と同一の責任を負う。
3第一項に規定する手荷物が到達地に到着した日から一週間以内に旅客がその引渡しを請求しないときは、運送人は、その手荷物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる。この場合において、運送人がその手荷物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、旅客に対してその旨の通知を発しなければならない。
4損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある手荷物は、前項の催告をしないで競売に付することができる。
5前二項の規定により手荷物を競売に付したときは、運送人は、その代価を供託しなければならない。ただし、その代価の全部又は一部を運送賃に充当することを妨げない。
6旅客の住所又は居所が知れないときは、第三項の催告及び通知は、することを要しない。
この条文の過去問 1問
誤り。違うのは「当該従業員に対する監督を怠っていなければ,損害賠償の責任を負わない」の部分である。運送人が免責されるには、運送人自身とその使用する者が運送品の取扱いについて注意を怠らなかったことを証明する必要があり、従業員の選任監督に注意を払っただけでは足りない。
旅客運送人は、旅客から引渡しを受けた手荷物については、運送賃を請求しないときであっても、物品運送契約における運送人と同一の責任を負う(商法592条1項)。預かった以上は無償でも物品運送と同じ責任を負わせたのである。物品運送における運送人の責任は575条が定め、運送人は受取から引渡しまでの間の滅失・損傷・延着について損害を賠償する責任を負い、運送品の受取、運送、保管及び引渡しについて注意を怠らなかったことを証明したときに限り免責される。ここで証明すべき注意は、運送人自身の注意に尽きるものではなく、運送のために使用した従業員が運送品の取扱いについて注意を怠らなかったことを含む。判例も、運送人は使用した者に過失が無かったことを立証しない限り、その選任監督について注意を怠らなかったことを証明しても責任を免れないとしている(大判昭5.9.13)。使用者責任(民法715条1項ただし書)の免責事由とは異なる。したがって従業員の監督を怠っていなければ責任を負わないとする肢は誤っている。

運送人は、旅客から引渡しを受けた手荷物については、運送賃を請求しないときであっても、物品運送契約における運送人と同一の責任を負う。
1運送人は、旅客から引渡しを受けていない手荷物(身の回り品を含む。)の滅失又は損傷については、故意又は過失がある場合を除き、損害賠償の責任を負わない。
2第五百七十六条第一項及び第三項、第五百八十四条第一項、第五百八十五条第一項及び第二項、第五百八十七条(第五百七十六条第一項及び第三項、第五百八十四条第一項並びに第五百八十五条第一項及び第二項の規定の準用に係る部分に限る。)並びに第五百八十八条の規定は、運送人が前項に規定する手荷物の滅失又は損傷に係る損害賠償の責任を負う場合について準用する。この場合において、第五百七十六条第一項中「その引渡しがされるべき」とあるのは「その運送が終了すべき」と、第五百八十四条第一項中「荷受人が異議をとどめないで運送品を受け取った」とあるのは「旅客が運送の終了の時までに異議をとどめなかった」と、「荷受人が引渡しの日」とあるのは「旅客が運送の終了の日」と、第五百八十五条第一項中「運送品の引渡しがされた日(運送品の全部滅失の場合にあっては、その引渡しがされるべき日)」とあるのは「運送の終了の日」と読み替えるものとする。
この条文の過去問 1問
正しい。商人がその営業の範囲内において寄託を受けたときは、報酬を受けないときであっても、善良な管理者の注意をもって寄託物を保管しなければならない(商法595条)。
民法659条は、無報酬の受寄者は自己の財産に対するのと同一の注意をもって寄託物を保管する義務を負うと定め、有償の受寄者が負う善良な管理者の注意(400条)よりも注意義務を軽くしている。好意で無償で物を預かる者に重い義務を課すのは酷だからである。これに対し、商法595条は、商人がその営業の範囲内において寄託を受けたときは、報酬を受けないときであっても、善良な管理者の注意をもって寄託物を保管しなければならないと定め、民法659条の特則を置いている。商人は営業上の信用が重視され、個々の寄託が無償であっても、顧客を集めるなど営業全体としては利益につながっているから、無償であることを理由に注意義務を軽くすれば商人への信用を保てなくなるのである。したがって、商人が営業の範囲内で無償で寄託を受けた場合も、受寄者は善管注意義務を負う。本肢は同条の内容どおりである。

商人がその営業の範囲内において寄託を受けたときは、報酬を受けないときであっても、善良な管理者の注意をもって、寄託物を保管しなければならない。
第五百八十六条の規定は、旅客運送について準用する。