条文商法第2編第8章

第2節

商法取得日 2026年9月26日この範囲 19条 ・ 過去問 19問
第2節
第570条物品運送契約

物品運送契約は、運送人が荷送人からある物品を受け取りこれを運送して荷受人に引き渡すことを約し、荷送人がその結果に対してその運送賃を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

第571条送り状の交付義務等

1荷送人は、運送人の請求により、次に掲げる事項を記載した書面(次項において「送り状」という。)を交付しなければならない。運送品の種類運送品の容積若しくは重量又は包若しくは個品の数及び運送品の記号荷造りの種類荷送人及び荷受人の氏名又は名称発送地及び到達地

1 運送品の種類

2 運送品の容積若しくは重量又は包若しくは個品の数及び運送品の記号

3 荷造りの種類

4 荷送人及び荷受人の氏名又は名称

5 発送地及び到達地

2前項の荷送人は、送り状の交付に代えて、法務省令で定めるところにより、運送人の承諾を得て、送り状に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により提供することができる。この場合において、当該荷送人は、送り状を交付したものとみなす。

第572条危険物に関する通知義務

荷送人は、運送品が引火性、爆発性その他の危険性を有するものであるときは、その引渡しの前に、運送人に対し、その旨及び当該運送品の品名、性質その他の当該運送品の安全な運送に必要な情報を通知しなければならない。

第573条運送賃

1運送賃は、到達地における運送品の引渡しと同時に、支払わなければならない。

2運送品がその性質又は瑕疵によって滅失し、又は損傷したときは、荷送人は、運送賃の支払を拒むことができない。

第574条運送人の留置権

運送人は、運送品に関して受け取るべき運送賃、付随の費用及び立替金(以下この節において「運送賃等」という。)についてのみ、その弁済を受けるまで、その運送品を留置することができる。

第575条運送人の責任過去問 4

運送人は、運送品の受取から引渡しまでの間にその運送品が滅失し若しくは損傷し、若しくはその滅失若しくは損傷の原因が生じ、又は運送品が延着したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送人がその運送品の受取、運送、保管及び引渡しについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。

この条文の過去問 4問
2021年 予備試験 第28問 肢2
国内陸上運送人の被用者の過失により運送品が運送途中に全部滅失した場合には,荷受人は,当該運送人に対し,当該運送品の滅失により生じた損害の賠償を請求することができる。
2020年 予備試験 第28問 肢1
運送人の過失によって運送品が延着したときは,当該運送人がその延着について賠償の責任を負う額は,債務不履行責任に関する民法の規定により定められる。
2013年 司法試験 第53問 肢ア
運送品の滅失,毀損又は延着の場合における運送契約の債務不履行に基づく運送人の損害賠償責任の消滅時効期間は,運送人に悪意があるときを除き,1年である。
2010年 司法試験 第53問 肢5
旅客運送人は,旅客から無償で預かった手荷物が旅客運送人の従業員の過失によって毀損したとしても,当該従業員に対する監督を怠っていなければ,損害賠償の責任を負わない。
第576条損害賠償の額過去問 4

1運送品の滅失又は損傷の場合における損害賠償の額は、その引渡しがされるべき地及び時における運送品の市場価格(取引所の相場がある物品については、その相場)によって定める。ただし、市場価格がないときは、その地及び時における同種類で同一の品質の物品の正常な価格によって定める。

2運送品の滅失又は損傷のために支払うことを要しなくなった運送賃その他の費用は、前項の損害賠償の額から控除する。

3前二項の規定は、運送人の故意又は重大な過失によって運送品の滅失又は損傷が生じたときは、適用しない。

この条文の過去問 4問
2020年 予備試験 第28問 肢1
運送人の過失によって運送品が延着したときは,当該運送人がその延着について賠償の責任を負う額は,債務不履行責任に関する民法の規定により定められる。
2020年 予備試験 第28問 肢2
運送品が滅失し,又は損傷した場合において,送り状に当該運送品の価額が記載されていたときは,運送人がその滅失又は損傷について賠償の責任を負う額は,当該運送人の故意又は重大な過失によってその滅失又は損傷が生じたときを除き,その価額を限度とする。
2013年 司法試験 第53問 肢オ
運送人の過失(重大な過失を除く。)によって運送品の全部が滅失した場合には,運送契約の債務不履行による損害賠償の額は,運送品の引渡しがあるべき日における到達地での運送品の価格によって定まる。
2010年 司法試験 第53問 肢2
判例によれば,運送人は,運送品の全部が運送人の過失により滅失した場合には,荷送人又は荷受人に損害が全く生じなかったとしても,引渡しがあるべき日における到達地の価格によって定まる額の賠償責任を負う。
第577条高価品の特則過去問 3

1貨幣、有価証券その他の高価品については、荷送人が運送を委託するに当たりその種類及び価額を通知した場合を除き、運送人は、その滅失、損傷又は延着について損害賠償の責任を負わない。

2前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。物品運送契約の締結の当時、運送品が高価品であることを運送人が知っていたとき。運送人の故意又は重大な過失によって高価品の滅失、損傷又は延着が生じたとき。

1 物品運送契約の締結の当時、運送品が高価品であることを運送人が知っていたとき。

2 運送人の故意又は重大な過失によって高価品の滅失、損傷又は延着が生じたとき。

この条文の過去問 3問
2020年 予備試験 第28問 肢3
高価品である運送品が滅失し,又は損傷した場合において,荷送人が運送を委託するに当たりその種類及び価額を通知しなかったときは,運送人は,物品運送契約の締結の当時,当該運送品が高価品であることを知っていたとき又は運送人の故意若しくは重大な過失によってその滅失若しくは損傷が生じたときを除き,その滅失又は損傷について損害賠償の責任を負わない。
2013年 司法試験 第53問 肢イ
高価品について運送契約が締結される際に,高価品の種類及び価額の明告がされなかった場合には,運送契約の債務不履行による損害賠償の額は,運送品が高価品でなかったとしたときに生ずるであろう損害の額が上限となる。
2010年 司法試験 第53問 肢4
判例によれば,高価品の運送を委託した荷送人は,当該高価品の種類及び価額を明告しなかったとしても,当該高価品が,容積重量とも相当巨大であって,高価であることが一見明瞭な品種である場合には,その滅失につき運送人に対し損害賠償を請求することができる。
第578条複合運送人の責任過去問 1

1陸上運送、海上運送又は航空運送のうち二以上の運送を一の契約で引き受けた場合における運送品の滅失等(運送品の滅失、損傷又は延着をいう。以下この節において同じ。)についての運送人の損害賠償の責任は、それぞれの運送においてその運送品の滅失等の原因が生じた場合に当該運送ごとに適用されることとなる我が国の法令又は我が国が締結した条約の規定に従う。

2前項の規定は、陸上運送であってその区間ごとに異なる二以上の法令が適用されるものを一の契約で引き受けた場合について準用する。

この条文の過去問 1問
2010年 司法試験 第53問 肢1
湖上を航行する遊覧船の事業者が顧客と締結する契約には,商法第2編第8章に定める運送営業に関する規定は,適用されない。
第579条相次運送人の権利義務

1数人の運送人が相次いで陸上運送をするときは、後の運送人は、前の運送人に代わってその権利を行使する義務を負う。

2前項の場合において、後の運送人が前の運送人に弁済をしたときは、後の運送人は、前の運送人の権利を取得する。

3ある運送人が引き受けた陸上運送についてその荷送人のために他の運送人が相次いで当該陸上運送の一部を引き受けたときは、各運送人は、運送品の滅失等につき連帯して損害賠償の責任を負う。

4前三項の規定は、海上運送及び航空運送について準用する。

第580条荷送人による運送の中止等の請求

荷送人は、運送人に対し、運送の中止、荷受人の変更その他の処分を請求することができる。この場合において、運送人は、既にした運送の割合に応じた運送賃、付随の費用、立替金及びその処分によって生じた費用の弁済を請求することができる。

第581条荷受人の権利義務等過去問 3

1荷受人は、運送品が到達地に到着し、又は運送品の全部が滅失したときは、物品運送契約によって生じた荷送人の権利と同一の権利を取得する。

2前項の場合において、荷受人が運送品の引渡し又はその損害賠償の請求をしたときは、荷送人は、その権利を行使することができない。

3荷受人は、運送品を受け取ったときは、運送人に対し、運送賃等を支払う義務を負う。

この条文の過去問 3問
2021年 予備試験 第28問 肢2
国内陸上運送人の被用者の過失により運送品が運送途中に全部滅失した場合には,荷受人は,当該運送人に対し,当該運送品の滅失により生じた損害の賠償を請求することができる。
2020年 予備試験 第28問 肢4
運送人の過失によって運送品の全部が滅失したときは,当該運送人は,荷受人に対しても,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2013年 司法試験 第53問 肢ウ
運送人に対して運送契約によって生ずる権利を有するのは荷送人であって,荷受人が運送契約によって生ずる権利を取得することはない。
第582条運送品の供託及び競売

1運送人は、荷受人を確知することができないときは、運送品を供託することができる。

2前項に規定する場合において、運送人が荷送人に対し相当の期間を定めて運送品の処分につき指図をすべき旨を催告したにもかかわらず、荷送人がその指図をしないときは、運送人は、その運送品を競売に付することができる。

3損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある運送品は、前項の催告をしないで競売に付することができる。

4前二項の規定により運送品を競売に付したときは、運送人は、その代価を供託しなければならない。ただし、その代価の全部又は一部を運送賃等に充当することを妨げない。

5運送人は、第一項から第三項までの規定により運送品を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、荷送人に対してその旨の通知を発しなければならない。

第583条

前条の規定は、荷受人が運送品の受取を拒み、又はこれを受け取ることができない場合について準用する。この場合において、同条第二項中「運送人が」とあるのは「運送人が、荷受人に対し相当の期間を定めて運送品の受取を催告し、かつ、その期間の経過後に」と、同条第五項中「荷送人」とあるのは「荷送人及び荷受人」と読み替えるものとする。

第584条運送人の責任の消滅過去問 1

1運送品の損傷又は一部滅失についての運送人の責任は、荷受人が異議をとどめないで運送品を受け取ったときは、消滅する。ただし、運送品に直ちに発見することができない損傷又は一部滅失があった場合において、荷受人が引渡しの日から二週間以内に運送人に対してその旨の通知を発したときは、この限りでない。

2前項の規定は、運送品の引渡しの当時、運送人がその運送品に損傷又は一部滅失があることを知っていたときは、適用しない。

3運送人が更に第三者に対して運送を委託した場合において、荷受人が第一項ただし書の期間内に運送人に対して同項ただし書の通知を発したときは、運送人に対する第三者の責任に係る同項ただし書の期間は、運送人が当該通知を受けた日から二週間を経過する日まで延長されたものとみなす。

この条文の過去問 1問
2020年 予備試験 第28問 肢5
運送品に直ちに発見することができる損傷又は一部滅失があった場合には,運送人がその損傷又は一部滅失について負う損害賠償責任は,荷受人が異議をとどめないで当該運送品を受け取ったときは,当該運送品の引渡しの当時,当該運送人が当該運送品にその損傷又は一部滅失があることを知っていたときを除き,消滅する。
第585条過去問 1

1運送品の滅失等についての運送人の責任は、運送品の引渡しがされた日(運送品の全部滅失の場合にあっては、その引渡しがされるべき日)から一年以内に裁判上の請求がされないときは、消滅する。

2前項の期間は、運送品の滅失等による損害が発生した後に限り、合意により、延長することができる。

3運送人が更に第三者に対して運送を委託した場合において、運送人が第一項の期間内に損害を賠償し又は裁判上の請求をされたときは、運送人に対する第三者の責任に係る同項の期間は、運送人が損害を賠償し又は裁判上の請求をされた日から三箇月を経過する日まで延長されたものとみなす。

この条文の過去問 1問
2013年 司法試験 第53問 肢ア
運送品の滅失,毀損又は延着の場合における運送契約の債務不履行に基づく運送人の損害賠償責任の消滅時効期間は,運送人に悪意があるときを除き,1年である。
第586条運送人の債権の消滅時効

運送人の荷送人又は荷受人に対する債権は、これを行使することができる時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。

第587条運送人の不法行為責任過去問 1

第五百七十六条、第五百七十七条、第五百八十四条及び第五百八十五条の規定は、運送品の滅失等についての運送人の荷送人又は荷受人に対する不法行為による損害賠償の責任について準用する。ただし、荷受人があらかじめ荷送人の委託による運送を拒んでいたにもかかわらず荷送人から運送を引き受けた運送人の荷受人に対する責任については、この限りでない。

この条文の過去問 1問
2013年 司法試験 第53問 肢エ
判例によれば,運送人の故意又は過失により運送品が滅失し,荷送人に損害が生じた場合には,荷送人は,運送人に対し,運送契約に基づく債務不履行責任のみを追及することができ,不法行為責任を追及することはできない。
第588条運送人の被用者の不法行為責任過去問 1

1前条の規定により運送品の滅失等についての運送人の損害賠償の責任が免除され、又は軽減される場合には、その責任が免除され、又は軽減される限度において、その運送品の滅失等についての運送人の被用者の荷送人又は荷受人に対する不法行為による損害賠償の責任も、免除され、又は軽減される。

2前項の規定は、運送人の被用者の故意又は重大な過失によって運送品の滅失等が生じたときは、適用しない。

この条文の過去問 1問
2013年 司法試験 第53問 肢エ
判例によれば,運送人の故意又は過失により運送品が滅失し,荷送人に損害が生じた場合には,荷送人は,運送人に対し,運送契約に基づく債務不履行責任のみを追及することができ,不法行為責任を追及することはできない。