商人は、支配人を選任し、その営業所において、その営業を行わせることができる。
この条文の過去問 2問
誤り。違うのは「商人の死亡によって、消滅する」の部分である。支配人の選任は附属的商行為であり、商法506条により商行為の委任による代理権は本人の死亡によって消滅しない。
民法111条1項1号は本人の死亡を代理権の消滅事由とするが、商法506条は、商行為の委任による代理権は本人の死亡によっては消滅しないと定めてこれを修正する。商人がその営業のためにする行為は附属的商行為であり(503条1項)、支配人の選任(20条)もこれに当たるから、支配人の代理権は同条にいう商行為の委任による代理権として、商人の死亡後も消滅しない。営業が有機的な一体として相続人に承継され継続することを前提に、本人の死亡によって営業活動が中断することを防ぎ、代理権の存続を信頼して取引した相手方を保護する趣旨である。商人と支配人との基礎となる法律関係は通常は雇用契約であり、条文は「委任による」と規定するが、同条の趣旨は代理権授与の基礎となる法律関係の性質によって左右されないから、雇用に基づいて与えられた支配人の代理権にも同条の適用があると解されている。したがって、商人の死亡により支配人の代理権が消滅するとする本肢は誤っている。

商行為の委任による代理権は、本人の死亡によっては、消滅しない。
誤り。違うのは「営業所のうち支店に置かれるものであり,本店に置くことはできない」の部分である。支配人を置く営業所(商法20条)には本店も支店も含まれる。
商法20条は、商人は支配人を選任し、その営業所において、その営業を行わせることができると定める。営業所とは、商人の営業活動の本拠となる場所をいい、営業の全体を統括する本店と、本店に従属しつつ一定の範囲で独立して営業活動の決定ができる支店の双方がこれに当たる。条文は支配人を置く場所を「営業所」としており、支店に限る文言はない。会社法10条も、会社は支配人を選任し、その本店又は支店において事業を行わせることができると定め、本店に支配人を置けることを明文で示している。支配人は、商人に代わって営業所の営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を持つ包括的な代理人であり(21条1項)、商人自身が本店の営業の指揮を執ることが多いとしても、商人が高齢であったり他の事業に専念していたりする場合には本店に支配人を置いて営業を任せる必要がある。支配人を選任したときはその営業所を登記する(22条、商業登記法43条1項)。肢は支配人を支店に限っている点で誤りである。

商人は、支配人を選任し、その営業所において、その営業を行わせることができる。
- 選任: 商人が選任し営業所(本店・支店)で営業を行わせる(20条)。選任・代理権の消滅は登記(22条)
- 権限: 営業に関する一切の裁判上・裁判外の行為(21条1項)。弁護士でなくても訴訟代理(民訴法54条1項)。他の使用人の選任・解任(21条2項)。制限は善意の第三者に対抗不可(21条3項)
- 営業避止義務(23条1項): 許可なく、自ら営業、競業取引、他の商人・会社の使用人、会社の取締役・執行役・業務執行社員になれない。無許可の競業取引は利益額=損害額の推定(23条2項)
- 代理権の消滅: 商人の死亡では消滅しない(506条)

















