代理商(商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう。以下この章において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対して、その旨の通知を発しなければならない。
この条文の過去問 9問
正しい。商法30条2項は、やむを得ない事由があるときは商人及び代理商がいつでも代理商契約を解除できると定めている。
代理商とは、商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう(商法27条)。使用人と異なり本人から独立した商人であり、本人との関係は継続的な委任ないし準委任契約である。この代理商契約の終了について、30条は二つの解除権を定める。同条1項は、契約の期間を定めなかったときは、商人及び代理商は2か月前までに予告して契約を解除することができるとする。相手方に代わりの販路や取引先を確保する猶予を与えるための予告期間である。これに対し同条2項は、前項の規定にかかわらず、やむを得ない事由があるときは、商人及び代理商はいつでもその契約を解除することができると定める。本肢はこの2項どおりである。2項の解除は期間の定めの有無を問わず認められ、予告期間も要らない。代理商契約は本人と代理商の信頼関係を基礎とする継続的関係であるから、信頼関係を壊す事情や営業の継続を著しく困難にする事情が生じた場合には、直ちに関係を解消する途を認める必要があるからである。

前項の規定にかかわらず、やむを得ない事由があるときは、商人及び代理商は、いつでもその契約を解除することができる。
正しい。商法557条が代理商の通知義務(27条)を問屋に準用しているので、問屋は販売又は買入れをしたときは遅滞なく委託者に通知を発しなければならない。
問屋とは、自己の名をもって他人のために物品の販売又は買入れをすることを業とする者である(商法551条)。自己の名で法律行為をする点で、本人の名で代理する代理商や、契約の当事者にならない仲立人と区別される。問屋と委託者との関係には、その性質に反しない限り委任及び代理に関する規定が準用される(552条2項)。そのうえで557条は、代理商に関する27条と31条を問屋に準用する。27条は、代理商は取引の代理又は媒介をしたときは遅滞なく商人に対してその旨の通知を発しなければならないと定めるから、これが準用される結果、問屋は委託者のために物品の販売又は買入れをしたときは、遅滞なく委託者にその旨の通知を発しなければならない。本肢はこの帰結を述べたもので正しい。問屋が取引をしても、その効果はいったん問屋に帰属し、委託者は問屋からの権利の移転や決済を受けて初めて利益を得る。委託者は通知を受けて次の指示や代金の準備をする必要があるから、迅速な通知が不可欠である。併せて準用される31条により、問屋は委託者に対する債権について目的物等を留置できる。

第二十七条及び第三十一条の規定は、問屋について準用する。
- ["問屋(551条)", "自己の名で他人のために物品の販売・買入れ。契約は問屋と相手方の間。問屋が権利義務の主体"]
- ["準問屋(558条)", "自己の名で他人のために販売・買入れ以外の行為。問屋の規定を準用"]
- ["運送取扱人(559条)", "自己の名で物品運送の取次ぎ。問屋の規定を準用"]
- ["代理商(27条)", "商人のために本人の名で代理又は媒介。契約は本人と相手方の間"]
- ["仲立人(543条)", "他人間の商行為の媒介。契約は当事者間"]
- ["問屋に準用される代理商の規定", "通知義務(27条)・留置権(31条)。競業の禁止(28条)は準用されない"]
誤り。違うのは「委託を受けた事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する」の部分である。これは商人の使用人の権限(商法25条1項)であり、代理商の権限は代理商契約で定まり、法が認めるのは売買に関する通知を受ける権限にとどまる(商法29条)。
委任を受けた事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を法律上当然に有するのは、商人の営業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人であり(商法25条1項)、営業に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を持つのは支配人である(商法21条1項)。これに対し代理商とは、商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいい(商法27条括弧書)、本人に従属する被用者ではなく独立の商人である。したがって代理商の権限は雇用類似の地位から包括的に生ずるものではなく、締約代理商の代理権の範囲は本人との代理商契約という個別の合意によって画され、媒介代理商はそもそも代理権を持たない。商法が物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商について定めるのは、売買の目的物の不適合の通知(商法526条2項)その他売買に関する通知を受ける権限、すなわち受動代理の権限にとどまる(商法29条)。よって本肢は誤りである。

代理商(商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう。以下この章において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対して、その旨の通知を発しなければならない。
- 定義(27条):商人のために平常の営業の部類に属する取引の代理(締約代理商)又は媒介(媒介代理商)をする独立の商人。使用人ではない
- 通知義務(27条):代理・媒介をしたら請求を待たず遅滞なく通知を発する
- 競業の禁止(28条):許可なく営業の部類に属する取引・同種事業の会社の役員就任は不可。自ら営業することは自由
- 通知を受ける権限(29条):物品の販売・媒介の代理商は売買に関する通知を受ける権限を持つ。一切の裁判外の行為の権限ではない
- 解除(30条):期間の定めがなければ2か月前の予告。やむを得ない事由があればいつでも
- 留置権(31条):代理・媒介で生じた債権の弁済期が到来していれば、商人のために占有する物・有価証券を留置できる。別段の意思表示で排除できる
正しい。商法27条は、代理商は取引の代理又は媒介をしたときは遅滞なく商人に対してその旨の通知を発しなければならないと定めており、本肢は条文どおりである。
商法27条は、代理商は取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対してその旨の通知を発しなければならないと定め、会社を本人とする場合について会社法16条が同旨を定める。代理商と本人との関係は委任又は準委任であるから本来は民法645条の報告義務が及ぶが、同条の報告義務は原則として本人の請求があったときに生ずるにとどまる。しかし代理商は本人の営業所とは別に自己の営業所を構えて独立に活動する商人であり、本人は代理商がいつどのような取引を成立させたかを直ちには把握できない。他方で、取引が成立すれば本人には目的物の引渡しや代金の受領のほか、商人間の売買における目的物の検査と不適合の通知(商法526条)など迅速な対応が求められる。そこで商法は、本人の請求を待たずに代理商の側から遅滞なく通知すべき義務を課して報告義務を加重した。条文が通知を発しなければならないとしているとおり発信主義が採られ、通知が本人に到達しなくても発信によって義務は履行される。この義務に違反した代理商は本人に対して債務不履行による損害賠償責任を負う。本肢は条文どおりであり正しい。

代理商(商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう。以下この章において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対して、その旨の通知を発しなければならない。
誤り。違うのは「商業使用人の一種である」の部分である。代理商は商人のために取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものと定義されている(商法27条かっこ書)。
商法27条は代理商を、商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものと定義し、かっこ書で代理商が使用人でないことを明文で示している。したがって代理商は商業使用人の一種ではない。両者は商人の補助者である点で共通するが、企業組織との関係が異なる。商業使用人(支配人、表見支配人、ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人、物品販売店舗の使用人)は、特定の商人に雇用などで従属し、企業組織の内部から継続的に補助する者である。これに対し代理商は、取引の代理又は媒介を業として行う独立の商人(502条11号・12号、4条1項)であり、企業組織の外部にあって独立の立場から特定の商人を継続的に補助する。この独立性の違いは規律にも表れ、代理商には代理・媒介をしたときの通知義務(27条)、商人の許可を要する競業避止義務(28条)、代理商の留置権(31条)など、雇用関係を前提としない固有の規定が置かれている。会社の代理商についても会社法16条以下に同じ趣旨の規定がある。

代理商(商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう。以下この章において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対して、その旨の通知を発しなければならない。
| 者 | 権限 | 備考 |
|---|---|---|
| 支配人(商法21条) | 営業に関する一切の裁判上・裁判外の行為 | 選任・代理権の消滅は登記(22条)。制限は善意の第三者に対抗できない |
| 表見支配人(24条) | その営業所の営業に関する一切の裁判外の行為があるとみなす | 裁判上の行為は含まない。相手方が悪意なら不適用 |
| ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人(25条) | その事項に関する一切の裁判外の行為 | 制限は善意の第三者に対抗できない |
| 物品販売店舗の使用人(26条) | 店舗に在る物品の販売等をする権限があるとみなす | 相手方が悪意なら不適用 |
| 代理商(27条) | 商人のために取引の代理又は媒介をする独立の商人 | 商業使用人ではない |
誤り。違うのは「Aは、Bの代理商に該当する」の部分である。代理商は商人のために取引の代理又は媒介をする者であり、商人でないBのために媒介をするAは代理商に当たらない(商法27条)。
代理商とは、商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう(商法27条括弧書。会社の代理商につき会社法16条)。この定義のとおり代理商の本人は商人でなければならず、商人でない者のために代理や媒介をする者は代理商にならない。本問のBは個人旅行を予定している私人であり、自己の名をもって商行為をすることを業とする者(商法4条1項)でも擬制商人(同条2項)でもないから、AがBの委託を受けてレンタカー契約の締結を媒介しても、AがBの代理商に該当する余地はない。代理商は特定の商人と継続的な委託関係に立ってその営業を外から継続的に補助する独立の商人であり、通知義務(27条)、競業の禁止(28条)、代理商の留置権(31条)などの規律はいずれもこの継続的な関係を前提にしている。一回限りの旅行の手配を委託されたにすぎないAはこの点でも代理商の要件を満たさない。Aが業として他人間の契約の媒介をしていることに着目すれば、Aの地位は仲立人(543条)の問題になる。本肢は誤りである。

代理商(商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう。以下この章において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対して、その旨の通知を発しなければならない。
| 地位 | 要件 | 本問での当否 |
|---|---|---|
| 代理商(27条) | 商人のために、本人の名で、平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介を継続的に行う | Bは商人でないので当たらない |
| 準問屋(558条) | 自己の名で他人のために販売・買入れ以外の行為をすることを業とする | 自己の名でバス会社と旅客運送契約を結べば当たる |
| 仲立人(543条) | 他人間の商行為の媒介を業とする。一方だけが商人でよく、一方からの委託だけでよい | ホテル会社から委託を受けていなくても当たる |
| 運送取扱人(559条1項) | 自己の名で物品運送の取次ぎをすることを業とする | あっせんだけで契約当事者にならないAは当たらない |
| 場屋営業者(596条1項) | 旅館・飲食店・浴場など客の来集を目的とする場屋における取引を業とする | 喫茶店で有料で飲食物を提供するAは当たる |
誤り。違うのは「商人の請求があるときに限り」の部分である。代理商は取引の代理又は媒介をしたときは、商人の請求を待たずに遅滞なくその旨の通知を発しなければならない(商法27条)。
商法27条は、代理商は取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対してその旨の通知を発しなければならないと定める。民法の受任者は委任者の請求があるときに委任事務の処理の状況を報告すれば足りる(民法645条)が、代理商についてはこの原則を修正し、請求が無くても自ら進んで通知する義務を課したのである。代理商は本人である商人から独立した商人であり、商人の営業所から離れた場所で取引を扱うので、商人は代理商からの通知が無ければ取引の成立を知ることができない。商人が目的物の引渡しや代金の回収などの履行の準備を遅滞なく進められるようにするために、代理商の側から通知させる必要があるのである。この通知義務は締約代理商にも媒介代理商にも及ぶ。したがって、商人の請求があるときに限って通知すればよいとする肢は誤っている。

代理商(商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう。以下この章において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対して、その旨の通知を発しなければならない。
- 定義(27条):商人のために平常の営業の部類に属する取引の代理(締約代理商)又は媒介(媒介代理商)をする独立の商人。使用人ではない
- 通知義務(27条):代理・媒介をしたら請求を待たず遅滞なく通知
- 競業の禁止(28条):許可なく営業の部類に属する取引・同種事業の会社の役員就任は不可。自ら営業することは自由
- 通知を受ける権限(29条):物品販売(媒介)の代理商は売買に関する通知の受領権限
- 解除(30条):期間の定めなし→2か月前の予告。やむを得ない事由→いつでも
- 留置権(31条):代理・媒介で生じた債権の弁済期到来で、商人のために占有する物・有価証券を留置。牽連性不要
正しい。媒介代理商は商人のために取引の媒介をする者であり(商法27条)、自ら契約を結ばないので、売買契約は本人Aと相手方Bの間に成立する。
商法27条は、代理商を、商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものと定義する。このうち取引の代理をする者を締約代理商、媒介をする者を媒介代理商と呼ぶ。媒介代理商は、特定の商人のために継続的に、その商人と相手方との間に契約が成立するよう尽力する独立の商人であり、契約を自ら締結する権限はない。したがってCがAから委託を受けた媒介代理商であれば、Cが取り持った売買契約はAとBの間に成立し、Cは当事者にも代理人にもならない。この点で媒介代理商は仲立人に似ているが、仲立人が不特定多数の者のためにその都度媒介するのに対し、代理商は特定の商人のために平常の営業の部類に属する取引を継続的に扱う点で異なる。代理商は取引の代理又は媒介をしたときは遅滞なく本人に通知しなければならず(27条)、本人の許可なく競業取引をしてはならない(28条)。肢は正しい。

代理商(商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう。以下この章において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対して、その旨の通知を発しなければならない。
正しい。締約代理商は商人のために取引の代理をする者であり(商法27条)、Aのためにすることを示してBと契約すれば、代理の効果として売買契約はA・B間に成立する(民法99条1項)。
締約代理商は、商法27条の代理商のうち、特定の商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理をする者である。代理であるから、代理人Cが権限の範囲内で本人Aのためにすることを示してBとの間でした意思表示は、本人Aに対して直接に効力を生ずる(民法99条1項)。本肢ではCがAの締約代理商である旨をBに明示して契約しているので、顕名の要件を満たし、売買契約はAとBの間に成立する。Cは契約の当事者にはならず、Aの代理人として契約を締結しただけである。なお、Aにとって商品の販売は商行為であるから、Cが顕名をしなかったとしても商法504条本文により契約はAに対して効力を生じ、Bが代理であることを過失なく知らなかったときにはBがCとの法律関係を選択できる(最大判昭43.4.24)にすぎない。本肢は顕名がある場合であるから、この問題は生じない。代理商には商人に対する通知義務(27条)や競業避止義務(28条)、代理商の留置権(31条)などの規律がある。肢は正しい。

代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。






