匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。
この条文の過去問 2問
正しい。匿名組合契約は、匿名組合員の出資と営業者の利益分配が対価関係に立つ有償・双務契約であり、約することによって効力を生じる諾成契約である(商法535条)。
商法535条は、匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによってその効力を生ずると定める。匿名組合員は営業者に対して出資をする義務を負い、営業者は匿名組合員に対して営業から生ずる利益を分配する義務を負う。この両者の義務は互いに対価の関係に立つから、匿名組合契約は双務契約であり、当事者双方が経済的な負担をする有償契約である。そして条文は出資をし利益を分配することを「約することによって」効力を生ずるとしており、出資の現実の履行を成立の要件としていないから、当事者の意思表示の合致だけで成立する諾成契約である。この点で、目的物の交付や書面を要件とする民法上の消費貸借(民法587条・587条の2)とは異なる。出資の履行は契約成立後の債務の履行であり、匿名組合員が出資をしない場合には営業者は履行を請求し、債務不履行を理由に解除することになる。肢は正しい。

匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。
正しい。利益の分配は匿名組合契約の要素であるから(商法535条)、分配をしない特約は匿名組合契約として許されないが、損失の分担は契約の要素ではなく、匿名組合員が損失を負担しない特約は有効である。
商法535条は、匿名組合契約を、相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約する契約と定義している。利益の分配は匿名組合契約を他の契約から区別する本質的な要素であり、出資をしながら利益の分配を一切受けないという合意は、営業者への贈与や無利息の消費貸借ではあっても匿名組合契約とは認められない。したがって匿名組合員に利益を分配しない特約は許されない。これに対して損失の分担について、商法は538条で、出資が損失によって減少したときはその損失をてん補した後でなければ利益の配当を請求できないとし、542条で、契約終了時に営業者が出資の価額を返還するにあたり出資が損失によって減少したときはその残額を返還すれば足りるとして、匿名組合員が出資の範囲内で損失を負担することを原則としている。しかしこれらは任意規定であり、損失の分担は契約の要素ではないから、匿名組合員が損失を負担せず出資額の全額の返還を受ける特約も契約自由の範囲内で有効である。肢は正しい。

出資が損失によって減少したときは、その損失をてん補した後でなければ、匿名組合員は、利益の配当を請求することができない。






