双方欠席の効果(取下げ擬制・審理の現状に基づく判決・欠席当事者の申出による尋問)とは
そうほうけっせきのこうか
双方欠席とは、当事者双方が口頭弁論又は弁論準備手続の期日に出頭しないことです。1か月以内に期日指定の申立てがないか連続2回欠席すれば訴えの取下げがあったものとみなされ(263条)、審理の現状に基づいて終局判決をすることもできます(244条)。
原告も被告も期日に来ないということは、どちらもその訴訟を続ける気がなくなっている可能性が高いといえます。そこで民事訴訟法は、双方欠席の後1か月以内に誰も期日指定を求めなければ訴えを取り下げたものとみなし、続けて2回欠席すればすぐにそうみなすことにしました。他方、審理が十分に進んでいる事件では、欠席を理由に判決をすることも、欠席のまま証拠調べや判決の言渡しをすることもできます。
双方が欠席して1か月以内に期日指定の申立てがなければ、また連続2回欠席すれば、訴えの取下げがあったものとみなされます
263条は、当事者双方が口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、1月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなすと定めます。当事者双方が連続して2回欠席したときは、1か月を待たずに取下げがあったものとみなされます。弁論準備手続の期日も含まれるので、「当事者双方が弁論準備手続の期日に欠席した場合において,1か月以内にいずれの当事者からも期日指定の申立てがされないときは,訴えの取下げがあったものとみなされる」という肢は正しく、「当事者双方が,連続して2回,口頭弁論の期日に出頭しなかった場合には,訴えの取下げがあったものとみなされる」という肢も正しいです。連続2回の場合に期日指定の猶予はないので、「1週間以内に期日指定の申立てをしないときは,訴えの取下げがあったものとみなされる」という肢は誤りです。取下げ擬制は法律がみなす効果なので、被告が本案について弁論した後でも被告の同意(261条2項)は要りません。「当事者双方が、連続して2回、口頭弁論期日に出頭しなかったときは、被告の同意を得なくても、訴えの取下げの効力を生ずる」という肢は正しいです。
控訴審で同じことが起きると、訴えではなく控訴の取下げがあったものとみなされ、第一審判決が確定します
263条は控訴の取下げに準用されます(292条2項)。控訴審で当事者双方が欠席し1か月以内に期日指定の申立てがなければ、控訴の取下げがあったものとみなされ、控訴はさかのぼって効力を失うので、第一審判決がそのまま確定します。訴えの取下げとみなすと第一審判決まで消えてしまい、勝訴した被控訴人の利益を害するからです。「控訴審において,当事者双方が口頭弁論の期日に欠席した場合において,1か月以内に期日指定の申立てをしないときは,控訴の取下げがあったものとみなされる」という肢は正しいです。逆に、控訴審で同じ事態が起きたとき「訴えの取下げがあったものとみなされる」とする肢や「第一審原告が訴えを取り下げたものとみなされる」とする肢は誤りです。
審理の現状と訴訟追行の状況から相当と認めれば欠席でも終局判決ができ、一方欠席のときは出頭した相手方の申出が要ります
244条は、当事者の双方又は一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合において、審理の現状及び当事者の訴訟追行の状況を考慮して相当と認めるときは、終局判決をすることができると定めます。双方欠席の場合はそのまま判決でき、「当事者の双方が口頭弁論の期日に欠席した場合において,審理の現状及び当事者の訴訟追行の状況を考慮して相当と認めるときは,終局判決をすることができる」という肢も、その場合に口頭弁論を終結できるとする肢も正しいです。一方だけが欠席した場合は、出頭した相手方の申出があるときに限られます(244条ただし書)。出頭した当事者は判決よりも期日の続行を望むことがあるからです。「出頭した当事者から申出がない限り,終局判決をすることができない」という肢は正しく、「出頭した原告の申出がなくても,終局判決をすることができる」という肢は誤りです。双方欠席で準備的口頭弁論を終了できることは準備的口頭弁論の語で扱っています(166条)。
証拠調べも判決の言渡しも、当事者が欠席していてもすることができます
証拠調べは、当事者が期日に出頭しない場合においても、することができます(183条)。証人尋問を申し出た当事者が欠席しても、採用済みの尋問は実施でき、交互尋問ができないからといって実施できなくなるわけではありません。「裁判所は,当事者双方が期日に欠席した場合においても,証人尋問を実施することができる」という肢も、申出をした当事者が尋問すべき期日に欠席した場合であっても当該期日に尋問を実施することができるとする肢も正しいです。「証拠調べは,当事者が期日に出頭しない場合には,することができない」という肢も、「当事者の一方が期日に出頭しない場合には,証人尋問をすることができない」という肢も、「交互尋問をすることができないので,証人尋問をすることは許されない」とする肢も誤りです。判決の言渡しは、当事者が在廷しない場合においてもすることができる(251条2項)ので、「判決の言渡しは,当事者双方が判決の言渡期日に欠席した場合においても,することができる」という肢は正しく、当事者全員が欠席した場合も同じです。
民事訴訟法263条
当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、一月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす。当事者双方が、連続して二回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をしたときも、同様とする。
民事訴訟法244条
裁判所は、当事者の双方又は一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合において、審理の現状及び当事者の訴訟追行の状況を考慮して相当と認めるときは、終局判決をすることができる。ただし、当事者の一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合には、出頭した相手方の申出があるときに限る。
民事訴訟法183条
証拠調べは、当事者が期日に出頭しない場合においても、することができる。
この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。