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用語集 / 民事訴訟法 / 補助参加の要件と手続

補助参加の要件と手続とは

ほじょさんかのようけんとてつづき

民事訴訟法 複雑訴訟

補助参加とは、訴訟の結果について利害関係を有する第三者が、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することです(42条)。その申出は参加の趣旨及び理由を明らかにしてし、当事者が異議を述べたときに限り、裁判所が決定で許否を裁判します(43条・44条)。

お金を借りた人が貸主から訴えられたとき、その借金の保証人は、借主が負ければ今度は自分が請求される立場にあります。保証人にとって、他人の訴訟の勝ち負けは他人事ではありません。そこで民事訴訟法は、訴訟の結果に法律上の利害関係を持つ第三者が、当事者の一方の味方として訴訟に加わることを認めています。これが補助参加です。補助参加人は自分の請求を立てるのではなく、味方した当事者を勝たせることで自分の利益を守ります。

法廷の場面。原告席に男性(札「X(貸主)」)、被告席に男性(札「Y(借主)」)。被告席の横に補助参加人の席があり、男性(札「Z(保証人)」)が座ろうとしている。先生が裁判官役(札「裁判所」)で裁判官席に座っている。Zの吹き出し「Yが負けると

補助参加できるのは、訴訟の結果について法律上の利害関係を有する第三者です

訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができます(42条)。この利害関係は法律上のものでなければならず、判例は、当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいうとしています(最決平成13年1月30日)。友人として応援したいという感情的な利益や、相手の資力が減ると困るという事実上・経済的な利益では足りません。判決の効力が参加人に及ぶ必要はなく、判決の判断を前提にして参加人の法的地位が決まる関係があれば足ります。訴訟物についての判断に限るとする見解と、判決理由中の判断が参加人の地位の前提になる場合も含むとする見解があります。同じ争点を抱える別の保険契約の保険者について、契約どうしに法的な関連がなく、判断が事実上参考にされるにとどまるとして、補助参加の利益を否定した裁判例があります(東京高決平成20年4月30日)。

  • 転貸人と転借人賃貸人が賃貸借の解除を理由に転借人に明渡しを求める訴訟で、転借人が負けると転貸人は転借人から債務不履行の責任を問われるので、転貸人は転借人に補助参加できる
  • 共同不法行為者の一人共同被告の一人が自分の敗訴部分に控訴しないとき、他の共同被告の責任が認められれば求償できる関係にあるので、第一審で相手方だった原告に補助参加できる(最判昭和51年3月30日)
  • 株主代表訴訟の会社取締役会の意思決定が違法とされた代表訴訟では、特段の事情がない限り、会社は被告取締役側に補助参加できる(最決平成13年1月30日)
  • 友情・同情感情的な利益にとどまるので補助参加の利益はない

転貸人や、第一審で相手方だった原告に味方する共同被告にも補助参加の利益があります

「Yは,Zに補助参加することができる」という肢(賃貸人Xが賃貸借の解除を理由に転借人Zに明渡しを求め、転貸人Yが参加する事案)は正しいです。Zが負ければYはZから責任を問われるからです。判例は、交通事故の被害者が共同不法行為者とされる二人を訴え、第一審で一方の被告にだけ請求が認容された事案で、その被告が自分に対する判決に控訴しないときは、他方の被告の責任が認められる結果を得るために、第一審で相手方だった原告に補助参加することも許されるとしました(最判昭和51年3月30日)。「Yは,自己の求償権の保全を理由としてXZ間の判決について控訴するためXに補助参加をすることができる」という肢は正しいです。独立当事者参加ができる第三者が補助参加を選ぶことを禁じる規定はないので、「独立当事者参加により他人間の訴訟に自ら当事者として参加することができる場合には,当事者の一方に補助参加することはできない」という肢は誤りです。

裁判官室の場面。机の上に「補助参加の申出書」が置かれている。先生が裁判官役(札「裁判所」)で机に座り、手前に男性二人(札「原告」「被告」)が立っている。黒板の左に「異議なし → 許否の裁判なし・疎明不要」、右に「異議あり → 決定で許否を裁

補助参加の許否は、当事者が異議を述べたときに限って決定で裁判されます

補助参加の申出があっても、裁判所が職権で参加の利益を審査するわけではありません。当事者が補助参加について異議を述べたときに、裁判所は補助参加の許否について決定で裁判し、この場合に補助参加人は参加の理由を疎明しなければなりません(44条1項)。参加の許否は第一に当事者の利益にかかわる事柄なので、当事者が争わない限り審査しないという仕組みです。「当事者が補助参加について異議を述べなければ,補助参加人が参加の理由を疎明する必要はない」という肢は正しいです。参加の理由が友情に基づく応援であっても、当事者の異議がなければ許否の裁判はされないので、「裁判所は,当事者の異議がなくても,参加を許さない旨の裁判をすることができる」という肢は誤りです。異議を述べられる「当事者」は被参加人に限られず相手方も含むので、「異議を述べることができるのは,被参加人だけであって,相手方は異議を述べることができない」という肢は誤りです。当事者が異議を述べないで弁論をし、又は弁論準備手続において申述をした後は、異議を述べることができなくなります(44条2項)。

補助参加の許否の裁判には即時抗告ができますが、同じ理由で申出を繰り返すことはできません

補助参加の許否の裁判に対しては、即時抗告をすることができます(44条3項)。参加を許す決定にも許さない決定にも即時抗告ができるので、「補助参加の申出を認める決定に対しては,不服を申し立てることができない」という肢と「補助参加の許否についての裁判に対しては,不服を申し立てることができない」という肢は誤りです。判例は、参加を許可した決定に対する即時抗告を受けた抗告審が、相手方である参加申出人に即時抗告申立書の副本を送達せず、反論の機会を与えずに参加を許さないとしたことについて、補助参加の許否の裁判は民事訴訟の付随手続についての裁判であって純然たる訴訟事件についての裁判ではないから、憲法32条に違反しないとしました(最決平成23年9月30日)。この結論を述べた肢は正しいです。また判例は、補助参加の申出を却下した決定が確定した後に、同じ理由に基づいて再び補助参加を申し立てることは許されないとしています(最決昭和58年6月25日)。「同じ理由に基づく再度の補助参加の申出をすることは許される」という肢は誤りです。確定後に新しく生じた理由に基づく申出は妨げられません。

異議があっても不許可の裁判が確定するまでは訴訟行為ができ、確定後も当事者が援用すれば効力を有します

許否の裁判が確定するには時間がかかるので、補助参加人は、補助参加について異議があった場合でも、補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は訴訟行為をすることができます(45条3項)。「補助参加人は,補助参加を許す旨の裁判が確定するまでの間は,訴訟行為をすることができない」という肢は誤りで、「補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は,訴訟行為をすることができる」という肢は正しいです。さらに、補助参加を許さない裁判が確定した場合でも、当事者が援用したときは、補助参加人の訴訟行為は効力を有します(45条4項)。「当事者が援用してもその効力を有しない」という肢は誤りです。援用できる当事者は被参加人に限られず、異議を述べた当事者の相手方も含むので、「相手方当事者が援用したときは,補助参加人の訴訟行為は,その効力を有する」という肢は正しいです。

補助参加の申出は書面でも口頭でもでき、上訴や再審の訴えと一緒にすることもできます

補助参加の申出は、参加の趣旨及び理由を明らかにして、補助参加により訴訟行為をすべき裁判所にします(43条1項)。申出の方式について書面に限る定めはなく、申立てその他の申述は特別の定めがある場合を除き書面又は口頭ですることができるので(民事訴訟規則1条1項)、口頭でも申し出られます。「補助参加の申出は,書面でしなければならない」という肢は誤りです。書面を要求している独立当事者参加(47条2項)とは違います。補助参加の申出は、補助参加人としてすることができる訴訟行為とともにすることができ(43条2項)、補助参加人は上訴の提起や再審の訴えの提起もできます(45条1項)。そのため、上告期間内に申出と同時に上告を提起すること、判決確定後に申出とともに再審の訴えを提起することができ、この二つの肢は正しいです。いったん参加すれば、審級が変わっても補助参加人の地位は続くので、「控訴審における補助参加の申出をしなければならない」という肢は誤りです。補助参加人は申出を取り下げることもでき、明文はありませんが訴えの取下げの規定の類推で当事者の同意は要らないと解されています。「参加的効力が及ぶ被参加人の同意がなければ,取り下げることができない」という肢は誤りです。補助参加は請求を立てるものではないので、上告審でもすることができます。

民事訴訟法42条

訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。

民事訴訟法44条1項

当事者が補助参加について異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について、決定で、裁判をする。この場合においては、補助参加人は、参加の理由を疎明しなければならない。

民事訴訟法45条3項・4項

補助参加人は、補助参加について異議があった場合においても、補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は、訴訟行為をすることができる。補助参加人の訴訟行為は、補助参加を許さない裁判が確定した場合においても、当事者が援用したときは、その効力を有する。

論文ではこう使う

論文では、補助参加の利益の有無を問われることが多いです。まず42条の「訴訟の結果について利害関係を有する」の意味を、判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合と示し、感情的・経済的な利益では足りないことを確認します。次に「訴訟の結果」を訴訟物についての判断に限るか、判決理由中の主要な争点の判断も含むかについて立場を示し、事案で参加人の法的地位がどの判断を前提に決まるのかを具体的に当てはめます。参加が認められると参加的効力(46条)が及ぶことまで視野に入れて、紛争の一回的解決の要請と当事者の訴訟追行の自由とを比べて結論を出します。

試験ではこう問われる

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