参加的効力とは
さんかてきこうりょく
参加的効力とは、補助参加した訴訟で被参加人が敗訴したとき、補助参加人が被参加人に対してその判決が不当であると主張することを禁ずる効力です(46条)。既判力とは異なり、判決理由中の事実の認定や先決的権利関係の判断にも及びます。
保証人が貸主から訴えられ、主債務者がその保証人の味方として補助参加したとします。一緒に戦ったのに保証人が負けたあとで、保証人が主債務者に立て替えた分を請求すると、主債務者が「そもそも借金はなかった」と言い出すのは不公平です。一緒に訴訟を進めた以上、負けた責任は二人で分け合うべきだからです。そこで民事訴訟法は、補助参加した訴訟の判決が、補助参加人にも効力を持つと定めています。この効力を参加的効力といいます。
参加的効力は、被参加人が敗訴したときに被参加人と補助参加人の間で生じる、既判力とは異なる効力です
補助参加に係る訴訟の裁判は、46条各号の場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有します(46条)。判例は、この効力は既判力ではなく、判決の確定後、補助参加人が被参加人に対してその判決が不当であると主張することを禁ずる特殊な効力であるとしました(最判昭和45年10月22日)。理由は、補助参加人が被参加人の訴訟の追行に現実に協力し、又は協力しえたのに被参加人が敗訴の確定判決を受けた以上、その敗訴の責任を補助参加人にも分担させるのが衡平にかなうという点にあります。この性質から、参加的効力は既判力と次の点で違うと説明されています。
- 生じる場面被参加人が相手方に敗訴した場合
- 及ぶ人被参加人と補助参加人の間(相手方と補助参加人の間ではない)
- 及ぶ判断判決主文の判断だけでなく、理由中の事実の認定や先決的権利関係の判断にも及ぶ
- 例外46条1号から4号の除外事由がある
- 顧慮のされ方職権調査事項ではなく、当事者の援用を待って顧慮されると解されている
参加的効力は、判決主文の判断だけでなく、理由中の事実の認定や先決的権利関係の判断にも及びます
判例は、参加的効力は判決の主文に包含された訴訟物たる権利関係の存否についての判断だけではなく、その前提として判決の理由中でなされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断などにも及ぶとしました(最判昭和45年10月22日)。後で被参加人と補助参加人が争うのは、たいてい理由中の判断だからです。この判例の事案では、建物の賃借人が第三者から明渡しを求められた訴訟に賃貸人が補助参加し、建物の所有権が賃貸人にないとして賃借人が敗訴しました。その後に賃貸人が賃料を請求した訴訟で、賃貸人は、前の訴訟の理由中でされた「所有権は賃貸人に属していなかった」という判断に反する主張ができないとされました。「判決の主文中の訴訟物に係る判断の前提として理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断には生じない」という肢は誤りです。主債務者が保証人側に補助参加して保証人が敗訴した場合、主債務者は保証人からの求償請求に対して主債務の不存在を主張できなくなります。
補助参加人が十分に訴訟行為をできなかった場合には、参加的効力は及びません
参加的効力は、ともに訴訟を追行できたことを根拠にするので、補助参加人がその機会を持てなかった場合には及びません。46条は、補助参加の時における訴訟の程度に従い補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき(1号)、被参加人の訴訟行為と抵触するため補助参加人の訴訟行為が効力を有しなかったとき(2号)、被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき(3号)、被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったとき(4号)を除外しています。保証債務の履行を求める訴訟で主債務者Zが保証人Yに補助参加したとき、既に「主債務はZの弁済で消滅した」というYの主張が時機に後れた防御方法として却下されていた場合、Zは自分の弁済を主張できなかったので1号に当たります。そのため「Zは,Yからの求償訴訟において,Zには前訴の判決の効力が及ばないとして,自己の弁済を主張することができる」という肢は正しいです。
- 1号参加の時の訴訟の程度に従い補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき(45条1項ただし書)
- 2号被参加人の訴訟行為と抵触するため補助参加人の訴訟行為が効力を有しなかったとき(45条2項)
- 3号被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき
- 4号被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったとき
訴訟告知を受けながら参加しなかった者にも、参加できた時に参加したものとして参加的効力が及びます
訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合でも、46条の適用については、参加することができた時に参加したものとみなされます(53条4項)。告知を受けた者は、参加しなかったことを理由に参加的効力を免れることはできません。ただし判例は、その効力が及ぶのは、告知を受けた者が補助参加の利益を持つ場合に限られるとしています。この点は訴訟告知の語で扱います。判決の効力の種類どうしの比較は、判決の効力の全体像の語で扱います。
民事訴訟法46条
補助参加に係る訴訟の裁判は、次に掲げる場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。一 前条第一項ただし書の規定により補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき。二 前条第二項の規定により補助参加人の訴訟行為が効力を有しなかったとき。三 被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき。四 被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったとき。
最判昭和45年10月22日
いわゆる既判力ではなく、それとは異なる特殊な効力、すなわち、判決の確定後補助参加人が被参加人に対してその判決が不当であると主張することを禁ずる効力であつて、判決の主文に包含された訴訟物たる権利関係の存否についての判断だけではなく、その前提として判決の理由中でなされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断などにも及ぶ
論文ではこう使う
論文では、前訴で補助参加した者が後訴で前訴判決と矛盾する主張をできるかを問われます。まず46条の効力の性質について、既判力ではなく敗訴責任の公平な分担に基づく参加的効力であるとする判例(最判昭和45年10月22日)を示し、その性質から、被参加人と補助参加人の間に、理由中の判断にも及ぶことを導きます。次に、後訴で問題となる主張が前訴判決のどの判断と矛盾するのかを特定し、それが判決の主要な理由となった判断かを確認します。最後に46条各号の除外事由に当たる事情がないかを検討します。相手方と補助参加人の間に拘束力を認めるべきかという議論にも触れることがあります。
この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。