再審の手続と原告適格とは
さいしんのてつづきとげんこくてきかく
再審の手続とは、確定判決をした裁判所に再審の訴えを起こし、まず再審事由があるかを決定で判断し、再審開始の決定が確定した後に不服申立ての限度で本案を審理し直す二段階の手続です(340条〜348条)。再審の原告適格は、確定判決の当事者とその口頭弁論終結後の承継人など、判決の効力を受けて取消しに利益を持つ者にあります。
再審は、上の裁判所に持ち込む上訴と違い、判決をした裁判所そのものに、確定した判決を見直すよう求める手続です。確定判決を簡単に揺るがさないよう、まず再審の事由があるかどうかだけを決定で審査し、事由があると認めたときに初めて事件の中身の審理をやり直します。審理し直しても元の判決が正しかったなら、判決をし直すのではなく再審の請求を退けます。また、いつまでも蒸し返せないよう、事由を知ってから30日という短い期間が定められています。
再審の訴えは不服の対象の判決をした裁判所の専属管轄で、確定遮断や移審の効力はありません
再審の訴えは、不服の申立てに係る判決をした裁判所の管轄に専属します(340条1項)。審級の違う裁判所が同じ事件についてした判決に対する再審の訴えは、上級の裁判所があわせて管轄します(340条2項)。地方裁判所の判決が控訴されずに確定したなら管轄は地方裁判所なので、「管轄裁判所は,その管轄区域内に甲地方裁判所が所在する高等裁判所である」という肢は誤りです。再審の訴えは確定した判決に対する不服申立てで、判決をした裁判所自身に求めるものなので、上訴のような確定遮断の効力も移審の効力もありません。「再審の訴えには,判決の確定を防止する効果はないが,移審の効果はある」という肢は誤りです。再審の訴状には、当事者及び法定代理人、不服の申立てに係る判決の表示とそれに対して再審を求める旨、不服の理由を書き(343条)、不服の理由は後で変更できます(344条)。訴えの変更のような請求の基礎の同一性の制限は無いので、「再審の訴状に記載した不服の理由を変更することはできない」という肢は誤りで、「再審の訴えを提起した当事者は,不服の理由を変更することができる」という肢は正しいです。
再審の訴えは事由を知った日から30日・判決確定から5年以内ですが、代理権の欠缺と前の確定判決との抵触には期間の制限がありません
再審の訴えは、当事者が判決の確定した後に再審の事由を知った日から30日の不変期間内に提起しなければならず(342条1項)、判決が確定した日(事由が確定後に生じたときはその発生日)から5年を経過すると提起できません(342条2項)。4号から7号の事由は有罪判決の確定などが要るので、30日は、有罪判決等の確定を知った時から起算すると解されています(大判昭和12年12月8日)。偽証を知ってから1年後に有罪判決の確定を知った事案で、「XがAに対する有罪判決の確定を知った日から30日の不変期間内に提起しなければならない」という肢は正しいです。5年の起算点について、判例は、被疑者の死亡で有罪判決を得られない場合、死亡が判決確定前ならその確定の時、確定後ならその死亡の時から起算するとしました(最判昭和52年5月27日)。代理権を欠いたことを理由とする再審と、前に確定した判決との抵触を理由とする再審には、30日と5年の制限が適用されません(342条3項)。手続に関与する機会を一切持てなかった当事者の保護と、抵触する二つの確定判決の解消が優先されるからです。「確定判決が前に確定した判決と抵触することを再審事由とする場合には,再審期間の制限はない」という肢は正しいです。法定代理人の無権代理を看過した判決について、「この判決の存在を知った日から30日を経過した後は,再審の訴えを提起することができない」という肢は誤りです。
裁判所は、不適法なら決定で却下し、事由がなければ決定で棄却し、事由があれば相手方を審尋して再審開始の決定をします
再審は二段階で進みます。まず、再審の訴えが不適法であれば決定で却下し(345条1項)、再審の事由がなければ決定で再審の請求を棄却します(345条2項)。棄却の決定が確定すると、同じ事由で更に再審の訴えを起こすことはできません(345条3項)。「再審の訴えが不適法である場合には,判決で,これを却下し,再審の事由がない場合には,判決で,再審の請求を棄却しなければならない」という肢は誤りです。再審の事由があるときは、相手方を審尋したうえで再審開始の決定をします(346条)。却下・棄却・開始の各決定には即時抗告ができます(347条)。「再審開始の決定に対しては,不服を申し立てることができない」という肢は誤りです。
再審開始の決定が確定した後は不服申立ての限度で本案を審理し、原判決が正当なら再審の請求を棄却します
再審開始の決定が確定すると、裁判所は不服申立ての限度で本案の審理と裁判をします(348条1項)。審理の結果、判決を正当とするときは再審の請求を棄却し(348条2項)、それ以外のときは判決を取り消したうえで更に裁判をします(348条3項)。原判決を取り消して同じ内容の判決を言い直すのは無意味だからです。「再審の対象となった確定判決が正当であると判断した場合には,裁判所は,改めて同一内容の判決をしなければならない」という肢は誤りで、「判決を正当とするときは,再審の請求を棄却しなければならない」という肢は正しいです。即時抗告で争える決定・命令が確定した場合の再審の申立て(349条)は、抗告の種類と手続の語で扱います。
再審の原告適格は確定判決の当事者と口頭弁論終結後の承継人にあり、判決効を受ける第三者は参加の申出とともに再審を起こせます
再審の原告になれるのは、確定判決の当事者と、既判力の拡張を受ける口頭弁論終結後の承継人です。判例は、口頭弁論終結後の承継人は一般承継人か特定承継人かを問わず再審原告となりうるとしました(最判昭和46年6月3日)。「口頭弁論終結後の承継人として既判力の拡張を受ける者は,特定承継の場合も含めて,再審の訴えの原告適格を有する」という肢は正しいです。当事者が死亡した後の唯一の相続人は一般承継人なので、「この訴えに係るZの原告適格は認められない」という肢は誤りです。判決の効力を受ける第三者は、前訴の当事者でないので当然には原告適格を持ちませんが、判例は、新株発行無効の訴えの認容判決の効力を受ける株主が、再審の訴えとともに独立当事者参加の申出をすれば、再審開始後に参加に係る訴訟行為をして合一確定の要請を介し判決を左右できるので、原告適格が認められるとしました(最決平成25年11月21日)。この判例は、会社の訴訟活動が著しく信義に反し、第三者に判決効を及ぼすことが手続保障の観点から看過できない場合には3号の再審事由があるともしています。「独立当事者参加の申出をするとともに再審の訴えを提起すれば,当該再審の訴えの原告適格が認められる」という肢は正しいです。補助参加の申出は補助参加人としてできる訴訟行為とともにでき(43条2項)、補助参加人は再審の訴えを提起できるので(45条1項)、「判決が確定した後でも,補助参加の申出とともに再審の訴えを提起することができる」という肢は正しいです。
民事訴訟法342条
再審の訴えは、当事者が判決の確定した後再審の事由を知った日から三十日の不変期間内に提起しなければならない。2 判決が確定した日(再審の事由が判決の確定した後に生じた場合にあっては、その事由が発生した日)から五年を経過したときは、再審の訴えを提起することができない。3 前二項の規定は、第三百三十八条第一項第三号に掲げる事由のうち代理権を欠いたこと及び同項第十号に掲げる事由を理由とする再審の訴えには、適用しない。
民事訴訟法348条
裁判所は、再審開始の決定が確定した場合には、不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする。2 裁判所は、前項の場合において、判決を正当とするときは、再審の請求を棄却しなければならない。3 裁判所は、前項の場合を除き、判決を取り消した上、更に裁判をしなければならない。
論文ではこう使う
論文で第三者による再審が問われたときは、まず再審の原告適格が確定判決の効力を受け、その取消しに固有の利益を持つ者に認められることを示し、判決効を受ける第三者は当事者でないので当然には原告適格を持たないことを指摘します。そのうえで、独立当事者参加の申出とともに再審の訴えを起こせば、再審開始後に合一確定の要請を介して判決を左右できるので原告適格が認められるとし(最決平成25年11月21日)、再審事由として、会社の信義に反する訴訟活動により第三者の手続保障が害された場合の338条1項3号を当てはめます。
この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。