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用語集 / 民事訴訟法 / 口頭弁論終結後の承継人

口頭弁論終結後の承継人(固有の抗弁)とは

こうとうべんろんしゅうけつごのしょうけいにん

民事訴訟法 既判力と判決効

口頭弁論終結後の承継人とは、事実審の口頭弁論の終結後に、当事者から訴訟物の権利義務や、その訴訟の相手方となる地位(紛争の主体たる地位)を承継した者で、確定判決の効力を受けます(115条1項3号)。ただし、承継人が実体法上自ら取得した固有の抗弁は、前訴判決によって奪われません。

土地の明渡しを命じる判決を勝ち取った直後に、負けた側がその土地の建物を他人に貸したり売ったりすることがあります。新しい占有者に判決が及ばないなら、勝った側は一から裁判をやり直さなければならず、判決は簡単に骨抜きにされます。そこで判決の効力は、口頭弁論の終結後に当事者の地位を引き継いだ人にも及ぶとされています。ただし、引き継いだ人が自分自身の正当な権利を持っている場合まで、その権利を前の判決で奪うことはできません。

借地上の建物の前の場面。建物の玄関に、引っ越してきた男性(札「建物の賃借人Z」)が段ボールを運び込んでいる。門の外に、判決書(札「建物収去土地明渡し 確定」)を持った男性(札「地主X」)と、執行官の帽子をかぶった先生(札「先生」)が立つ。建

口頭弁論終結後の承継人には、訴訟物の権利義務を承継した者だけでなく、紛争の主体たる地位を承継した者も含まれます

確定判決は、当事者の口頭弁論終結後の承継人にも効力を持ちます(115条1項3号)。前主の処分によって権利義務を引き継ぐ者が前主の敗訴の効果を受けるのはやむを得ず、そうでなければ勝訴した相手方の地位が譲渡で簡単に潜脱されるからです。承継の対象は訴訟物そのものの権利義務に限られず、判例は、建物を収去して土地を明け渡す義務を負う者から建物を借り受け敷地を占有する者も承継人に当たるとしました(最判昭和26年4月13日)。訴訟物である明渡義務を引き受けたわけではなくても、土地の明渡しを求められる地位、つまり紛争の主体たる地位を引き継いだと評価できるからです。賃貸借の終了に基づく建物収去土地明渡しの認容判決の確定後に、被告から建物を借りて土地を占有する者に効力が及ぶという肢は正しいです。訴訟上の和解は確定判決と同一の効力を持つ(267条1項)ので、和解で建物収去土地明渡義務を負った者から建物を借りた者にも、その知不知にかかわらず和解調書の執行力が及びます。この肢は正しいです。判決の確定後に被告から建物を譲り受けた者も承継人に当たる(最判昭和52年12月23日)ので、「Zに対して,確定判決の既判力は及ばない」という肢は誤りです。

  • 建物収去土地明渡しの判決後に建物を借りて土地を占有した者承継人に当たります(最判昭和26年4月13日。和解調書でも同じ)
  • 建物収去土地明渡しの判決後に建物を譲り受けた者承継人に当たります(最判昭和52年12月23日)
  • 抹消登記を命じる判決後に被告から登記を移された者承継人に当たります
  • 所有権確認の棄却判決後に被告から占有を移された者承継人に当たり、原告はその者への明渡請求を既判力で妨げられます
  • 口頭弁論終結前の承継人既判力は及ばず、訴訟引受け(50条)などの訴訟承継で手当てします

登記の抹消を命じる判決や所有権確認の棄却判決の後に被告から登記や占有を移された者も承継人で、判決の効力を受けます

所有権移転登記の原因行為の不存在を理由に、所有権に基づく抹消登記を命じる判決が確定した後、被告が第三者に移転登記をした場合、その第三者は被告の登記保持者としての地位を承継した者なので、判決の効力が及びます。「この判決の効力は,Zにも及ぶ」という肢は正しいです。口頭弁論の終結前に物権を譲り受け、終結後に移転登記をした者も承継人に当たるとされています(大判昭和17年5月26日)。所有権確認の請求を棄却する判決の確定後に、甲土地を占有する被告が第三者に占有を移したときも、その第三者は承継人に当たります。原告はその第三者に対して、基準時に所有権を有しなかったという判断に反して所有権を主張できないので、「当該判決の既判力により妨げられない」という肢は誤りです。口頭弁論終結後の承継人は判決の効力を受ける立場にあるので、一般承継か特定承継かを問わず、その判決に対する再審の訴えの原告適格を持ちます(最判昭和46年6月3日)。この肢は正しいです。

法務局の登記窓口の場面。窓口の前で男性(札「X」)が判決書と「承継執行文」の申請書を差し出そうとしている。その横に別の男性(札「善意の第三者Z」)が競売の売却許可決定と登記識別情報を手に立っている。間に立つ先生(札「先生」)がXの申請書の前

承継人が善意の第三者のように実体法上固有の地位を自ら取得しているときは、その固有の抗弁は前訴判決に妨げられません

通謀虚偽表示による登記の抹消(真正な登記名義の回復)を命じる判決が確定した後、事情を知らない第三者が強制競売などでその土地を取得し登記を得た事案で、判例は、虚偽表示の無効は善意の第三者に対抗できない(民法94条2項)から、第三者は所有権を取得し、そのことは前訴の確定判決によって左右されないとしました(最判昭和48年6月21日)。第三者は前主の登記義務を承継するものではないので、原告が第三者に対する承継執行文の付与を受けて登記を回復することは許されません。「Xは前訴の確定判決に基づき,Zに対する承継執行文の付与を受けて当該土地の所有名義をX名義に回復することができる」という肢は誤りです。売買が通謀虚偽表示で無効だとして抹消登記を命じる判決の確定後、被告から善意無過失の第三者が買い受けた場合も同じで、「ZはXに対して善意無過失の第三者であることを主張することはできない」という肢は誤りです。この結論の説明として、第三者は承継人に当たり既判力は及ぶが、基準時後に自ら取得した固有の抗弁は遮断されないとする見解(形式説)と、固有の抗弁を持つ者はそもそも承継人に当たらないとする見解(実質説)があります。

承継人の範囲を訴訟物たる権利義務の承継と見るか、紛争の主体たる地位の承継と見るかで、建物の賃借人の扱いが変わります

建物収去土地明渡請求訴訟の事例に、承継人の範囲についての二つの見解を当てはめる問題が出ています。見解Ⅰは、115条1項3号の承継人を訴訟物たる権利の譲受け又は義務の引受けをした者と解します。この見解からは、口頭弁論終結後に被告Bから建物を借りただけのCは、建物収去土地明渡義務を引き受けていないので承継人に当たらず、確定判決の効力は及ばないことになります。したがって、見解Ⅰから「Cに確定判決の効力が及ぶこととなる」という肢は、その見解の帰結として誤りです。見解Ⅱは、承継人を紛争の主体たる地位の移転を受けた者と解します。この見解からは、口頭弁論終結後にBから建物を買い受け、引渡しと移転登記を受けたCは、土地の明渡しを求められる地位を引き継いでいるので承継人に当たり、「Cに確定判決の効力が及ぶこととなる」という肢は、その見解の帰結として正しいです。判例は、建物の賃借人も承継人に当たるとしており(最判昭和26年4月13日)、見解Ⅱに近い立場です。同じ問の50条(訴訟引受け)の肢は、章9の「承継人の範囲(紛争の主体たる地位)」で扱います。

民事訴訟法115条1項

確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人

論文ではこう使う

論文では、まず115条1項3号の趣旨(前主の地位を引き継ぐ者は判決効を受けるべきこと、勝訴者の地位の保護)を示し、承継人の範囲を紛争の主体たる地位の移転を受けた者と解して、後訴の被告がそれに当たるかを判断します。次に、承継人が固有の抗弁(民法94条2項の善意の第三者など)を持つ場合について、形式説(承継人に当たるが固有の抗弁は遮断されない)と実質説(承継人に当たらない)のどちらかで論じ、最判昭和48年6月21日の結論(承継執行文による執行は許されない)に至ります。

試験ではこう問われる

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