法定審理期間訴訟手続とは
ほうていしんりきかんそしょうてつづき
法定審理期間訴訟手続とは、令和4年改正で新設された、当事者双方の申出又は一方の申出と相手方の同意により、口頭弁論の終結と判決の言渡しまでの期間を法律で区切って審理する特別の手続です(381条の2〜381条の8)。消費者契約に関する訴えと個別労働関係民事紛争に関する訴えには使えません。
企業どうしの取引の争いでは、判決がいつ出るか分からないこと自体が大きな負担になります。そこで、当事者がそろって望むなら、半年ほどで審理を終えて判決を出すと最初に約束する手続が、令和4年の改正でできました。期間を区切る代わりに、当事者は決められた時期までに主張と証拠を出し切り、判決も確認した争点についてだけ判断します。立場の弱い消費者や労働者が早く終わらせることを迫られないよう、消費者契約と労働の紛争では使えません。
当事者双方の申出、又は一方の申出と相手方の同意があれば、裁判所は法定審理期間訴訟手続により審理する決定をします
当事者は、裁判所に対し、法定審理期間訴訟手続による審理及び裁判を求める旨の申出をすることができますが、消費者契約に関する訴えと個別労働関係民事紛争に関する訴えでは申し出られません(381条の2第1項)。交渉力に差のある当事者の間で、弱い側が短期間の審理を受け入れさせられるおそれがあるからです。当事者の双方が申し出た場合、又は一方が申し出て相手方が同意した場合には、裁判所は、法定審理期間訴訟手続によることが当事者間の衡平を害し、又は適正な審理の実現を妨げると認めるときを除き、訴訟を法定審理期間訴訟手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければなりません(381条の2第2項)。申出と同意は書面でしますが、口頭弁論や弁論準備手続の期日では口頭でもできます(381条の2第3項)。
決定から2週間以内に期日を指定し、その期日から6か月以内に口頭弁論を終結し、終結から1か月以内に判決を言い渡します
移行の決定があったときは、裁判長は、決定の日から2週間以内の間に口頭弁論又は弁論準備手続の期日を指定し(381条の3第1項)、その期日において、その期日から6か月以内の間に口頭弁論を終結する期日を指定するとともに、口頭弁論を終結する日から1か月以内の間に判決言渡しの期日を指定しなければなりません(381条の3第2項)。当事者は、最初の期日から5か月以内(裁判所が当事者双方の意見を聴いてより短い期間を定めたときはその期間内)に攻撃又は防御の方法を提出しなければならず(381条の3第3項)、裁判所はその期間が満了するまでに、争点及び証拠の整理の結果に基づいて判決で判断すべき事項を当事者双方と確認します(381条の3第4項)。証拠調べは最初の期日から6か月以内にしなければならず(381条の3第5項)、期日の変更はやむを得ない事由がある場合でなければ許されません(381条の3第6項)。
- 期日の指定移行の決定の日から2週間以内(381条の3第1項)
- 攻撃防御方法の提出最初の期日から5か月以内(381条の3第3項)
- 判断すべき事項の確認提出期間の満了までに当事者双方と確認(381条の3第4項)
- 証拠調べ最初の期日から6か月以内(381条の3第5項)
- 口頭弁論の終結最初の期日から6か月以内(381条の3第2項)
- 判決の言渡し口頭弁論の終結から1か月以内(381条の3第2項)
当事者の双方又は一方が申し出れば通常の手続に戻り、その決定には不服を申し立てられません
当事者の双方又は一方が訴訟を通常の手続に移行させる旨の申出をしたとき、又は提出された攻撃防御方法と審理の現状から法定審理期間訴訟手続で審理及び裁判をするのが困難であると認めるときは、裁判所は通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければなりません(381条の4第1項)。入口で双方の合意を要求したのと同じく、どちらか一方が望まなくなれば通常の手続に戻すのです。この決定には不服を申し立てることができません(381条の4第2項)。少額訴訟の通常移行の決定と同じく、独立の不服申立てができない裁判の一つです。
終局判決には控訴できず、同じ裁判所に異議を申し立てると通常の手続で審理し直されます
法定審理期間訴訟手続の電子判決書には、事実として請求の趣旨及び原因とその他の攻撃防御方法の要旨を、理由として当事者双方と確認した事項についての判断の内容を記録します(381条の5)。終局判決に対しては、訴えを却下した判決を除き、控訴をすることができません(381条の6)。不服のある当事者は、電子判決書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てられ(381条の7第1項)、適法な異議があると訴訟は口頭弁論の終結前の程度に戻って通常の手続で審理されます(381条の8第1項)。短期間の審理で十分に争えなかった当事者に、同じ審級で通常の審理を受ける道を残したものです。異議の申立てには執行停止の効力があります(381条の8第2項)。手形訴訟・少額訴訟の異議と同じ仕組みで、判決の確定も異議の期間の満了まで生じません(116条1項)。
民事訴訟法381条の2第1項
当事者は、裁判所に対し、法定審理期間訴訟手続による審理及び裁判を求める旨の申出をすることができる。ただし、次に掲げる訴えに関しては、この限りでない。一 消費者契約に関する訴え 二 個別労働関係民事紛争に関する訴え
民事訴訟法381条の3第2項
裁判長は、前項の期日において、当該期日から六月以内の間において当該事件に係る口頭弁論を終結する期日を指定するとともに、口頭弁論を終結する日から一月以内の間において判決言渡しをする期日を指定しなければならない。
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