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用語集 / 民事訴訟法 / 手形訴訟・小切手訴訟

手形訴訟・小切手訴訟とは

てがたそしょうこぎってそしょう

民事訴訟法 再審・簡易手続

手形訴訟とは、手形による金銭の支払とその法定利率による損害賠償の請求について、原告の選択で利用できる、証拠を書証などに限った簡易迅速な訴訟手続です(350条以下)。小切手訴訟にも同じ規定が準用されます(367条)。

手形は、支払われることを前提に取引の中を流れていく証券なので、不渡りになったら素早く回収できなければ役に立ちません。そこで、手形金の請求には、手形そのものなどの書類だけで審理し、すぐ判決を出す特別の手続が用意されています。ただし、証拠を絞る分だけ負けた側の言い分を十分に聞けないので、判決に不服があれば同じ裁判所で通常の手続により審理し直してもらえます。手形訴訟を使うかどうかは原告が選ぶので、最初から通常の訴訟で請求してもかまいません。

地方裁判所の法廷の場面。法壇に先生が裁判官役(札「裁判所」)として座り、手元に一枚の手形が置かれている。原告席の男性(札「原告(手形の所持人)」)が手形を指さし、被告席の男性(札「被告」)は「証人を呼びたい」と書いた紙を掲げている。法壇の前

手形による金銭の支払請求は、原告の選択で手形訴訟によることができ、その申述は訴状に記載します

手形による金銭の支払の請求と、これに附帯する法定利率による損害賠償の請求を目的とする訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求めることができます(350条1項)。求めるかどうかは原告の自由で、手形訴訟を求める旨の申述は訴状に記載します(350条2項)。「手形による金銭の支払の請求は,手形訴訟によらなければならない」という肢は誤りです。小切手による請求には小切手訴訟があり、手形訴訟の規定が準用されます(367条)。手形金債務不存在確認訴訟の係属中に、手形債権者が同じ手形金の支払を求めて手形訴訟を起こすことについて、下級審は、債権者が手形訴訟による簡易迅速な審判を受ける利益を保護すべきであるとして、重複起訴の禁止に触れないとしました(大阪高判昭和62年7月16日)。反訴として請求すると手形訴訟が使えなくなるからです。「当該手形金の支払を求める別訴を手形訴訟により提起することは,許されない」という肢は誤りです。重複起訴の一般論は、重複起訴の禁止の語で扱います。

手形訴訟では反訴ができず、証拠調べは書証と電磁的記録に限られます

手形訴訟においては、反訴を提起することができません(351条)。証拠調べは、書証と電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べに限られ(352条1項)、文書提出命令・文書送付の嘱託や、証拠調べの嘱託・調査の嘱託もできません(352条2項・4項)。審理を手形などの書類だけで素早く済ませるためです。例外として、文書若しくは電磁的記録の成立の真否又は手形の提示に関する事実については、申立てにより当事者本人を尋問できます(352条3項)。訴訟要件のような職権調査事項には、これらの制限は及びません(352条5項)。

  • 反訴できない(351条)
  • 証拠調べ書証・電磁的記録に限る(352条1項)
  • 文書提出命令・送付嘱託・調査嘱託できない(352条2項・4項)
  • 当事者本人尋問文書の成立の真否・手形の提示に関する事実に限り申立てで可(352条3項)
  • 通常の手続への移行原告が口頭弁論の終結まで、被告の承諾なしに(353条)
  • 終局判決への不服控訴できず、同じ裁判所に2週間以内に異議(356条・357条)
  • 仮執行宣言職権で、原則として無担保で付ける(259条2項)

原告は口頭弁論の終結まで被告の承諾なしに通常の手続に移行でき、被告が争わなければ直ちに弁論を終結できます

原告は、口頭弁論の終結に至るまで、被告の承諾を要しないで、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができ(353条1項)、申述の時に通常の手続に移行します(353条2項)。証拠が書証に限られるため、手形だけでは立証しきれないと分かった原告に、通常の手続で立証する道を開いておくものです。通常の手続は被告にとって不利にならないので、被告の承諾は要りません。「原告は,口頭弁論の終結に至るまで,被告の承諾を要しないで,訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる」という肢は正しいです。被告が口頭弁論で原告の主張した事実を争わず、何らの防御方法も提出しないときは、裁判所は移行の通知をする前でも口頭弁論を終結できます(354条)。

教室の黒板の図解。黒板の中央に「手形判決」の箱。そこから上に向かう矢印に「控訴」と書いて×印。同じ高さで右へ曲がる矢印に「異議(2週間以内・同じ裁判所)」、その先に「通常の手続で審理」の箱、さらに先に「認可 or 取消し」。先生が黒板の前で

手形訴訟の終局判決には控訴できず、同じ裁判所に異議を申し立てると、通常の手続で審理し直されます

手形訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができません(356条本文)。訴えを却下した判決に対しては、手形訴訟でできない請求として口頭弁論を経ずに却下した判決(355条1項)を除き、控訴ができます(356条ただし書)。不服のある当事者は、訴えを却下した判決を除き、電子判決書などの送達を受けた日から2週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てられます(357条)。適法な異議があると訴訟は口頭弁論の終結前の程度に戻り、通常の手続で審理及び裁判をします(361条)。事件が上の裁判所に移るわけではないので、「異議を申し立てることができ,その場合,事件は控訴審に係属することになる」という肢は誤りです。通常の手続でした判決が手形判決と符合するときは手形判決を認可し、違うときは手形判決を取り消します(362条)。異議は通常の手続による第一審の終局判決まで取り下げられますが、取下げには相手方の同意が要ります(360条)。手形金の請求を認める判決には、手形訴訟でも通常訴訟でも、職権で原則として無担保の仮執行宣言を付けなければなりません(259条2項)。

民事訴訟法350条

手形による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求を目的とする訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求めることができる。2 手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴状に記載してしなければならない。

民事訴訟法353条1項

原告は、口頭弁論の終結に至るまで、被告の承諾を要しないで、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。

試験ではこう問われる

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