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用語集 / 刑事訴訟法 / 勾留質問と勾留の裁判の手続

勾留質問と勾留の裁判の手続(207条・61条・弁護人選任権の告知)とは

こうりゅうしつもんとこうりゅうのさいばんのてつづき

刑事訴訟法 逮捕・勾留

勾留質問とは、勾留の請求を受けた裁判官が、勾留状を発する前に、被疑者に被疑事件を告げてこれに関する陳述を聴く手続です(刑事訴訟法207条1項・61条)。弁護人がない被疑者には、この際に弁護人選任権と国選弁護人の選任を請求できる旨を告げます(207条2項)。

検察官が勾留を請求すると、裁判官は書類だけで決めるのではなく、被疑者を自分の前に呼んで「あなたはこういう事件で勾留を請求されています。言い分はありますか」と尋ねます。これが勾留質問です。これから10日間も身体を拘束するかどうかを決めるのですから、本人の口から事情を聴いてから判断させる仕組みです。弁護人がまだいない人には、ここで弁護人を頼めることと、お金がなければ国選弁護人を請求できることも告げます。

裁判所の勾留質問室の場面。先生が裁判官役(札「裁判官」)で机に座り、向かいに男性(札「被疑者」)が座っている。机の上に「勾留請求書」と「勾留状(未記入)」。部屋の扉は閉まり、扉の外に弁護士の男性(札「弁護人」)が立っていて、扉に小さな札「勾

勾留請求を受けた裁判官は、被疑者が逃亡した場合を除き、被疑事件を告げて陳述を聴いてからでなければ勾留できません

被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければすることができず、被告人が逃亡した場合だけが例外です(刑事訴訟法61条)。この規定は207条1項により被疑者の勾留に準用されます。したがって裁判官は、「被疑者が逃亡した場合を除き、被疑者に対し被疑事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行わなければならない」のであり、この肢は正しいです。勾留請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限をもちますが、保釈についてはこの限りでなく、被疑者に保釈はありません(207条1項但書)。裁判官は勾留の請求を受けたときは速やかに勾留状を発しなければならず、勾留の理由がないと認めるときや206条2項により発することができないときは、勾留状を発しないで直ちに被疑者の釈放を命じます(207条5項)。「速やかに」とあるだけで時間の数字はなく、「勾留の請求を受けた時から24時間以内に勾留の裁判をしなければならない」という肢は誤りです。24時間は検察官の勾留請求の期限です。

弁護人がない被疑者には弁護人選任権と国選弁護の請求権を告げますが、すでに弁護人がいれば告げなくてよく、弁護人の立会いはできません

裁判官は、勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げる際に、弁護人を選任することができる旨と、貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければなりません。ただし、被疑者に弁護人があるときは告げなくてよいとされています(207条2項)。「被疑者が既に弁護人を選任している場合には,弁護人選任権を告げる必要はない」という肢は正しく、「既に弁護人を選任している場合でも、弁護人選任権を告げる必要がある」という肢は誤りです。告げるに当たっては、弁護士・弁護士法人・弁護士会を指定して選任を申し出ることができる旨と申出先(207条3項)、国選弁護の請求には資力申告書の提出が要ることと、資力が基準額以上なら先に弁護士会に私選の申出をしていなければならないこと(207条4項)を教示します。被疑者国選弁護の請求権が勾留請求の時点で全事件に認められるようになったのは平成28年改正によるもので、この告知の範囲は現行法で書いています。勾留質問に弁護人が立ち会う権利はありません。弁護人が立会いを求めることができる手続を選ぶ問題で、「裁判官が,検察官からの勾留請求を受け,被疑者に対し,勾留質問をする場合」は立会いを求めることができるものに当たりません。立会いができるのは勾留理由開示の法廷や裁判所の検証です。

大学の教室の場面。先生が教師役(札「刑事訴訟法」)で黒板の前に立つ。黒板に左右二列の表。左の見出し「勾留質問が要る」、その下に「被疑者の勾留」「逮捕中に起訴された未勾留の被告人(280条2項)」。右の見出し「勾留質問は要らない」、その下に「

勾留期間の延長、勾留中の起訴後の勾留継続、勾留の更新には勾留質問は要りません

勾留質問は、身体拘束を新しく始めるときに本人の弁解を聴く手続なので、すでに勾留されている被疑者について期間を延長する裁判には要りません。「被疑者の勾留期間の延長をする旨の裁判をする際,被疑者に対し被疑事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行わなければならない」という肢は誤りです。勾留中の被疑者がその被疑事実と同一の事実で起訴されると、被疑者勾留はそのまま被告人勾留に切り替わり、改めて勾留質問をする規定はありません。「その勾留を継続する必要があると認めるときは,…被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行わなければならない」という肢は誤りです。被告人勾留の更新の裁判にも要りません。これに対し、逮捕中に起訴された被疑者がまだ勾留されていない場合には、裁判官は速やかに被告事件を告げて陳述を聴き、勾留状を発しないときは直ちに釈放を命じます(280条2項)。勾留されていない被告人を裁判所が勾留するときも原則として61条の手続が要りますが、判例は、勾留をする裁判所がすでに被告事件の審理の際に被告事件に関する陳述を聞いている場合には、改めて勾留質問をしなければならないものではないとしています(最決昭和41年10月19日)。「既に被告事件の審理の際に被告人から被告事件に関する陳述を聴いている場合には、改めて…陳述を聴く手続を行う必要はない」という肢は正しいです。

  • 勾留質問が要る被疑者の勾留(207条1項・61条)/逮捕中に起訴された未勾留の被告人の勾留(280条2項)/勾留されていない被告人の勾留(61条。審理で陳述を聴いていれば不要)
  • 勾留質問が要らない勾留期間の延長(208条2項)/勾留中の起訴後の勾留継続/被告人勾留の更新(60条2項)/被疑者が逃亡した場合(61条但書)

被疑者の勾留を請求できるのは検察官だけで、在宅起訴のときに検察官が勾留を請求する権限はありません

被疑者の勾留は、検察官の請求により裁判官がします(204条〜206条・207条)。司法警察員は勾留を請求できません。検察官と司法警察員のいずれもが行使できる権限を問う問題で、「被疑者の勾留を請求すること」は当たりません。逮捕状による逮捕と起訴前の勾留について「どちらも,司法警察員の請求により裁判官が令状を発付する」という肢は誤りです。これに対し、被告人の勾留は裁判所(公訴提起の後第1回公判期日までは裁判官)が職権で行い、検察官に請求権はありません(60条1項・280条1項)。「検察官は,逮捕勾留されていない被疑者について公訴を提起する際,勾留請求権に基づいて,裁判官にその勾留を請求することができる」という肢は誤りです。在宅のまま起訴された被告人を勾留するかどうかは、裁判官又は裁判所が職権で判断します。被疑者勾留と被告人勾留の違いの全体は、被疑者の勾留と被告人の勾留の違いの語で扱います。

刑事訴訟法61条

被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。但し、被告人が逃亡した場合は、この限りでない。

刑事訴訟法207条2項

前項の裁判官は、勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げる際に、被疑者に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるときは、この限りでない。

刑事訴訟法207条5項

裁判官は、第一項の勾留の請求を受けたときは、速やかに勾留状を発しなければならない。ただし、勾留の理由がないと認めるとき、及び前条第二項の規定により勾留状を発することができないときは、勾留状を発しないで、直ちに被疑者の釈放を命じなければならない。

刑事訴訟法280条1項

公訴の提起があつた後第一回の公判期日までは、勾留に関する処分は、裁判官がこれを行う。

試験ではこう問われる

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