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勾留期間と延長(208条・208条の2:10日・起算日・通じて10日・さらに5日)とは

こうりゅうきかんとえんちょう

刑事訴訟法 逮捕・勾留

勾留期間と延長とは、被疑者の勾留が検察官の勾留を請求した日から10日で満了し、やむを得ない事由があるときに裁判官が検察官の請求により通じて10日まで延長でき、内乱・外患・国交に関する罪・騒乱の罪ではさらに通じて5日まで延長できるという定めのことです(刑事訴訟法208条・208条の2)。

被疑者の勾留は、いったん認められても無期限ではありません。検察官が勾留を請求した日から10日以内に起訴しなければ釈放しなければならず、どうしても捜査が終わらないときに限って、裁判官が合計10日まで延長できます。つまり起訴前の勾留は最長20日で、内乱や騒乱のような特別な罪だけさらに5日延びます。カレンダーの数え方には癖があり、請求した日を1日目として数えるので、7月18日に請求すれば満了日は7月27日です。勾留の裁判の日や勾留状を執行した日から数えるのではありません。

大学の教室の場面。先生が教師役(札「刑事訴訟法」)で黒板の前に立つ。黒板に7月のカレンダーが描かれ、18日の枠に「勾留請求(1日目)」、27日の枠に「満了日(10日目)」と書かれ、18日から27日まで帯で結ばれている。カレンダーの右に小さな

被疑者の勾留期間は、検察官が勾留を請求した日から10日で、請求日を1日目として数えます

207条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は直ちに被疑者を釈放しなければなりません(刑事訴訟法208条1項)。起算点は検察官が勾留を請求した日であって、裁判官が勾留の裁判をした日でも、勾留状を執行した日でも、逮捕により身体を拘束された日でもありません。「検察官から勾留の請求があった翌日に裁判官が被疑者を勾留する旨の裁判をした場合、その勾留期間は、同裁判があった日から起算する」という肢と、「被疑者が身体を拘束された日から10日以内に公訴を提起しないときは」という肢は誤りです。請求の翌日に勾留の裁判がされた場合でも、「勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは,勾留期間の延長が認められた場合を除き,直ちに被疑者を釈放しなければならない」という肢は正しいです。日で計算する期間は初日を算入しないのが原則ですが(55条1項)、勾留期間は「請求をした日から」とされており、請求の日を1日目として数えるのが実務です。「検察官が勾留の請求をした翌日から10日間である」という肢は誤りです。令和6年7月18日正午に勾留を請求し、同日午後3時に勾留状が発付され午後4時に執行された事例では、18日を1日目として10日目の7月27日が満了日で、「甲の勾留期間の満了日は、令和6年7月27日である」という肢は正しいです。平成28年10月8日に勾留請求がされた事例の満了日は10月17日です。満了日が土曜日や休日に当たっても後ろにずれません。

  • 起算日検察官が勾留を請求した日。その日を1日目として数える(208条1項)
  • 原則の期間10日。この間に起訴しなければ釈放
  • 延長やむを得ない事由があるとき、検察官の請求により裁判官が延長。通じて10日まで。回数の制限はなく、請求より短い延長もできる(208条2項)
  • 再延長内乱・外患・国交に関する罪・騒乱の罪に当たる事件は、さらに通じて5日まで(208条の2)
  • 被告人勾留公訴提起の日から2か月。特に継続の必要があれば1か月ごとに更新。更新は原則1回(60条2項)

延長はやむを得ない事由があるときに検察官の請求で裁判官がし、通じて10日までで、回数の制限はありません

裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により勾留期間を延長することができ、延長は通じて10日を超えることができません(208条2項)。やむを得ない事由とは、勾留のあった事件について起訴不起訴を決定するため捜査を継続する必要上、勾留期間を延長して被疑者の身体を拘束しておくことがやむを得ない場合をいい、事件の複雑困難や証拠収集の遅延・困難などにより、延長して取調べをしなければ起訴不起訴の決定が困難な場合がこれに当たります(最判昭和37年7月3日)。「通じて(a.10 b.20)日」なら10日が正しい数字です。法が定めるのは合計10日という上限だけなので、5日と5日のように分けて延長してもよく、「1回に限り,その期間を延長することができる」という肢は誤りです。請求より短い延長もでき、「検察官から勾留期間を10日間延長する請求があった場合でも,その延長期間を5日間とする裁判をすることができる」という肢は正しいです。延長の裁判に勾留質問は要りません。延長の裁判に対しては、被疑者・弁護人は、やむを得ない事由がないことを理由に準抗告をすることができます(429条1項2号)。「弁護人は,勾留されている被疑者の勾留の期間を延長する裁判に対して,準抗告をすることができる」という肢は正しく、弁護人の活動として法令上の根拠があるものに当たります。内乱、外患、国交に関する罪、騒乱の罪(刑法第2編第2章から第4章まで又は第8章の罪)に当たる事件については、検察官の請求により、さらに通じて5日まで延長できます(208条の2)。

裁判官室の場面。先生が裁判官役(札「裁判官」)で机に座り、手元に「勾留期間延長請求書 延長期間10日」と書かれた書類を持っている。机の前に検察官の男性(札「検察官」)が立っている。先生の吹き出し「共犯者の取調べが残っていて起訴不起訴を決めら

延長が許されるのは勾留事実の捜査のためで、同一性のある事実の捜査なら含まれますが、別事件の余罪捜査のためにはできません

身体拘束の効力は勾留の基礎となった被疑事実にだけ及ぶので、勾留事実と無関係な別事件の捜査のために延長することはできません。他方、勾留事実と同一性のある事実の解明は、勾留にかかる事件の処分を決めるための捜査です。傷害罪で勾留した後に同じ犯行が強盗目的で行われた疑いが生じた場合、強盗目的の有無はその犯行を傷害と強盗致傷のどちらで処分するかを左右する事情ですから、やむを得ない事由があれば延長できます。「強盗目的であったことの捜査のために勾留期間を延長することは許されない」という肢は誤りです。勾留事実について勾留の理由や必要がなくなった後に、余罪の捜査を理由に勾留を続けることができない点は、事件単位の原則の語で扱います。

被告人の勾留は公訴提起の日から2か月で、1か月ごとに更新し、更新は原則として1回に限られます

勾留中の被疑者がその事実で起訴されると、勾留は被告人勾留に切り替わり、期間は公訴の提起があった日から2か月となります。特に継続の必要がある場合には、具体的にその理由を付した決定で1か月ごとに更新できますが、89条1号・3号・4号・6号に当たる場合を除いて更新は1回に限られます(60条2項)。「被告人の勾留の期間は,延長されない限り,公訴の提起があった日から1か月である」という肢は誤りです。被疑者の勾留は「請求日から10日・延長通じて10日」、被告人の勾留は「起訴日から2か月・1か月ごとの更新」と、数字も起算点も用語(延長と更新)も違います。更新の裁判への不服申立てと被疑者勾留との違いの全体は、勾留の取消し・執行停止と準抗告の語と、被疑者の勾留と被告人の勾留の違いの語で扱います。

刑事訴訟法208条1項

第二百七条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

刑事訴訟法208条2項

裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。

刑事訴訟法208条の2

裁判官は、刑法第二編第二章乃至第四章又は第八章の罪にあたる事件については、検察官の請求により、前条第二項の規定により延長された期間を更に延長することができる。この期間の延長は、通じて五日を超えることができない。

刑事訴訟法60条2項

勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第八十九条第一号、第三号、第四号又は第六号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。

論文ではこう使う

論文では、身体拘束の経過を時系列で点検する事案で、勾留請求の日を1日目として満了日を計算し、延長の裁判があればやむを得ない事由があったかを、勾留事実の捜査に必要だったか、別事件の捜査に向けられていなかったかという観点で検討します。別件逮捕・勾留が疑われる事案では、延長の理由が本件の取調べに向いていたことを、実体喪失説や本件基準説の当てはめの材料にします。期間を超えて拘束が続いた場合は違法な身体拘束であり、その間の自白の証拠能力に進みます。

試験ではこう問われる

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