勾留理由開示(82条〜86条)とは
こうりゅうりゆうかいじ
勾留理由開示とは、勾留されている被疑者・被告人やその弁護人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人の請求により、裁判長が公開の法廷で勾留の理由を告げ、請求者側が意見を述べる手続です(刑事訴訟法82条〜86条・207条1項)。
勾留された人や家族が「なぜ拘束されているのか、法廷で説明してほしい」と求めることができます。これが勾留理由開示です。憲法34条が、拘禁の理由は要求があれば本人と弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならないと定めているのを受けた制度で、被疑者の段階でも被告人の段階でも使えます。裁判長が公開の法廷で勾留の理由を告げ、被疑者や弁護人は意見を述べられます。勾留の当否をその場で裁判する手続ではないので、不服があれば別に準抗告や取消請求をします。
請求できるのは勾留されている被疑者・被告人本人のほか、弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人です
勾留されている被告人は裁判所に勾留の理由の開示を請求することができ(刑事訴訟法82条1項)、その弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も請求することができます(82条2項)。この規定は207条1項により被疑者の勾留に準用されるので、被疑者の勾留でも被告人の勾留でも認められます。「被告人の勾留については,勾留の理由の開示を請求することはできない」という肢と、「勾留期間が長期に及ぶ可能性がある被告人の勾留に限って認められている」という肢はいずれも誤りで、起訴前は認められるが起訴後は認められないものにも当たりません。請求権者は本人と弁護人に限られず、「被疑者及びその弁護人に限り請求することができる」という肢は誤りです。「勾留されている被疑者の弁護人は,裁判官に勾留の理由の開示を請求することができる」という肢は正しいです。これに対し、逮捕の理由の開示という制度はありません。逮捕直後に選任された弁護人による「裁判官に対する甲の逮捕の理由の開示請求」は法令上の根拠がない活動です。被疑者の勾留と被告人の勾留のいずれについても認められる手続の個数を問う問題では、勾留理由開示は両方に認められるものに数えます。
開示は公開の法廷で行い、裁判長が犯罪事実と相当な理由に加えて60条1項各号の事由を告げ、被疑者と弁護人は意見を述べられます
勾留の理由の開示は公開の法廷でしなければならず(83条1項)、法廷は裁判官と裁判所書記官が列席して開きます(83条2項)。「勾留の理由の開示は,公開の法廷でこれをしなければならない」という肢は正しいです。被告人とその弁護人が出頭しないときは開廷できませんが、被告人の出頭は病気その他やむを得ない事由で出頭できず被告人に異議がないとき、弁護人の出頭は被告人に異議がないときは要りません(83条3項)。検察官の出頭は開廷の要件ではなく、「検察官が出頭しないときは,勾留理由開示の法廷を開くことはできない」という肢は誤りです。法廷では裁判長が勾留の理由を告げます(84条1項)。勾留の理由とは、勾留の基礎となっている犯罪事実と罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由だけでなく、住居不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれという60条1項各号の事由を含みます。「犯罪事実と,勾留されている者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由を告げれば足りる」という肢は誤りです。検察官、被告人、弁護人及びこれら以外の請求者は意見を述べることができ、裁判長は相当と認めるときは意見を記載した書面の提出を命じることができます(84条2項)。「勾留理由開示の法廷に出頭した被疑者及び弁護人は,意見を述べることができる」という肢は正しく、「被疑者は,…意見を述べることはできない」という肢は誤りです。弁護人が立会いを求めることができる手続を選ぶ問題では、勾留理由開示の法廷は立ち会えるものに当たり、勾留質問や捜査機関の捜索、226条の証人尋問は当たりません。
- 請求権者勾留されている本人、弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人(82条1項・2項)
- 場所と構成公開の法廷。裁判官と裁判所書記官が列席(83条1項・2項)。被告人・弁護人の不出頭は原則として開廷できない(83条3項)。検察官の出頭は要件でない
- 告げる内容犯罪事実・相当な理由+60条1項各号の事由(84条1項)
- 意見検察官・被告人・弁護人・その他の請求者が述べられる。書面の提出を命じられることがある(84条2項)
- 複数の請求同一の勾留について請求が二つ以上あるときは最初の請求について開示し、他は開示後に却下(86条)
釈放された後や保釈・執行停止・取消しがあった後は請求できず、請求はその効力を失います
保釈、勾留の執行停止若しくは勾留の取消しがあったとき、又は勾留状の効力が消滅したときは、開示の請求はその効力を失います(82条3項)。身体拘束が解かれた以上、理由を公開の法廷で示させる必要がなくなるからです。したがって、勾留の執行停止により釈放されている被疑者は請求できず、「勾留の執行停止により釈放されている被疑者であっても,勾留の理由の開示を請求することができる」という肢は誤りです。弁護人の選任の効力が残っていても、「勾留されていた被疑者が釈放された後であっても,…勾留の理由の開示を請求して,被疑者と共に公開の法廷で同理由の開示を受けることができる」という肢は誤りです。同一の勾留について請求が二つ以上あるときは、最初の請求について開示を行い、その他の請求は開示が終わった後に決定で却下します(86条)。開示の結果に不服があるときは、勾留の裁判に対する準抗告や勾留の取消請求によります。この点は勾留の取消し・執行停止と勾留に対する準抗告の語で扱います。
刑事訴訟法82条1項
勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。
刑事訴訟法82条2項
勾留されている被告人の弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も、前項の請求をすることができる。
刑事訴訟法82条3項
前二項の請求は、保釈、勾留の執行停止若しくは勾留の取消があつたとき、又は勾留状の効力が消滅したときは、その効力を失う。
刑事訴訟法83条1項
勾留の理由の開示は、公開の法廷でこれをしなければならない。
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