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用語集 / 行政法 / 建築確認と検査済証

建築確認と検査済証とは

けんちくかくにんとけんさずみしょう

行政法 その他の行為形式

建築確認とは、一定の建築物について、その計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを建築主事又は指定確認検査機関が審査し、適合すると認めて確認済証を交付する行為です(建築基準法6条、6条の2)。検査済証とは、工事完了後の完了検査で計画どおり適合していると認められたときに交付される証書です(7条)。

家を建てる前に、建築主は設計図が建築基準法などの規定に合っているかを役所の建築主事や民間の指定確認検査機関に審査してもらい、確認済証を受け取ります。これが建築確認で、確認を受けなければ工事を始められません。建物が完成すると完了検査を受け、適合していれば検査済証が交付されます。確認は計画が基準に合うかを見るだけの行為なので、工事が終わると争う意味が消えるなど、ほかの許可とは違う扱いが出てきます。

役所の建築指導課の窓口の場面。先生が建築主事役(札「建築主事」)で、設計図を広げた机の向こうの建築主の男性(札「建築主」)に「確認済証」と書かれた紙を手渡している。建築主の吹き出し「この計画で家を建てたい」。先生の吹き出し「計画が建築基準関

建築確認は裁量の余地のない確認的行為です

建築主事は、申請された計画が建築基準関係規定に適合すると認めたときは、確認済証を交付しなければなりません。要件を満たすかどうかの判断に政策的な裁量はなく、その意味で確認は羈束行為です。この性質から二つの帰結が出ます。第一に、確認は建築の自由を一般的に禁止して個別に解除する許可とは異なり、適合性を公権的に確認する行為だと位置づけられます。第二に、確認の根拠規定から別の行政目的のための指導権限を読み出すことはできません。「最高裁判所の判例によれば、規制的行政指導には根拠規範が原則として必要とされるが、職員は建築基準法における建築確認の根拠規定に基づき、Xに対して付近住民との話合いを指導することができる」という肢は誤りです。判例は行政指導に法律の根拠を要しないという前提に立っており、規制的行政指導に根拠規範が原則として必要だという前段がまず誤りです。付近住民との話合いの指導は、行政機関がその任務や所掌事務の範囲内で行うものであって、確認の根拠規定が指導の根拠になるわけでもありません。

  • 確認の申請建築主が計画を提出します。確認を受けなければ工事に着手できません
  • 確認済証の交付建築主事等が建築基準関係規定への適合を確認して交付します。裁量の余地はほとんどありません
  • 完了検査工事完了後4日以内に申請し、適合していれば検査済証が交付されます
  • 違反是正命令違反があれば特定行政庁が工事の停止や除却を命じます(9条)

工事が完了すると、建築確認の取消しを求める訴えの利益は消滅します

最判昭和59年10月26日(建築確認と訴えの利益)は、建築確認は、それを受けなければ工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないとしました。工事完了後に検査済証の交付を拒否するか、違反是正命令を発するかは、建築物が現に規定に適合しているかを基準に別個に判断されます。確認の存在はその法的障害にならず、確認が判決で取り消されても、交付を拒否し又は是正命令を発すべき法的拘束力が生じるわけではありません。ですから工事完了により訴えの利益が失われます。「建築基準法に基づく建築確認は,それを受けなければ工事をすることができないという法的効果が付与されているものにすぎないが,建築確認が違法であるとして判決で取り消されれば,相当程度の確実さをもって,工事完了後,建築主事等において検査済証の交付を拒否することになるか,又は特定行政庁において違反是正命令を発すべきことになるのであるから,当該工事が完了した場合においても,その取消しを求める訴えの利益は失われない」という肢は誤りです。建物の除却が社会通念上不可能であることは事情判決で考慮すべき事柄だという理由づけも誤りで、「そのような事情は,事情判決に関する規定の適用に際して考慮されるべき事柄であって,建築確認の取消しを求める訴えの利益を消滅させるものではないと考えられます」という肢も誤りです。判例は除却の可否ではなく、確認の法的効果が尽きたことを理由にしているからです。詳しくは訴えの利益の項目で扱います。

先生が裁判官役(札「裁判所」)で中央。左に完成したマンションと、その前に立つ近隣住民の男性(札「近隣住民」)が吹き出し「工事は終わったが、建築確認は違法だった。取り消されれば違反是正命令が出るはずだから、訴えの利益は残る」。先生の吹き出し「

確認の留保は、不協力の意思が真摯かつ明確になった後は原則として違法です

最判昭和60年7月16日(品川区マンション事件)は、建築主事は要件を満たすと認めたときは遅滞なく確認をすべき義務を負うとしつつ、付近住民との紛争解決のために行政指導を行い、建築主が任意に協力している間は応答を留保しても直ちに違法になるわけではないとしました。もっとも、建築主が指導に従わない意思を真摯かつ明確に表明し、確認処分を留保されたままでの指導にはもはや応じられないとの意思を示した場合には、建築主の明示の意思に反して受忍を強いることは許されないので、留保は原則として違法になります。この場合でも、建築主が受ける不利益と指導の目的とする公益上の必要性を比較衡量して、行政指導に対する建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するといえる特段の事情があれば違法とはなりません。公益上の必要性が残っているというだけでは特段の事情になりません。「建築主において自己の申請に対する建築確認を留保されたままでの行政指導には応じられないとの意思を真摯かつ明確に表明している場合であっても,行政指導の目的とする公益上の必要性が失われていないときは,行政指導が行われていることを理由に建築確認を留保しても,違法ではない」という肢は誤りです。留保が違法であれば国家賠償の対象になり、「当該指導が行われていることを理由に建築確認が遅延させられたのは違法であると主張して、国家賠償法第1条第1項に基づき損害賠償を請求することはできない」という肢は誤りです。建築確認をめぐる行政指導は、同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対して行われるものですから、行政手続法36条により、あらかじめ行政指導指針を定め、行政上特別の支障がない限り公表しなければなりません。「建築確認を留保して行う行政指導については,その指針があらかじめ定められなければならず,行政上の支障がない限り,当該指針は公表されなければならない」という肢は正しいです。行政指導の限界の中心的な判例です。

区役所の窓口の場面。先生が建築主事役(札「建築主事」)で、机の上に「建築確認申請書」を留め置いている。窓口の前の建築主の男性(札「建築主」)が吹き出し「付近住民との話合いにはもう応じられない。確認を留保されたままの行政指導は受けない」。先生

指定確認検査機関の確認の事務は地方公共団体に帰属します

建築確認は民間の指定確認検査機関も行えます(建築基準法6条の2、77条の21)。機関は私人ですが、法律の定めに基づいて処分をする権限を与えられており、行政主体との委任契約によるものではありません。「行政主体が当該私人との間で委任契約を締結することになる」という肢は誤りで、根拠は法律の定めです。機関の確認は行政処分ですから、取消訴訟の被告は機関になります。他方、国家賠償の責任は、確認事務が帰属する地方公共団体が負います。最決平成17年6月24日(指定確認検査機関による確認事務の帰属)は、法が機関の確認を建築主事の確認とみなし、特定行政庁への報告と確認済証の失効の仕組みを置いていることから、機関の確認に係る事務は建築主事が置かれた地方公共団体に帰属するとしました。ですから、機関を被告とする取消訴訟を提起した後に完了検査が終了して訴えの利益が失われた場合、その地方公共団体に対する損害賠償の訴えへの変更が認められます(行政事件訴訟法21条)。「上記訴えを、当該建築物について建築確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体に対する損害賠償を求める訴えに変更することは、許されない」という肢は誤りです。「民間の指定確認検査機関が違法に建築確認を行ったために当該建築物の近隣住民が被害を受けた場合に,当該建築物に係る建築確認事務の帰属する市が国家賠償法第1条第1項による賠償責任を負う例」という肢は、市が国家賠償責任を負うという内容そのものはこの決定のとおりです。ただしこの肢は損失補償の例を選ぶ問題で出たもので、違法な確認による損害は国家賠償の問題であって損失補償ではありませんから、その問題では誤りとされました。なお、建築主自身が違法な確認によって損害を受けた場合について、最判平成25年3月26日は、建築主事が建築主に対する関係で国家賠償法上違法となるのは、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と確認をしたと認められる事情がある場合に限られるとしています。

先生が裁判官役(札「裁判所」)で中央。左に民間会社の男性(札「指定確認検査機関」)が「確認済証」を持ち、その横に近隣住民の男性(札「近隣住民」)が吹き出し「機関を被告に取消訴訟を起こしたが、完了検査が終わって訴えの利益がなくなった。市への損

安全認定の違法は建築確認の取消訴訟で主張できます

最判平成21年12月17日(建築安全条例の安全認定と建築確認)は、安全認定に処分性を認めたうえで、その違法を建築確認の取消訴訟で主張できるとしました。理由は二つです。第一に、両者は避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるもので、安全認定は接道要件充足の有無の判断の一部を切り出したものにすぎず、建築確認と結合して初めてその効果を発揮することです。第二に、安全認定については個別の通知が予定されておらず、建築確認があるまで工事も行われないため、周辺住民がこれを知る機会が乏しく、その適否を争うための手続的保障が十分に与えられているとはいい難いことです。「この判決は,建築確認における接道要件充足の有無の判断と,安全認定における安全上の支障の有無の判断は,避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものであることを考慮して,建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである」という肢と、「安全認定の適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難であることを考慮して」という肢はいずれも正しく、「安全認定に処分性が認められないことを前提として」という肢は誤りです。判例は安全認定を処分と見たうえで、それが取り消されていなくても後の建築確認の取消訴訟で違法を主張できるとしたのであって、違法性の承継を肯定した代表例です。

先生が裁判官役(札「裁判所」)で中央。左に二枚の紙が矢印でつながって描かれ、先の紙に「安全認定」、後の紙に「建築確認」と書かれ、上に看板「避難又は通行の安全の確保という同一の目的」。手前の周辺住民の男性(札「周辺住民」)が吹き出し「安全認定

最判昭和59年10月26日(建築確認と訴えの利益)

建築確認は、それを受けなければ工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものというべきであるから、当該工事が完了した場合においては、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるものといわなければならない。

最判昭和60年7月16日(品川区マンション事件)

建築主が受ける不利益と右行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量して、右行政指導に対する建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を留保することは、違法である。

論文ではこう使う

論文では、建築確認をめぐる争いを時系列で組み立てます。工事着手前であれば、周辺住民が確認の取消しを求める場面で原告適格を検討し、建築基準法や関係条例の趣旨目的から個別的利益の保護を読み取ります。工事が完了していれば、昭和59年判決に従って訴えの利益の消滅を認め、違反是正命令の義務付け訴訟や国家賠償へ請求を組み替える道筋を示します。建築主の側からの争いであれば、確認の留保の違法を品川区マンション事件の枠組みで論じ、不協力の意思表明の時点を特定し、特段の事情の有無を当てはめて国家賠償を構成します。先行行為の違法を主張したい場面では、両行為の目的の同一性と手続的保障の不十分さという二つの視点から違法性の承継を論じます。

試験ではこう問われる

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