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用語集 / 商法 / 解散と清算

解散と清算とは

かいさんとせいさん

商法 解散・清算・会社の訴訟・持分会社

解散とは、定款で定めた存続期間の満了・解散事由の発生、株主総会の決議、合併、破産手続開始の決定、解散を命ずる裁判によって、会社が営業活動をやめて清算に入る原因となる事実のことです(会社法471条)。清算とは、解散した会社が、現務を結了し、債権を取り立てて債務を弁済し、残余財産を株主に分配して法律関係を後始末する手続のことで、会社の法人格は清算の結了によって消滅します(会社法475条・476条・481条)。

店をたたむと決めても、その日に会社が消えるわけではありません。取引先への支払や売掛金の回収、店舗の明渡しが残っているからです。会社法はこれを二段に分け、まず解散で営業をやめる原因を確定し、その後に清算という後始末の手続を置きました。清算の間、会社は清算の目的の範囲内で生き続け、債権者に名乗り出る期間を与えてから債務を払い、残りを株主に分けて、すべて終わった時に法人格が消えます。合併で消える会社だけは、権利義務がそっくり相手に移るので清算が要りません。

閉店後の店舗の事務所の場面。先生が清算人役(札「清算人」。元の取締役)で机に座り、壁に板書の時間軸。左から「解散(株主総会の特別決議)」→「清算(債権者への公告2か月以上→弁済→残余財産の分配)」→「決算報告の承認=清算結了」→「清算結了の

解散しても会社は直ちには消滅せず、清算が結了した時に法人格が消滅します

株式会社は、定款で定めた存続期間の満了、定款で定めた解散の事由の発生、株主総会の決議、合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る)、破産手続開始の決定、解散を命ずる裁判によって解散します(471条)。株主総会の決議による解散は特別決議によります(309条2項11号)。解散した株式会社は、合併により消滅する場合と、破産手続開始の決定により解散してその手続が終了していない場合を除き、清算をしなければならず(475条1号)、清算をする株式会社(清算株式会社)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなされます(476条)。したがって解散は法人格を消滅させる事由ではなく、会社の目的を営業活動から清算事務に切り替える原因です。「株式会社は、株主総会の決議によって解散した時に消滅する」という肢は誤りです。法人格が消滅するのは、決算報告が株主総会で承認されて清算が結了した時であり、その後にする清算結了の登記(929条)は消滅の要件ではありません。「その会社の法人格は,清算が結了しても,その会社が清算結了の登記をするまでは,消滅しない」という肢は誤りです。清算株式会社は清算の目的の範囲内で権利能力を持つので、清算を進めるために必要なら募集株式・募集新株予約権・募集社債の発行をすることができます。「清算株式会社も,募集株式,募集新株予約権又は募集社債の発行をすることができる」という肢は正しいです。一方、解散した株式会社は、自らが存続する合併と、吸収分割によって他の会社の権利義務を承継することはできません(474条)。「解散したことにより清算をする株式会社は,当該株式会社を存続会社とする吸収合併をすることができない」という肢は正しいです。

存続期間の満了・解散事由の発生・株主総会の決議で解散した会社は、清算が結了するまで株主総会の特別決議で継続できます

株式会社は、471条1号から3号までの事由(定款で定めた存続期間の満了、定款で定めた解散の事由の発生、株主総会の決議)によって解散した場合には、清算が結了するまで、株主総会の決議によって株式会社を継続することができます(473条)。この決議も特別決議です(309条2項11号)。登記が最後にあった日から12年を経過した休眠会社が法務大臣の公告の後に届出をせず解散したものとみなされた場合(472条1項)も継続できますが、みなし解散の後3年以内に限られます。「その会社は,清算が結了するまで,株主総会の特別決議によって,株式会社を継続することができる」という肢は正しいです。合併・破産手続開始の決定・解散を命ずる裁判による解散では継続はできません。なお、株主総会の決議要件を比べる問題では、会社の解散の決議(471条3号・309条2項11号)と、吸収合併消滅株式会社においてする吸収合併契約の承認の決議(783条1項・309条2項12号)はどちらも特別決議で、「会社の解散の決議と,吸収合併消滅株式会社においてする吸収合併契約の承認の決議とは,決議要件が同じである」という肢は正しいです。

清算人は、定款の定めや株主総会の選任が無ければ取締役がなり、清算人会は定款で置くことができる機関にとどまります

清算株式会社には1人又は2人以上の清算人を置かなければなりません(477条1項)。清算人になるのは、定款で定める者、株主総会の決議によって選任された者で、これらの者が無いときは解散時の取締役がそのまま清算人になります(478条1項)。裁判所が利害関係人の申立てによって清算人を選任するのは、478条1項によって清算人となる者が誰もいないときです(同条2項)。解散を命ずる裁判によって解散した場合と、設立の無効の訴え・株式移転の無効の訴えの認容判決が確定した場合には、裁判所が清算人を選任します(同条3項・4項)。「清算株式会社の清算人については、定款で定める者及び株主総会の決議によって選任された者がいない場合には、当該会社に取締役がいるときであっても、利害関係人の申立てにより、裁判所が選任する」という肢は誤りです。清算人は、裁判所が選任した者を除き、いつでも株主総会の決議で解任でき、重要な事由があるときは少数株主の申立てにより裁判所が解任します(479条)。清算株式会社は、定款の定めによって清算人会・監査役・監査役会を置くことができ(477条2項)、監査役会を置く会社は清算人会を置かなければなりません(同条3項)。解散前に取締役会設置会社であったからといって清算人会が必置になるわけではありません。「その会社が取締役会設置会社であった場合,清算人会を置かなければならない」という肢は誤りです。他方、解散時に公開会社又は大会社であった清算株式会社は監査役を置かなければならず(477条4項)、その会社が監査等委員会設置会社であったときは監査等委員である取締役が、指名委員会等設置会社であったときは監査委員が監査役になります(同条5項・6項)。「その会社が会社法上の公開会社である委員会設置会社であった場合,監査委員が監査役となる」という肢は正しいです(出題当時の「委員会設置会社」は現在の指名委員会等設置会社です)。

教室の場面。先生が教壇に立ち、黒板に清算株式会社の機関の板書。中央に大きく「清算人(478条)」とその下に3行「定款で定める者」「株主総会が選任した者」「どちらも無ければ取締役がそのまま」、3行目を深紅の下線。右に小さく「裁判所が選任(47

清算人は債権申出期間の後に債務を弁済し、債務超過なら直ちに破産を申し立て、決算報告の承認で清算が結了します

清算人の職務は、現務の結了、債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の分配です(481条)。清算株式会社は、清算の開始後遅滞なく、債権者に対して2か月以上の一定の期間内に債権を申し出るべき旨を官報に公告し、知れている債権者には各別に催告しなければならず(499条1項)、この期間内は、裁判所の許可を得て少額の債権などを弁済する場合を除き、債務の弁済をすることができません(500条)。すべての債権者を平等に扱うために、まず債権者を把握してから払うという順序です。「その会社は,解散した後,速やかに,債務の弁済をしなければならない」という肢は誤りです。清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は直ちに破産手続開始の申立てをしなければなりません(484条1項)。債務超過の会社の後始末は、債権者平等を貫ける破産手続に委ねるためです。「清算人は、清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない」という肢は正しいです。清算事務が終了したときは、清算人は遅滞なく決算報告を作成し、清算人会設置会社では清算人会の承認を受けたうえで、株主総会に提出してその承認を受けなければなりません(507条1項〜3項)。この承認があったときは、任務を怠ったことによる清算人の損害賠償責任は免除されたものとみなされますが、清算人の職務の執行に関し不正の行為があったときは免除されません(同条4項)。「清算人は、清算人会の承認を受けた決算報告を株主総会に提出してその承認を受けた場合には、その職務の執行に関し不正の行為があったときを除き、任務を怠ったことによる損害賠償の責任を免除されたものとみなされる」という肢は正しいです。清算人(清算人会設置会社では代表清算人などの業務を執行する清算人)は、本店の所在地における清算結了の登記の時から10年間、清算株式会社の帳簿とその事業・清算に関する重要な資料を保存しなければなりません(508条1項)。会社が消えた後に株主や債権者との紛争や税務の必要が生じうるからです。「代表清算人は、清算株式会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から10年間、当該会社の帳簿を保存しなければならない」という肢は正しいです。

吸収合併の消滅会社は合併によって当然に解散しますが、事業の全部を譲渡した会社や会社分割をした会社は当然には解散しません

合併により消滅する会社は、合併の効力発生によって当然に解散し(471条4号)、権利義務の全部が存続会社に包括承継されるので(750条1項)、清算を経ずに法人格が消滅します(475条1号括弧書)。「吸収合併の場合には,消滅会社はそれによって当然に解散するが,事業譲渡の場合には,譲渡会社はその事業の全部を譲渡してもそれによって当然には解散しない」という肢は正しいです。事業譲渡は会社の取引行為の一つで471条の解散事由に無く、事業の全部を譲渡した会社は、目的を変えて事業を続けることも、別に解散の決議をすることもできます。「吸収合併の場合には、消滅会社はそれによって当然に解散し、事業の全部の譲渡の場合にも、譲渡会社はそれによって当然に解散する」という肢は誤りです。会社分割でも分割会社は存続します。「吸収分割株式会社は,その事業に関して有する権利義務の全部を吸収分割承継株式会社に承継させた場合には,吸収分割がその効力を生ずる日に解散したものとみなされる」という肢は誤りです。吸収合併消滅会社の解散は、吸収合併の登記の後でなければ第三者に対抗することができず(750条2項)、第三者の善意・悪意を問いません。「吸収合併消滅会社の吸収合併による解散は,吸収合併の登記の後でなければ,これをもって第三者に対抗することができない」という肢は正しく、「吸収合併の場合,消滅会社の解散は,吸収合併の登記の前でも,悪意の第三者に対抗することができる」という肢は誤りです。

持分会社は社員が欠けたときに解散し、合名会社・合資会社は清算人を置かない任意清算ができます

持分会社の解散事由は、定款で定めた存続期間の満了、定款で定めた解散の事由の発生、総社員の同意、社員が欠けたこと、合併による消滅、破産手続開始の決定、解散を命ずる裁判です(641条)。「社員が欠けたこと」は社員が1人もいなくなったことで、社員が1人になっただけでは解散しません。合資会社で有限責任社員が退社して無限責任社員だけになれば合名会社となる定款の変更をしたものとみなされ、無限責任社員が退社して有限責任社員だけになれば合同会社となる定款の変更をしたものとみなされます(639条)。「合資会社は,社員が1人となったときは,解散する」という肢は誤りです。株式会社も株主が1人になっても解散しません。解散した持分会社は清算をしなければならず(644条)、清算の目的の範囲内で存続するものとみなされます(645条)。合名会社と合資会社は、定款又は総社員の同意によって、存続期間の満了・解散事由の発生・総社員の同意で解散した場合の財産の処分の方法を定めることができ、その場合には法定清算の規定が適用されず、清算人を置かないで清算をすることができます(668条。任意清算)。社員が会社債務について無限責任を負うので、債権者保護の手続を簡略にしてよいからです。「合名会社は,定款で定めた解散の事由の発生によって解散したときは,総社員の同意によって,会社の財産の処分の方法を定め,清算人を置かないで清算をすることができる」という肢は正しいです。合同会社は社員全員が有限責任なので任意清算はできません。

株式会社の解散と清算の流れ

  • 解散事由(471条): 存続期間の満了・定款の解散事由・株主総会の特別決議(309条2項11号)・合併による消滅・破産手続開始の決定・解散を命ずる裁判。休眠会社のみなし解散(472条)
  • 継続(473条): 1〜3号の解散(みなし解散を含む)なら清算結了まで特別決議で継続できる(みなし解散は3年以内)
  • 清算の開始(475条): 合併による消滅と破産手続中を除き清算。設立無効・株式移転無効の判決確定でも清算
  • 清算人(478条): 定款で定める者・株主総会が選任した者、いなければ取締役。誰もいなければ裁判所が利害関係人の申立てで選任。清算人会・監査役・監査役会は定款で設置(477条2項)、公開会社・大会社であった会社は監査役必置(477条4項)
  • 債権者保護(499条・500条): 2か月以上の債権申出期間を公告・催告し、期間内は弁済禁止(裁判所の許可を得た少額債権などを除く)
  • 債務超過(484条1項): 完済できないことが明らかになれば直ちに破産手続開始の申立て
  • 結了(507条): 決算報告を株主総会が承認した時に清算結了・法人格消滅。承認で清算人の任務懈怠責任は免除されたものとみなす(不正の行為を除く)
  • 登記・保存(929条・508条): 承認の日から2週間以内に清算結了の登記。帳簿資料は登記の時から10年間保存

会社法476条

前条の規定により清算をする株式会社(以下「清算株式会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。

会社法484条1項

清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。

試験ではこう問われる

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