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用語集 / 民法 / 第三者弁済

第三者弁済(474条)とは

だいさんしゃべんさい

民法 債権の消滅

第三者弁済とは、債務者以外の第三者が他人の債務を弁済することで、債務の性質が許さないときや当事者が禁止・制限したときを除いて認められますが、弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思又は債権者の意思に反して弁済することができません(474条)。

借地の上の建物を借りて住んでいる人は、建物の持ち主が土地の地代を払わないと困ります。土地の賃貸借が解除されると、建物ごと出て行かなければならないからです。そこで、その人が建物の持ち主に代わって地代を払えるかが問題になります。民法は、債務は債務者以外の第三者も弁済できるとしたうえで、弁済をするについて正当な利益を持たない第三者には、債務者や債権者の意思との関係で制限を置いています。正当な利益がある人は、その制限を受けません。

借地の上に建つアパートの前の場面。先生が建物の賃借人役(札「建物の賃借人C」)で、地主の男性(札「土地の賃貸人A」)に地代の封筒を差し出している。少し離れて建物の持ち主の男性(札「土地の賃借人B」)が「払わなくていい」と手を振っている。先生

債務は第三者も弁済できますが、正当な利益を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済することができません

474条1項は、債務の弁済は第三者もすることができると定めています。2項本文は、弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができないとし、ただし書で、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは有効としています。出題当時の旧474条2項は「利害関係を有しない第三者」と定めてただし書がなく、「利害関係を有しない第三者は,債務者の意思に反して,その債務の弁済をすることができない」という肢は正しいとされました。現在も原則は同じですが、債権者が債務者の意思に反することを知らなかった場合には弁済が有効になる点が加わっています。正当な利益とは、弁済をしなければ自分の権利や法律上の地位を失うといった法律上の利益をいい、親族や友人であるといった事実上の利害関係では足りません(旧規定の利害関係について最判昭和39年4月21日)。

借地上の建物の賃借人、物上保証人、後順位抵当権者は正当な利益を有するので、債務者や債権者の意思に反しても弁済できます

判例は、借地上の建物の賃借人は敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有するとしています(最判昭和63年7月1日)。土地の賃借権が消滅すれば、建物の賃借人は土地の賃貸人に対して建物から退去して土地を明け渡す義務を負うからです。「建物の賃借人は,その土地の賃料について,土地の賃借人の意思に反しても弁済をすることができる」という肢、「その建物を賃借した者は、土地の賃借人の意思に反しても、その土地の賃料債務の弁済をすることができる」という肢、土地の賃借人が地代の支払を拒絶しているときに「Cは,Aに対し甲土地の賃料の支払をすることができる」という肢、「Cは,Bの意思に反するときでも」地代を弁済できるとする肢は正しく、「法律上の利害関係を有するとはいえないので」弁済できないとする肢は誤りです。物上保証人も、弁済しなければ担保に入れた財産を失う立場にあるので正当な利益を有し、「本件債務の物上保証人は,Aの意思に反しては,本件債務を弁済することができない」という肢は誤りです。後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権が消えれば順位が上がる法律上の利益を有するので、債権者である先順位抵当権者の意思に反しても弁済でき、「先順位抵当権者の意思に反して先順位抵当権の被担保債権の弁済をすることができない」という肢は誤りです。

板書の図解。黒板に表があり、左の列に「正当な利益あり」として「借地上の建物の賃借人」「物上保証人」「後順位抵当権者」、右の列に「正当な利益なし」として「親族・友人」と書かれている。右の列の下に「債務者の意思に反する→不可(債権者が知らなけれ

正当な利益を有しない第三者は債権者の意思にも反して弁済できず、債務の性質や当事者の禁止・制限の意思表示があるときは第三者弁済そのものができません

474条3項本文は、正当な利益を有しない第三者は債権者の意思に反して弁済をすることができないと定めています。債権者が見知らぬ人からの弁済を受け取らされることを防ぐためで、ただし書は、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合に、そのことを債権者が知っていたときは弁済できるとしています。4項は、債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、1項から3項までを適用しないとしています。このときは正当な利益を有する者でも弁済できないので、「第三者は,当事者が合意により禁止したときは,弁済をすることができない」という肢は正しいです。

保証人の弁済は自分の保証債務の履行なので、委託を受けていなくても主たる債務者の意思に反して弁済できます

保証人が債権者に支払うのは、保証契約によって自ら負担した保証債務の履行であって、他人の債務を弁済する第三者弁済ではありません。したがって、主たる債務者の意思に反するかどうかは弁済の可否に関係せず、「委託を受けない保証人は,主たる債務者の意思に反して弁済することができない」という肢は誤りです。主たる債務者の意思に反して保証をした者は、求償の範囲が主たる債務者が現に利益を受けている限度に限られる(462条2項)にとどまります。保証契約は債権者と保証人の契約なので、主たる債務者の意思に反しても結ぶことができ、「第三者は,Aの意思に反しても,本件債務を主たる債務とする保証をすることができる」という肢は正しいです。

有効に弁済した第三者は債務者に求償でき、債権者に代位して担保を行使できます

第三者が有効に弁済すると債権は消滅し、第三者は債務者に対して求償権を取得します。求償権の根拠は、委託を受けていれば委任の費用償還(650条1項)、委託を受けていなければ事務管理の費用償還(702条)などです。債務者のために弁済をした者は債権者に代位し(499条)、債権の効力及び担保として債権者が有していた一切の権利を求償の範囲で行使できます(501条1項・2項)。正当な利益を有する者は対抗要件なしに代位できますが、正当な利益を有しない者の代位は債権譲渡の対抗要件(467条)を準用して備える必要があります(500条)。代位の要件と効果は弁済による代位の語で扱います。

民法474条

債務の弁済は、第三者もすることができる。2 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。3 前項に規定する第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。4 前三項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、適用しない。

論文ではこう使う

論文では、借地上の建物の賃借人や転借人が地代・賃料を支払って賃貸借の解除を防げるかという場面で使います。474条2項の「弁済をするについて正当な利益を有する者」の意義を、弁済をしなければ自己の権利や法律上の地位を失う法律上の利益と示し、建物賃借人は土地賃借権が消滅すれば建物から退去して土地を明け渡す義務を負う関係にあるから正当な利益を有するとあてはめます。そのうえで、債務者の意思に反しても弁済は有効で、債権者がその受領を拒めば受領遅滞になり、債務者の不履行を理由とする解除は認められないと結論づけます。

試験ではこう問われる

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