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用語集 / 刑事訴訟法 / 黙秘権の告知と被疑者の権利告知の一覧

黙秘権の告知と被疑者の権利告知の一覧(198条2項・203条・291条)とは

もくひけんのこくちとひぎしゃのけんりこくちのいちらん

刑事訴訟法 取調べ・被疑者の防御

黙秘権の告知とは、被疑者の取調べの前に自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げること(刑事訴訟法198条2項)と、公判の冒頭手続で裁判長が被告人に終始沈黙し又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨などを告げること(291条5項)をいいます。被疑者の権利告知には、このほか逮捕後の弁解録取の際の犯罪事実の要旨と弁護人選任権の告知(203条)があります。

取調べの最初に警察官が「言いたくないことは言わなくてよい」と告げる場面を思い浮かべてください。黙秘権は、告げられなければ知らないまま話してしまう権利なので、法律は節目ごとに告知を義務づけています。被疑者の取調べの前、逮捕されたとき、公判が始まるとき、公判前整理手続に出頭したときです。一方で、被害者や目撃者のような参考人には告知の規定がありません。誰に、どの場面で、何を告げるのかを一覧で押さえる語です。

警察署の取調室の場面。先生が司法警察員役(札「司法警察員」)で机に座り、向かいに男性(札「被疑者」)が座っている。隣の部屋が窓越しに見え、そこでは別の警察官の男性が女性(札「目撃者(参考人)」)から話を聞いている。先生の側の壁の掲示に「取調

被疑者の取調べの前には供述拒否権を告げますが、参考人の取調べには告知の規定がありません

被疑者の取調べに際しては、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければなりません(刑事訴訟法198条2項)。被疑者以外の者の取調べには、被疑者の取調べの規定のうち出頭拒否・退去と調書の規定が準用されますが(223条2項)、198条2項は準用されていません。したがって、「被害者,目撃者など被疑者以外の者に対して取調べを行うに際しても,自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない」という肢と、「犯罪の被害者を参考人として取り調べるに当たり、あらかじめ自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない」という肢は誤りです。証人には自己や近親者が刑事訴追を受けるおそれのある証言を拒む権利があり、公判ではその告知が規則で定められていますが、捜査段階の参考人取調べにそのような告知を求める規定はなく、「自己又は自己の配偶者等が刑事訴追を受けるおそれのある供述を拒むことができる旨を告げなければならない」という肢も誤りです。被疑者が供述を拒める事項に限定がないことは、取調受忍義務と黙秘権の語で扱います。

逮捕された被疑者には、犯罪事実の要旨と弁護人選任権を告げたうえで弁解の機会を与えます

司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕された被疑者を受け取ったときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げたうえ、弁解の機会を与えなければなりません(203条1項)。検察官が逮捕したときも同じです(204条1項)。この規定は現行犯逮捕と緊急逮捕にも準用されるので(211条・216条)、逮捕の種類を問わず両方を告げます。「現行犯人の引致を受けた司法警察員は,直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任できることを告げなければならない」という肢は正しく、逮捕状を示しているから犯罪事実の要旨を告げる必要はないという肢は誤りです。弁護人があるときは弁護人選任権の告知は要りません(203条2項)。弁護人選任権を告げるときは、弁護士会への申出先と、勾留を請求された場合の国選弁護の請求権・資力申告書・私選申出前置を教示します(203条3項・4項)。この教示の中身は被疑者国選弁護の語で、逮捕後の手続の流れは逮捕後の手続と時間制限の語で扱います。緊急逮捕では、逮捕の時点で「その理由を告げて」逮捕します(210条1項)。告げるべき理由は被疑事実の要旨だけでなく、急速を要し裁判官の逮捕状を求めることができないことを含むと解されているので、「緊急逮捕するに当たって,被疑者に対し告げなければならないのは,被疑事実の要旨だけである」という肢は誤りです。勾留質問の際には、弁護人がない被疑者に弁護人選任権と国選請求権を告げます(207条2項)。この点は勾留質問の語で扱います。

大学の教室の場面。先生が教師役(札「刑事訴訟法」)で黒板の前に立ち、黒板に上から下へ時系列の表。「取調べ前: 供述拒否権(198条2項)」「逮捕後の弁解録取: 犯罪事実の要旨+弁護人選任権(203条)」「緊急逮捕の時点: 理由を告げる(21

公判の冒頭手続と、被告人が出頭する最初の公判前整理手続期日では、裁判長が黙秘権を告知します

公判では、検察官の起訴状朗読が終わった後、裁判長は被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げたうえ、被告人と弁護人に被告事件について陳述する機会を与えます(291条5項)。規則は、陳述をすることもできる旨と、陳述をすれば自己に不利益な証拠ともなり利益な証拠ともなり得る旨を併せて告げるものとしています。「終始沈黙し又個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨のほか、陳述することもできる旨及び陳述をすれば自己に不利益な証拠ともなり又利益な証拠ともなるべき旨を告げなければならない」という肢は正しいです。公判前整理手続に被告人を出頭させる場合には、被告人が出頭する最初の公判前整理手続期日において、裁判長はまず被告人に対し、終始沈黙し又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨を告知しなければなりません(316条の9第3項)。これは冒頭手続の告知とは別に行うので、「下線部②の甲が出頭した最初の公判前整理手続期日においても、裁判長は甲に対し、黙秘権の告知をしなければならない」という肢は正しいです。冒頭手続の順序(人定質問・起訴状朗読・黙秘権等の告知・陳述の機会)は冒頭手続の語で扱います。告知を欠いた取調べで得た自白の扱いは、自白の任意性の語で扱います。

  • 被疑者の取調べ前自己の意思に反して供述をする必要がない旨(198条2項)。参考人には不要
  • 逮捕後の弁解録取犯罪事実の要旨+弁護人選任権(203条・204条。現行犯・緊急逮捕にも準用)。弁護人があれば選任権の告知は不要。国選の請求権等を教示
  • 緊急逮捕の時点その理由(被疑事実の要旨と、急速を要し逮捕状を求められないこと)(210条1項)
  • 勾留質問弁護人がない被疑者に弁護人選任権と国選請求権(207条2項)
  • 冒頭手続裁判長が、終始沈黙し又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨など(291条5項)
  • 最初の公判前整理手続期日裁判長が、終始沈黙し又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨(316条の9第3項)

刑事訴訟法198条2項

前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。

刑事訴訟法291条5項

裁判長は、第一項の起訴状の朗読が終わつた後、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上、被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。

試験ではこう問われる

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