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用語集 / 刑法 / 盗品等関与罪の行為類型

盗品等関与罪の行為類型(譲受け・運搬・保管・有償処分あっせん)とは

とうひんとうかんよざいのこういるいけい

刑法 財産犯(詐欺・横領・背任ほか)

盗品等関与罪の行為類型とは、刑法256条が定める、無償譲受け、運搬、保管、有償譲受け、有償の処分のあっせんの五つの行為をいいます。無償譲受けは3年以下の拘禁刑、その他の四つは10年以下の拘禁刑および50万円以下の罰金に処せられます。

盗まれた宝石が持ち主の手に戻りにくくなる場面は、いくつもあります。友人がもらい受ける、仲間が車で運ぶ、知人が家で預かる、業者が買い取る、売り先を紹介するといった場面です。どれも、盗んだ本人でない者が盗品の流れに加わる行為です。刑法は、この五つの関わり方を並べて処罰しています。ただでもらう場合だけ刑が軽く、残りの四つは本犯者の盗品の処分を助けて利益を生む行為なので、重い刑に罰金まで併せて科されます。

教室の黒板の場面。先生が教師役(札「先生」)で黒板を指す。黒板の中央に宝石の絵(札「盗品」)、そこから5本の矢印が伸び、それぞれの先に「無償譲受け:3年以下の拘禁刑」「運搬」「保管」「有償譲受け」「有償処分あっせん」。後の4つをまとめる括弧

256条は五つの行為を定め、無償譲受けだけを軽く処罰しています

1項の無償譲受けは、贈与を受けるなど、対価なしに盗品等の交付を受けて取得することです。2項の運搬は、委託を受けて盗品等の所在を移すことです。保管は、委託を受けて本犯のために盗品等を預かって管理することです。有償譲受けは、売買や交換などで対価を払って盗品等を取得することです。有償の処分のあっせんは、売買や質入れなどの有償の処分を仲介することです。いずれも、本犯者やその後の占有者との合意に基づいて盗品等に関わる行為である点で共通します。そのため、盗品を窃盗犯人から盗んだ場合は、合意に基づく譲受けとはいえず、窃盗罪の問題になります。盗品と知りながら所持者を恐喝して交付させた場合について、判例は恐喝罪と盗品等無償譲受け罪の観念的競合としています(大判昭和6年3月18日)。

  • 無償譲受け(1項)対価なしに交付を受けて取得する。3年以下の拘禁刑
  • 運搬(2項)委託を受けて盗品等の所在を移す
  • 保管(2項)委託を受けて本犯のために預かって管理する
  • 有償譲受け(2項)対価を払って交付を受け取得する
  • 有償の処分のあっせん(2項)売買などの有償の処分を仲介する。2項の罪は10年以下の拘禁刑および50万円以下の罰金

譲受けは、契約をしただけでは足りず、盗品等の引渡しを受けることが必要です

無償譲受けも有償譲受けも、盗品等が現実に譲受人に移転した時に成立します。盗品等の占有が移らなければ、被害者の追求権の行使が困難になったとはいえないからです。「盗品等無償譲受け罪が成立するためには,無償譲受けについて契約を締結しただけでは足りず,盗品等が現実に移転されることが必要であるが,盗品等有償譲受け罪は,有償譲受けについて契約を締結しただけで成立する」という肢は誤りです。大判大正12年1月25日は、売買契約を締結しただけで受領の事実がない場合には有償譲受け罪は成立しないとしています。代金を払っていても同じです。「乙から同車の引渡しを受けることができなかった。この場合,甲には盗品等有償譲受け罪が成立する」という肢は誤りです。「乙が甲に同車の引渡しをしなかった。この場合、甲に盗品等有償譲受け罪が成立する」という肢も誤りです。譲受け罪の故意は、引渡しを受ける時点で必要です。「甲は,乙が第三者から窃取した指輪を,もしかしたら盗品かもしれないと思いながら,あえて有償で乙から譲り受けた後,同指輪に乙と同じイニシャルが刻み込まれていることに気付き,盗品ではないと確信するに至った。この場合,甲には,盗品等有償譲受け罪が成立する」という肢は正しいです。盗品かもしれないと思いながら譲り受けた時点で罪は成立しており、その後に盗品でないと確信しても成否に影響しません。

保管は、途中で盗品と知った後も本犯のために続ければ成立します

保管とは、委託を受けて本犯のために盗品等の占有を得て管理することをいいます。最決昭和50年6月12日(盗品保管罪における知情の時期)は、盗品であることを知らずに保管を開始した後、盗品であることを知るに至ったのに、なお本犯のためにその保管を継続するときは、盗品等の保管に当たるとしました。保管を続ける行為自体が、被害者の追求権の行使を困難にし、本犯を助けるからです。「甲は,乙からパソコンを預かり保管したが,その1か月後,同パソコンは,乙が丙から窃取したものであることを知ったにもかかわらず,乙のために保管を継続した。この場合,甲には盗品等保管罪が成立する」という肢は正しく、「甲は、乙から腕時計を預かり自宅に保管していたところ、その後に同腕時計は乙が窃取したものであることを知ったが、そのまま乙のために同腕時計の保管を継続した。この場合、甲に盗品等保管罪が成立する」という肢も正しいです。これに対し、自分の物として買い受けた物を、後で盗品と知って持ち続けても、本犯のために預かっているわけではないので保管には当たりません。「甲は,購入した絵画について,購入後盗品であることを知ったが,そのまま自宅の応接間に飾り続けた。この場合,甲には盗品等保管罪は成立しない」という肢は正しく、「甲は、乙から絵画を購入して自宅に保管していたところ、その後に同絵画は乙が窃取したものであることを知ったが、そのまま同絵画の保管を継続した。この場合、甲に盗品等保管罪が成立する」という肢は誤りです。この場合、譲り受けた時点では盗品と知らなかったので、有償譲受け罪も成立しません。

アパートの一室の場面を左右に並べる。左は男性(札「甲:預かっている」)が押入れのパソコンを見ながら電話をしており、電話の相手の吹き出し「実はあれは盗んだ物だ。そのまま預かっておいてくれ」。左の札「知った後も本犯のために保管を継続→盗品等保管

共同して運搬した場合は、盗品の全体について運搬罪が成立します

運搬は、委託を受けて盗品等を場所的に移転させることをいい、有償か無償かを問いません。本犯者と共同して運搬した場合、本犯者自身には盗品等関与罪は成立しませんが、共同した者には、自分が運んだ分に限らず、共同して運搬した盗品の全体について運搬罪が成立します。「乙が盗品のドレス10着を,窃盗犯人である甲が指輪とドレス10着を,それぞれ丙宅まで運搬したことにつき,乙は甲と共同してこれら盗品を運搬したのであるから,乙にはドレス20着全てと指輪につき盗品等運搬罪が成立する」という肢は正しいです。被害者のもとへ運ぶ場合であっても同じです。最決昭和27年7月10日は、盗品の返還を条件に被害者から金員を得る目的で被害者宅へ盗品を運搬した事案で、盗品等の正常な回復を困難にしたとして運搬罪の成立を認めました。

有償処分あっせんは、あっせん行為をしただけで成立し、被害者に買い取らせる場合も成立します

有償の処分のあっせんは、処分が有償であることが必要ですが、あっせん行為そのものが有償である必要はありません。「盗品等の売買をあっせんすれば,あっせん自体が無償であっても,盗品等有償処分あっせん罪が成立する」という肢は正しいです(最判昭和25年8月9日)。反対に、無償の処分を仲介しても、あっせん料をもらったとしても、本罪は成立しません。「この場合,甲が乙からあっせん料をもらったとしても,甲には盗品等有償処分あっせん罪は成立しない」という肢は正しいです。また、あっせん行為をすれば、売買が成立して盗品等が現実に移転することは必要ありません。「盗品等の売買をあっせんすれば,盗品等が現実に移転されなくても,盗品等有償処分あっせん罪が成立する」という肢は正しいです。最判昭和23年11月9日は、あっせん行為をした時点で罪が成立するとしました。最判昭和26年1月30日も、売買が完成していなくても罪が成立するとし、被害者の返還請求権の行使を困難にするだけでなく、窃盗などの犯罪を助成し誘発する危険があることを理由に挙げています。処分の相手方が窃盗の被害者であっても同じです。「甲は,何者かがA社事務所から窃取した約束手形をA社に買い取らせる交渉を乙に依頼され,A社と買取りの条件を交渉したところ,同手形はA社に売却された。この場合,甲には盗品等処分あっせん罪が成立する」という肢は正しく、「丙がAを相手方として指輪の売却をあっせんしたことにつき,Aは窃盗の被害者であるが,丙には盗品等処分あっせん罪が成立する」という肢も正しいです。最決平成14年7月1日(有償処分あっせん罪の成否)は、被害者を相手方とする場合であっても、被害者による盗品等の正常な回復を困難にするばかりでなく、窃盗等の犯罪を助長し誘発するおそれのある行為であるとしました。保管していた盗品をいったん返した後、改めて頼まれて売却をあっせんした場合は、保管罪と有償処分あっせん罪が別々に成立します。「甲は,盗品であると知りつつ,窃盗犯人乙から依頼を受けて保管していた宝石を乙に返却した後,改めて乙から依頼を受け,預かった同宝石を事情を知らない丙に売却した。甲には盗品等有償処分あっせん罪のみが成立する」という肢は誤りで、最判昭和25年3月24日は両罪を併合罪としています。

刑法256条1項

盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の拘禁刑に処する。

刑法256条2項

前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。

論文ではこう使う

論文では、行為者の関与がどの類型に当たるかを特定し、その類型の成立時期と故意の存在時期を合わせて認定します。譲受けであれば引渡しの時、保管であれば保管を開始した時または盗品と知って保管を継続した時、あっせんであればあっせん行為をした時です。知情の時期が問題になる事例では、保管罪が継続犯であることを指摘し、盗品と知った後も本犯のために保管を続けた事実を拾って、最決昭和50年6月12日に従い成立を認めます。知った後に直ちに返還できない事情があったかにも触れます。被害者に買い取らせる事例では、本罪の罪質から論じます。追求権を保護法益としつつ本犯助長性も考慮する立場から、被害者が本来無償で取り戻せる物に対価を払わされる点で正常な回復が困難にされ、窃盗等を助長し誘発するおそれもあることを示して、最決平成14年7月1日に従い成立を認めます。

試験ではこう問われる

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読んだあとに、刑法の肢別演習を

この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。

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