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用語集 / 商法 / 執行役と代表執行役

執行役と代表執行役とは

しっこうやくとだいひょうしっこうやく

商法 監査役・会計監査人・委員会型の会社

執行役とは、指名委員会等設置会社において、取締役会の決議によって委任を受けた業務執行の決定と業務の執行を行う機関で(会社法418条)、取締役会の決議で選任・解任します(402条2項・403条1項)。代表執行役とは、取締役会が執行役の中から選定する会社を代表する執行役で、執行役が1人のときはその者が代表執行役に選定されたものとされ(420条1項)、代表取締役と同じく会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を持ちます(同条3項・349条4項)。

指名委員会等設置会社では、取締役会は監督に専念し、実際の経営は執行役が担います。執行役は株主総会ではなく取締役会が選び、いつでも取締役会が解任できます。取締役会は多額の借財のような重要な決定まで執行役に任せられるので、執行役が経営の中心です。会社を代表するのは代表執行役で、取締役会が執行役の中から選びます。執行役が1人ならその人が自動的に代表執行役です。取締役が執行役を兼ねることはできますが、取締役が社員(使用人)を兼ねることはできません。監督する側が執行組織に入ってしまうからです。執行役は社員を兼ねられます。

取締役会の会議室の場面。長机に男性取締役5人が座り、机の中央に札「取締役会(指名委員会等設置会社)」。先生が執行役役(札「執行役」)で机の前に立ち、議長から辞令「執行役に選任する」を受け取っている。壁のホワイトボードに「執行役の選任・解任=

執行役は取締役会の決議で選任・解任し、取締役は執行役を兼ねられますが使用人は兼ねられず、執行役は使用人を兼ねられます

指名委員会等設置会社には1人又は2人以上の執行役を置かなければならず(402条1項)、執行役は取締役会の決議によって選任します(同条2項)。執行役はいつでも取締役会の決議によって解任することができ(403条1項)、正当な理由がない解任については会社に損害賠償を請求できます(同条2項)。取締役が株主総会で選任・解任されるのと違い、執行役の人事は取締役会が握ることで、取締役会の監督を実効的にしています。「執行役は,取締役会の決議によって,選任され,又は解任される」という肢は正しいです。会社と執行役との関係は委任に関する規定に従い(402条3項)、任期は選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結後最初に招集される取締役会の終結の時までで、定款で短縮できます(同条7項)。執行役は取締役を兼ねることができます(同条6項)。他方、指名委員会等設置会社の取締役は、その会社の支配人その他の使用人を兼ねることができません(331条4項)。取締役会が執行役の職務執行を監督する立場にある以上、取締役が執行役の指揮命令を受ける使用人の地位に就くと監督にならないからです。「取締役は,執行役を兼ねることはできるが,使用人を兼ねることはできない」という肢は正しく、「指名委員会等設置会社の取締役は、当該指名委員会等設置会社の執行役又は支配人その他の使用人を兼ねることができない」という肢は、執行役を兼ねられる点で誤りです。「指名委員会等設置会社の取締役は,当該指名委員会等設置会社の使用人を兼ねることができない」という肢は正しいです。ただし、監査委員である取締役は執行役を兼ねられません(400条4項)。執行役が使用人を兼ねることを禁じる規定はなく、むしろ執行役が支配人その他の使用人を兼ねているときの報酬を報酬委員会が決めるという規定(404条3項後段)が兼任を前提にしています。監査役会設置会社の取締役にも使用人の兼任を禁じる規定はありません。「取締役及び執行役は,いずれも,使用人を兼ねることができない」という肢は誤りです。

代表執行役は執行役の中から取締役会が選定し、執行役が1人ならその者が代表執行役になり、権限は代表取締役と同じです

取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならず、執行役が1人のときはその者が代表執行役に選定されたものとされます(420条1項)。「執行役が一人しか置かれていないときは,その執行役が代表執行役となる」という肢は正しいです。代表取締役が取締役の中から選定される(362条3項・349条3項)のに対し、代表執行役は執行役の中から選びます。執行役は取締役であることを要しないので、取締役でない執行役を代表執行役に選定することもできます。「代表取締役及び代表執行役は,いずれも,取締役の中から選定されなければならない」という肢は、代表執行役について誤りです。代表執行役はいつでも取締役会の決議で解職できます(420条2項)。代表執行役には代表取締役の代表権の規定が準用され(同条3項)、会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を持ち(349条4項)、その権限に加えた制限は善意の第三者に対抗できません(同条5項)。「代表取締役及び代表執行役は,いずれも,その権限に制限が加えられていない限り,会社の業務に関する一切の裁判上及び裁判外の行為をする権限を有する」という肢は正しいです。代表執行役以外の執行役に社長・副社長など会社を代表する権限を有すると認められる名称を付した場合には、その執行役がした行為について会社は善意の第三者に責任を負います(421条)。表見代表取締役(354条)と同じ規律です。代表執行役の氏名と住所、執行役の氏名は登記事項です(911条3項23号)。

会社の役員室の場面。先生が代表執行役役(札「代表執行役」)で机に座り、契約書「売買契約書 甲株式会社 代表執行役」に署名している。横に男性の取引先(札「取引先」)が立つ。壁に組織図が貼られ、箱「取締役会」から矢印が箱「執行役A(代表執行役)

執行役は取締役会から委任を受けた業務執行の決定と業務の執行を行い、忠実義務を負い、取締役会への報告義務があります

執行役は、取締役会の決議によって委任を受けた業務執行の決定と、業務の執行を行います(418条)。指名委員会等設置会社の取締役は、法令に別段の定めがある場合を除き、業務を執行することができません(415条)。取締役会は業務執行の決定を広く執行役に委任でき、委任できない事項は416条4項ただし書に限定列挙されています。多額の借財や重要な財産の処分はそこに含まれないので、執行役に委任できます。監査役会設置会社の取締役会がこれらの決定を取締役に委任できない(362条4項)のとは違います。「取締役及び執行役は,いずれも,多額の借財の決定について,取締役会から委任を受けることができない」という肢は、執行役について誤りです。委任できる事項の中身は「指名委員会等設置会社の取締役会」で扱います。執行役には、取締役の忠実義務(355条)、競業取引・利益相反取引の承認(356条)、取引後の報告(365条2項)の規定が準用され(419条2項)、法令・定款・株主総会の決議を遵守し、会社のため忠実に職務を行わなければなりません。「取締役及び執行役は,いずれも,法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し,会社のため忠実にその職務を行わなければならない」という肢は正しいです。執行役は、3か月に1回以上自己の職務の執行の状況を取締役会に報告し(417条4項)、取締役会の要求があれば出席して説明しなければなりません(同条5項)。会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見したときは、直ちに監査委員に報告します(419条1項)。執行役は423条1項の「役員等」に含まれ、任務懈怠責任や第三者に対する責任を負い、株主代表訴訟の対象になります。株主は、執行役の法令・定款違反の行為によって会社に回復することができない損害が生ずるおそれがあるときは差止めを請求できます(422条)。

執行役・代表執行役の要点

  • 選任・解任: 取締役会の決議(402条2項・403条1項)。いつでも解任でき、正当な理由がなければ損害賠償。任期は1年(定時株主総会後最初の取締役会の終結まで。402条7項)
  • 兼任: 執行役は取締役を兼ねられる(402条6項)。指名委員会等設置会社の取締役は使用人を兼ねられない(331条4項)。執行役は使用人を兼ねられる(404条3項後段参照)。監査委員は執行役を兼ねられない(400条4項)
  • 代表執行役: 取締役会が執行役の中から選定、1人ならその者(420条1項)。取締役である必要はない。権限は一切の裁判上・裁判外の行為(420条3項・349条4項)。表見代表執行役(421条)
  • 職務: 委任を受けた業務執行の決定と業務の執行(418条)。多額の借財・重要な財産の処分の決定も委任を受けられる(416条4項)。取締役は業務執行できない(415条)
  • 義務: 忠実義務・競業・利益相反の規制の準用(419条2項)。3か月に1回以上取締役会に報告(417条4項)。著しい損害のおそれの事実は監査委員に報告(419条1項)
  • 責任・差止め: 役員等として423条1項・429条1項の責任。株主の差止めは回復できない損害のおそれ(422条)
  • 登記: 執行役の氏名、代表執行役の氏名と住所(911条3項23号)

会社法402条2項・6項

執行役は、取締役会の決議によって選任する。(略)
6 執行役は、取締役を兼ねることができる。

会社法420条1項

取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならない。この場合において、執行役が一人のときは、その者が代表執行役に選定されたものとする。

会社法331条4項

指名委員会等設置会社の取締役は、当該指名委員会等設置会社の支配人その他の使用人を兼ねることができない。

試験ではこう問われる

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