司法試験・予備試験AIブートラボ 司法試験AIブートラボ
用語集 / 刑事訴訟法 / 公訴時効

公訴時効(250条〜255条:期間・起算点・停止・共犯・観念的競合・国外)とは

こうそじこう

刑事訴訟法 訴因と訴訟条件

公訴時効とは、犯罪行為が終わった時から法定刑に応じた一定の期間が経過すると公訴を提起できなくなる制度です(刑事訴訟法250条〜255条)。期間は法定刑の重さで決まり、人を死亡させた罪で死刑に当たるものには時効がなく、公訴の提起や犯人が国外にいる間は進行が停止し、時効が完成した後に起訴されれば免訴の判決になります(337条4号)。

犯罪から長い年月がたつと、証拠は散り、関係者の記憶も薄れ、犯人の生活も落ち着いています。そこで法律は、罪の重さに応じて「この期間を過ぎたらもう起訴できない」と区切りました。これが公訴時効です。ただし、人を死なせて死刑に当たるような重い罪には区切りがありません。時計は犯罪行為が終わった時に動き出し、起訴されると止まり、犯人が海外にいる間も止まります。期間が過ぎた後に起訴されても、裁判所は中身を審理せず免訴にします。

教室の板書の場面。先生が黒板の前に立ち、黒板に左から右へ時間の矢印。矢印の起点に「犯罪行為が終わった時(結果犯は結果発生時)」、途中に止まった時計の絵と「公訴提起 → 停止」、その先に「犯人が国外にいる間 → 停止」、終点に「満了 → 免訴

時効期間は法定刑で決まり、人を死亡させた罪で死刑に当たるものには時効がなく、殺人未遂や傷害致死にはあります

公訴時効の期間は法定刑の重さで決まります(刑事訴訟法250条)。人を死亡させた罪で死刑に当たるもの(殺人・強盗致死など)は、平成22年の改正で時効が廃止され、起訴に期限がありません。人を死亡させた罪で拘禁刑に当たるものは、無期拘禁刑に当たる罪が30年、長期20年の拘禁刑に当たる罪が20年、それ以外が10年です(250条1項)。それ以外の罪は、死刑に当たる罪が25年、無期拘禁刑に当たる罪が15年、長期15年以上の拘禁刑に当たる罪が10年、長期15年未満が7年、長期10年未満が5年、長期5年未満の拘禁刑又は罰金に当たる罪が3年、拘留又は科料に当たる罪が1年です(250条2項)。令和5年の改正で、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪などの性犯罪は期間が延長され(250条3項)、被害者が18歳未満のときは18歳に達するまでの期間が加算されます(250条4項)。したがって、一定の期間の経過によって時効が完成する罪を数える問題では、殺人と強盗致死は時効がなく数えず、殺人未遂、保護責任者遺棄致死、傷害致死は人を死亡させた罪で死刑に当たるものではないので時効があり数えます。二以上の主刑を併科し又は選択的に定める罪はその重い刑に従い(251条)、刑を加重・減軽すべき場合は加重・減軽しない刑に従って期間を定めます(252条)。観念的競合の場合は、数個の罪名を各別に論じることなく一体として観察し、その最も重い罪の刑について定めた時効期間によります(最判昭和41年4月21日)。「これを一体として観察し,その最も重い罪の刑につき定められた時効期間による」という肢は正しいです。公訴時効が完成する期間は法定刑によって当然に異なります。

  • 時効なし人を死亡させた罪で死刑に当たるもの(殺人・強盗致死・強盗不同意性交等致死など)
  • 人を死亡させた罪で拘禁刑に当たるもの(250条1項)無期拘禁刑 30年/長期20年の拘禁刑(傷害致死・危険運転致死など)20年/その他(過失致死など)10年
  • その他の罪(250条2項)死刑 25年/無期拘禁刑 15年/長期15年以上 10年/長期15年未満 7年/長期10年未満 5年/長期5年未満の拘禁刑又は罰金 3年/拘留又は科料 1年
  • 性犯罪の特則(250条3項・4項)不同意性交等致傷・強盗不同意性交等 20年/不同意性交等 15年/不同意わいせつ 12年など。被害者が18歳未満なら18歳に達するまでの期間を加算
  • 期間の計算観念的競合は一体として最も重い罪の刑で(最判昭和41年4月21日)。併科・選択刑は重い刑で(251条)。加重減軽は加重減軽しない刑で(252条)。初日は時間を論じないで1日として算入し、末日が休日でも算入する(55条1項ただし書・3項ただし書)

時効は犯罪行為が終わった時から進行し、結果犯は結果が発生した時、共犯は最終の行為が終わった時から全員について起算します

時効は犯罪行為が終わった時から進行します(253条1項)。ここでいう犯罪行為には結果も含まれるので、結果犯では実行行為の終了時ではなく結果が発生した時から進行します。判例は、工場廃水による水俣病の事案で、業務上過失致死罪の公訴時効は被害者が死亡した時から進行し、傷害の時点で業務上過失傷害罪の時効期間が経過していても同じだとしました(最決昭和63年2月29日)。「結果犯について,…公訴時効は,実行行為の終了時から進行する」という肢は誤りで、「業務上過失致死罪の公訴時効は,被害者の受傷から死亡までの間に業務上過失傷害罪の公訴時効期間が経過したか否かにかかわらず,その死亡の時点から進行する」という肢は正しいです。牽連犯のように科刑上一罪の関係にある数個の罪では、目的行為が手段行為の時効期間の満了前に実行されたときは、両者の公訴時効は不可分的に最も重い刑を標準に最終の行為の時から起算します(最判昭和47年5月30日)。1月5日夜にV方に侵入し6日未明にVに暴行を加えて傷害を負わせた事案では、住居侵入罪の時効も傷害の行為が終わった6日から進行するので、「住居侵入罪の公訴時効は令和3年1月5日から進行する」という肢は誤りです。共犯の場合には、最終の行為が終わった時から、すべての共犯に対して時効の期間を起算します(253条2項)。期間の計算では、時効期間の初日は時間を論じないで1日として算入し(55条1項ただし書)、期間の末日が日曜日・土曜日・休日に当たるときも時効期間については算入します(55条3項ただし書)。したがって「公訴時効期間の満了日が,日曜日,土曜日,…休日に当たるときは,これを期間に算入しない」という肢は誤りです。

検察庁の検察官室の場面。先生が検察官役(札「検察官」)で机に座り、机の上に二人の被疑者の名札「甲(起訴済み)」「乙(未起訴)」と、カレンダー。壁の掲示に「254条2項: 共犯の1人への公訴提起による時効の停止は他の共犯にも及ぶ。再進行は裁判

公訴の提起で時効は停止し、共犯の1人への起訴は他の共犯にも及び、停止した時効は裁判が確定した時から再び進行します

時効は、当該事件についてした公訴の提起によってその進行を停止し、管轄違い又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始めます(254条1項)。共犯の1人に対してした公訴の提起による時効の停止は他の共犯に対してもその効力を有し、この場合に停止した時効は、当該事件についてした裁判が確定した時からその進行を始めます(254条2項)。共犯の間で起算点をそろえた以上、停止もそろえる趣旨です。「共犯の1人に対してした公訴の提起による時効の停止は,他の共犯に対してその効力を有する」という肢は正しく、乙との共謀による住居侵入・傷害の事実で甲を起訴すれば乙についても時効が停止します。再進行は裁判の確定時からであって第一審判決の言渡し時からではないので、「停止した時効は,当該事件についてした第一審判決の言渡し時からその進行を始める」という肢は誤りで、「停止した時効は,当該事件についてした裁判が確定した時からその進行を始める」という肢は正しいです。公訴は検察官の指定した被告人以外の者に効力を及ぼしませんが(249条)、時効の停止については254条2項が共犯への効力を明文で認めているので、「共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は,他の共犯に対してその効力を及ぼさない」という肢は誤りです。公訴提起の日から2か月以内に起訴状の謄本が送達されず公訴提起がさかのぼって効力を失い、決定で公訴が棄却された場合でも、公訴提起による時効停止の効力は失われず、停止していた時効は公訴棄却の決定が確定した時から再び進行します(最決昭和55年5月12日)。「公訴提起の効力が遡って失われることから,公訴時効は停止しなかったことになる」という肢は誤りで、「公訴棄却の裁判が確定したときから再びその進行を始める」という肢は正しいです。公訴提起による時効停止の効力は、訴因の事実だけでなく公訴事実の同一性のある範囲に及びます(最決昭和56年7月14日)。牽連犯の関係にある住居侵入と傷害は公訴事実の同一性があるので、傷害の事実で起訴されれば住居侵入罪の時効も停止します。「住居侵入罪の公訴時効は停止しない」という肢は誤りです。訴因変更請求書の提出によっても追加される事実の時効は停止します(最決平成18年11月20日)。

犯人が国外にいる間は、一時的な渡航でも、捜査機関が犯罪や犯人を知らなくても、時効は停止します

犯人が国外にいる場合、又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかった場合には、時効はその国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止します(255条1項)。国外にいる間の停止に捜査機関の認識は要らず、捜査機関が犯罪の発生や犯人を知らない場合でも停止します(最判昭和37年9月18日)。「捜査機関が犯罪の発生又は犯人を知らない場合には,犯人が国外にいることだけでは,時効は,その進行を停止しない」という肢は誤りです。一時的な海外渡航も国外にいる場合に含まれ、犯人が国外にいる間はそれが一時的な海外渡航による場合であっても時効は停止します(最決平成21年10月20日)。「一時的な渡航であっても,その間,公訴時効は停止する」という肢は正しいです。時効が完成した後に起訴されたときは判決で免訴の言渡しをしなければならず(337条4号)、決定による公訴棄却ではありません。起訴より前に公訴時効が完成していたことが判明したときは免訴の判決です。

  • 停止する当該事件の公訴提起(254条1項)/共犯の1人への公訴提起(他の共犯にも。254条2項)/訴因変更請求書の提出(追加事実について。最決平成18年11月20日)/犯人が国外にいる間(一時的渡航でも、捜査機関の認識不要。255条1項)/犯人が逃げ隠れて謄本送達・略式命令の告知ができない間(255条1項)/科刑上一罪の一部の起訴(他の部分にも)
  • 停止しない・再進行する管轄違い・公訴棄却の裁判の確定時から再進行(254条1項)。謄本不送達による公訴棄却でも停止はあった(最決昭和55年5月12日)/共犯の場合は裁判の確定時から再進行(第一審判決の言渡し時ではない)

刑事訴訟法253条

時効は、犯罪行為が終つた時から進行する。2 共犯の場合には、最終の行為が終つた時から、すべての共犯に対して時効の期間を起算する。

刑事訴訟法254条

時効は、当該事件についてした公訴の提起によつてその進行を停止し、管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。2 共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は、他の共犯に対してその効力を有する。この場合において、停止した時効は、当該事件についてした裁判が確定した時からその進行を始める。

刑事訴訟法255条1項

犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。

論文ではこう使う

公訴時効は、事例で時効の完成を判断する場面で短く書きます。①その罪の法定刑から250条の期間を特定する(人を死亡させた罪で死刑に当たるものは時効なし)、②起算点を犯罪行為が終わった時に置き、結果犯は結果発生時、牽連犯と共犯は最終の行為の時とする、③公訴提起・国外滞在などの停止事由の有無と期間を確かめる、④完成していれば337条4号で免訴、という順で書きます。

試験ではこう問われる

「公訴時効」が短答式でどう出題されてきたか、ひっかけの型6件と関係する過去問の肢39本は、無料のアカウントでログインすると読めます。

読んだあとに、刑事訴訟法の肢別演習を

この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。

関連する用語