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用語集 / 刑事訴訟法 / 公訴提起の効果

公訴提起の効果(訴訟係属・二重起訴の禁止・起訴状謄本の送達・公訴時効の停止)とは

こうそていきのこうか

刑事訴訟法 公訴の提起

公訴提起の効果とは、起訴状の提出によって事件が裁判所に係属し、同一事件を重ねて起訴できなくなり(二重起訴の禁止)、公訴時効の進行が停止し(刑事訴訟法254条)、裁判所が起訴状の謄本を被告人に送達する義務を負う(271条)ことをいいます。公訴は検察官の指定した被告人以外の者に効力を及ぼしません(249条)。

検察官が起訴状を裁判所に出した瞬間から、事件は裁判所のものになります。同じ事件をもう一度起訴することはできなくなり、時効の時計も止まります。一方で、起訴されたことを被告人が知らなければ防御のしようがないので、裁判所は起訴状の写しを被告人に届けなければならず、2か月以内に届かなければ起訴はなかったことになります。起訴という一つの行為から生じるこれらの効果を、順に押さえる語です。

裁判所の書記官室の場面。先生が裁判所書記官役(札「裁判所」)で机に座り、「起訴状謄本 被告人あて」と書いた封筒に宛名を書いている。机の上に「起訴状(検察官から提出)」と、めくり式のカレンダーに「公訴提起の日」と「2か月後」の印。壁の掲示に「

同一事件が同一裁判所に重ねて起訴されると判決で公訴を棄却し、別の裁判所なら10条・11条で審判しない方の裁判所が決定で棄却します

公訴の提起によって事件は裁判所に係属し、同じ事件を重ねて審判することはできなくなります。公訴の提起があった事件について更に同一裁判所に公訴が提起されたときは、判決で公訴を棄却しなければなりません(刑事訴訟法338条3号)。「公訴の提起があった事件について,更に同一裁判所に公訴が提起されたとき,裁判所は公訴を棄却しなければならない」という肢は正しいです。同一事件が事物管轄を異にする数個の裁判所に係属したときは上級の裁判所が、事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属したときは最初に公訴を受けた裁判所が審判し(10条・11条)、審判してはならないことになった裁判所は決定で公訴を棄却します(339条1項5号)。同一事件かどうかは公訴事実の同一性で判断します。公訴は検察官の指定した被告人以外の者に効力を及ぼさないので(249条)、起訴されていない共犯者が当然に被告人になることはありません。

起訴状の謄本は裁判所が遅滞なく被告人に送達し、2か月以内に送達されないと公訴提起は遡って効力を失い、決定で公訴を棄却します

裁判所は、公訴の提起があったときは、遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければなりません(271条1項)。送達するのは検察官ではなく裁判所で、検察官は公訴の提起と同時に送達用の謄本を裁判所に提出します(256条の2)。「検察官が遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければならない」という肢は誤りです。公訴の提起があった日から2か月以内に起訴状の謄本が送達されないときは、公訴の提起は遡ってその効力を失い(271条2項)、裁判所は決定で公訴を棄却します(339条1項1号)。公訴提起が遡って失効する以上、改めて同じ事件を起訴しても二重起訴にはならず、形式裁判なので一事不再理効もないので、再起訴に制限はありません。「検察官は,同一事件について更に公訴を提起することができる」という肢は正しいです。公訴の取消しによる公訴棄却の後の再起訴が新証拠の発見に限られるのと違う点です。

大学の教室の場面。先生が教師役(札「刑事訴訟法」)で黒板の前に立ち、黒板に時間の矢印の図。矢印の上に「公訴提起」の目盛りがあり、そこから「時効の進行が停止」と書いた帯が伸び、「公訴棄却の確定」の目盛りで帯が終わって「再び進行(254条1項)

公訴の提起で時効は停止し、謄本不送達で棄却されたときも棄却の確定時から再進行し、共犯の1人への起訴による停止は他の共犯にも及びます

時効は、当該事件についてした公訴の提起によって進行を停止し、管轄違い又は公訴棄却の裁判が確定した時から進行を始めます(254条1項)。起訴状謄本が2か月以内に送達されず公訴提起が遡って失効した場合に、時効の停止も遡ってなかったことになるのかが問題になりますが、判例は、254条1項の規定はこの場合の公訴棄却にも適用があるとし、公訴時効は公訴棄却の裁判が確定した時から再びその進行を始めるとしました(最決昭和55年5月12日)。「公訴の提起により進行を停止していた公訴時効は,公訴棄却の裁判が確定したときから再びその進行を始める」という肢は正しいです。共犯の1人に対してした公訴の提起による時効の停止は、他の共犯に対してもその効力を有し、この場合に停止した時効は、当該事件についてした裁判が確定した時から進行を始めます(254条2項)。公訴の効力が被告人以外に及ばないこと(249条)とは別の規律なので、「共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は,他の共犯に対してその効力を及ぼさない」という肢は誤りで、「他の共犯に対してその効力を有する」という肢は正しいです。公訴時効の期間・起算点・停止の全体は公訴時効の語で扱います。

  • 訴訟係属同一裁判所への二重起訴は判決で公訴棄却(338条3号)。別の裁判所なら10条・11条で審判する裁判所が決まり、他方は決定で棄却(339条1項5号)
  • 謄本の送達裁判所が遅滞なく送達(271条1項)。2か月以内に送達されないと公訴提起は遡って失効し決定で公訴棄却(271条2項・339条1項1号)。再起訴に制限なし
  • 時効の停止公訴提起で停止し、管轄違い・公訴棄却の確定時から再進行(254条1項。謄本不送達の棄却も同じ)。共犯の1人への起訴による停止は他の共犯にも及び、裁判確定時から再進行(254条2項)
  • 人的範囲公訴の効力は検察官の指定した被告人以外に及ばない(249条)

刑事訴訟法271条1項

裁判所は、公訴の提起があつたときは、遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければならない。

刑事訴訟法271条2項

公訴の提起があつた日から二箇月以内に起訴状の謄本が送達されないときは、公訴の提起は、さかのぼつてその効力を失う。

刑事訴訟法254条2項

共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は、他の共犯に対してその効力を有する。この場合において、停止した時効は、当該事件についてした裁判が確定した時からその進行を始める。

試験ではこう問われる

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