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用語集 / 刑事訴訟法 / 国家訴追主義・起訴独占主義とその例外

国家訴追主義・起訴独占主義とその例外(付審判請求・検察審査会の起訴議決)とは

こっかそついしゅぎきそどくせんしゅぎとそのれいがい

刑事訴訟法 公訴の提起

国家訴追主義とは、公訴の提起を被害者などの私人ではなく国家機関が行う建前をいい、起訴独占主義とは、その国家機関のうち検察官だけが公訴を行うという原則です(刑事訴訟法247条)。例外として、付審判請求により裁判所が事件を審判に付する決定をしたとき(262条・267条)と、検察審査会の起訴議決により指定弁護士が公訴を提起するときがあります。

被害者がどれだけ処罰を望んでも、自分で裁判所に訴えを起こすことはできません。刑事裁判を始める権限は国に、しかもその中の検察官だけに与えられています。これが国家訴追主義と起訴独占主義です。全国で統一された基準で、感情に流されずに起訴の判断をするための仕組みですが、検察官が身内に甘くなる危険や、民意とずれる危険もあります。そこで、公務員の職権濫用の罪には裁判所に直接審判を求める道が、一般の事件には検察審査会が開かれています。

検察庁の窓口の場面。先生が検察官役(札「検察官」)で窓口の中に座り、手元に「公訴は検察官が行う(刑事訴訟法247条)」と書いた卓上の札。窓口の外に男性(札「被害者」)が立ち、「自分で起訴したい」と書いた吹き出し。壁の掲示に「不起訴に不服のと

公訴は検察官が行い、起訴・不起訴について検察官の判断を一切経ずに事件が起訴されることはありません

公訴は、検察官がこれを行います(刑事訴訟法247条)。私人の訴追を認めない国家訴追主義と、国家機関の中でも検察官に公訴の権限を専属させる起訴独占主義を、この一条で表しています。後で見る付審判請求も検察審査会の起訴議決も、検察官がいったん不起訴にした事件を対象にしているので、検察官の判断を経ない起訴はありません。「起訴・不起訴について検察官の判断を一切経ることなく,事件が公訴提起されることはない」という肢は正しいです。検察官が起訴するかどうかを裁量で決められることは、起訴便宜主義の語で扱います。

付審判請求は、公務員職権濫用等の罪について告訴・告発した者が、不起訴処分に不服のときに地方裁判所に請求します

刑法193条から196条まで(公務員職権濫用、特別公務員職権濫用、特別公務員暴行陵虐とその致死傷)又は破壊活動防止法・無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の一定の罪について告訴又は告発をした者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、その検察官所属の検察庁の所在地を管轄する地方裁判所に、事件を裁判所の審判に付することを請求することができます(262条1項)。請求は、不起訴処分の通知を受けた日から7日以内に、請求書をその検察官に差し出して行います(同条2項)。対象事件が限られているので、「その対象事件には限定がない」という肢は誤りです。刑事訴訟法に、検事正へ処分の見直しを請求する制度はなく、不同意性交等の罪は付審判請求の対象でもないので、「刑事訴訟法に基づき,その検察官を指揮監督する検事正に当該処分の見直しを請求することができる」という肢は誤りです。検察官が請求に理由があると認めれば自ら公訴を提起します(264条)。裁判所は合議体で審理し、理由があれば事件を管轄地方裁判所の審判に付する決定をし、理由がなければ棄却します(265条・266条)。審判に付する決定があったときは、その事件について公訴の提起があったものとみなされ(267条)、裁判所が弁護士の中から指定した者が公訴を維持して検察官の職務を行います(268条)。「裁判所の付審判決定があったときは公訴の提起があったものとみなされます。これは,起訴独占主義の例外の一つです」という発言は正しいです。

大学の教室の場面。先生が教師役(札「刑事訴訟法」)で黒板の前に立ち、黒板に左から右へ流れ図。「検察官の不起訴」→「検察審査会 起訴相当の議決」→「検察官が再検討(従う義務なし)」→「再度不起訴」→「再審査」→「起訴議決」→「指定弁護士が公訴

検察審査会の起訴相当議決に検察官が従う義務はなく、再度の不起訴の後の起訴議決で初めて指定弁護士が公訴を提起します

検察審査会は、検察官の公訴を提起しない処分の当否を審査し、起訴を相当とする議決、公訴を提起しない処分を不当とする議決、公訴を提起しない処分を相当とする議決のいずれかをします。起訴相当又は不起訴不当の議決があっても、検察官は議決を参考にして改めて起訴・不起訴を判断すれば足り、議決に従って起訴する義務はありません。「起訴を相当とする議決をしたときは,検察官は,当該議決に従って公訴を提起しなければならない」という肢は誤りで、不起訴不当の議決の後に検察官が起訴を猶予すべき事情を認めて再度不起訴にすることも違法ではありません。違いが出るのはその先で、起訴相当の議決に対して検察官が再度不起訴にしたときや一定期間内に起訴しないときは、検察審査会が再審査を行い、起訴を相当と認めれば起訴議決をします。起訴議決があると、裁判所が指定した弁護士が検察官の職務を行って公訴を提起し、維持します。不起訴不当の議決の後に再度不起訴になった場合には、この再審査はありません。起訴議決による公訴提起は平成16年改正で設けられ平成21年から実施されている起訴独占主義の例外で、公訴権の行使に民意を反映させる趣旨です。検察審査会法の条文は刑事訴訟法とは別の法律にあります。

  • 原則公訴は検察官だけが行う(247条)
  • 例外1 付審判請求公務員職権濫用等の罪/告訴・告発した者/通知から7日以内に地方裁判所へ/審判に付する決定で公訴提起があったものとみなす/指定弁護士が公訴を維持(262条〜268条)
  • 例外2 起訴議決検察審査会の起訴相当議決→検察官の再検討→再度不起訴等→再審査→起訴議決→指定弁護士が公訴提起(検察審査会法)。不起訴不当の議決には再審査はない
  • どちらも検察官の不起訴処分を経てからの手続で、検察官の判断を一切経ない起訴はない

刑事訴訟法247条

公訴は、検察官がこれを行う。

刑事訴訟法267条

前条第二号の決定があつたときは、その事件について公訴の提起があつたものとみなす。

論文ではこう使う

公訴権濫用論を論じるときの前提として、247条の起訴独占主義と248条の起訴便宜主義により検察官に広範な訴追裁量が認められていることを一文で確認し、その裁量の統制手段として付審判請求と検察審査会があることに触れたうえで、裁量の逸脱が公訴提起を無効にするのは極限的な場合に限られるという判例に進みます。

試験ではこう問われる

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