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用語集 / 民事訴訟法 / 訴訟担当と判決効

訴訟担当と判決効(債権者代位・破産管財人・選定当事者)とは

そしょうたんとうとはんけつこう

民事訴訟法 既判力と判決効

訴訟担当と判決効とは、他人の権利について自己の名で訴訟を追行する者(訴訟担当者)が受けた確定判決の効力が、権利の帰属主体である被担当者に及ぶという規律です(115条1項2号)。破産管財人の訴訟の破産者、選定当事者の訴訟の選定者、債権者代位訴訟の債務者がその例です。

破産した人の財産は破産管財人が管理し、その財産をめぐる裁判も破産管財人が自分の名前で行います。このとき破産管財人が負けた判決が破産者本人に及ばないとすると、相手方は破産者から同じ請求で何度も訴えられかねません。他人の権利について訴訟を任された者がいる場合、その者が訴訟で十分に争ったのなら、結果は権利の持ち主にも及ぼしてよいはずです。115条1項2号は、この考え方で判決の効力を被担当者に広げています。

法廷の場面。原告席に男性(札「破産管財人X」)が座り、傍聴席の最前列に男性(札「破産者Z」)が座っている。被告席に男性(札「Y」)。法壇の先生(札「裁判所」)が「原告の請求を棄却する」と書いた判決書を掲げ、判決書から原告席と傍聴席のZの両方

他人のために原告又は被告となった訴訟担当者の判決は、勝訴でも敗訴でも被担当者に及びます

確定判決は、当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人に対しても効力を持ちます(115条1項2号)。訴訟担当者に訴訟追行権が与えられている以上、訴訟物についての手続保障は担当者を通じて尽くされたとみることができ、その結果を被担当者に及ぼしても不当ではないからです。破産財団に属する財産の管理処分権は破産管財人に専属し(破産法78条1項)、破産財団に関する訴えは破産管財人が原告又は被告となります(同法80条)。破産管財人は法律の規定で破産者に代わって訴訟を追行する法定訴訟担当者なので、その判決は勝訴でも敗訴でも破産者に及びます。破産管財人が破産者の不当利得返還請求権について訴え、請求棄却の判決が確定した場合に、「この判決の効力は、Zにも及ぶ」という肢は正しいです。共同の利益を有する多数の者が選定した選定当事者(30条1項)も、選定者のために原告又は被告となる者なので、「選定当事者が当事者となった訴訟の確定判決の既判力は,選定者にも及ぶ」という肢は正しいです。

  • 破産管財人破産財団に関する訴訟の判決は破産者に及びます(法定訴訟担当)
  • 選定当事者判決は選定者に及びます(任意的訴訟担当、30条)。訴訟係属後に選定すれば選定者は当然に脱退します(30条2項)
  • 債権者代位訴訟の代位債権者被保全債権があり当事者適格があるときは、判決は債務者に及びます。被保全債権がなければ及びません
  • 訴訟担当の類型法定訴訟担当と任意的訴訟担当の区別は「法定訴訟担当と任意的訴訟担当」で扱います

債権者代位訴訟では被保全債権の存在が原告適格の基礎なので、被保全債権がなければ訴えは却下され、その判決は債務者に及びません

債権者代位訴訟は、債権者が自分の債権(被保全債権)を保全するため、債務者の権利を自分の名で行使するものです(民法423条1項)。他人の財産の管理に介入する根拠は被保全債権の存在にあるので、被保全債権の存在は代位債権者の原告適格を基礎づける訴訟要件と解されています。訴訟の途中で被保全債権が存在しないことが明らかになれば、訴えは原告適格を欠くものとして却下されます。「Xの訴えは原告適格を欠くものとして却下される」という肢は正しいです。訴訟担当者の判決が被担当者に及ぶのは、担当者に当事者適格があったからです。被保全債権が第三者弁済で既に消滅していたのに、それが明らかにならないまま被代位債権が存在しないとして請求棄却の判決が確定しても、代位債権者には当事者適格がなかったので、その判決の既判力は債務者に及びません。債務者は後で第三債務者に対して自ら支払を請求できるので、「Aは,前訴判決の既判力に妨げられることなく,Yに対して訴えを提起して甲債権についての支払を請求することができる」という肢は正しいです。

板書の図解。黒板の左に「X(代位債権者)」、中央に「A(債務者)」、右に「Y(第三債務者)」。XからAへの矢印「乙債権(被保全債権)」に大きな×印と「第三者弁済で消滅していた」。XからYへの矢印「甲債権の代位行使→請求棄却確定」。その判決か

現行の民法では代位行使後も債務者は自ら取立てができ、代位債権者には債務者への訴訟告知が義務付けられています

令和2年施行の民法改正で、債権者が被代位権利を行使した後も、債務者は自ら取立てその他の処分をすることを妨げられないとされました(民法423条の5)。また、債権者は、被代位権利の行使に係る訴えを提起したときは、遅滞なく債務者に訴訟告知をしなければなりません(民法423条の6)。代位訴訟の判決の効力が債務者に及ぶことを前提に、債務者に訴訟を知らせて参加の機会を与え、手続保障を確保するためです。債務者の参加の仕方や重複起訴との関係は「債権者代位訴訟」と独立当事者参加の語で扱います。

民事訴訟法115条1項

確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人

民法423条の6

債権者は、被代位権利の行使に係る訴えを提起したときは、遅滞なく、債務者に対し、訴訟告知をしなければならない。

論文ではこう使う

論文では、訴訟担当者の判決が被担当者に及ぶ根拠を、担当者に訴訟追行権が与えられ、担当者を通じて手続保障が尽くされたことに求めます(115条1項2号)。債権者代位訴訟では、代位債権者の判決の効力が債務者に有利にも不利にも及ぶかが問題になり、債務者の手続保障として民法423条の6の訴訟告知と、債務者の参加の機会を挙げます。被保全債権が存在しない場合は当事者適格を欠くので判決効が及ばないことも押さえます。

試験ではこう問われる

「訴訟担当と判決効」が短答式でどう出題されてきたか、ひっかけの型6件と関係する過去問の肢4本は、無料のアカウントでログインすると読めます。

読んだあとに、民事訴訟法の肢別演習を

この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。

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