組合の業務執行と組合員の変動(667条〜683条・脱退・加入・解散)とは
くみあいのぎょうむしっこうとくみあいいんのへんどう
組合の業務執行とは、民法上の組合の業務を決定し執行することです。組合の業務は組合員の過半数で決定し各組合員が執行しますが、業務執行者を置けば業務執行者が決定・執行します(670条)。組合員は、やむを得ない事由による脱退のほか、死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判・除名によって脱退します(678条・679条)。
仲間でお金や労力を出し合って店を開く約束が民法上の組合です。法人ではないので、組合の仕事は仲間の多数決で決めるのが基本で、仕事を任せる人を決めればその人が決めて実行します。仲間は信頼で結ばれているので、亡くなった人の地位は相続されず、そのかわり抜けた人には出資分が払い戻されます。どうしても続けられない事情があれば、期間の約束があっても抜けられます。
組合契約は出資をして共同の事業を営む約束で、出資は金銭に限られず、法人も組合員になれます
組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生じます(667条1項)。出資は、労務をその目的とすることもできます(同条2項)。「組合契約の出資は,金銭を目的とするものに限られない」という肢は正しいです。当事者の資格に制限はないので、法人も組合員になれます。共同企業体や銀行の共同融資団がその例です。「法人は民法上の組合の組合員になることができない」という肢は誤りで、「法人は、民法上の組合の組合員になることができる」という肢は正しいです。金銭を出資の目的とした組合員が出資を怠ったときは、その利息を支払うほか、損害の賠償をしなければなりません(669条)。「その利息を支払うほか,損害の賠償をしなければならない」という肢は正しいです。他方、組合員は、他の組合員が出資などの債務を履行しないことを理由に組合契約を解除することができません(667条の2第2項)。団体の関係は脱退や除名で処理するからです。「他の組合員が組合契約に基づく出資債務の履行をしないことを理由として,組合契約を解除することができる」という肢は誤りです。組合契約の解除は将来に向かってのみ効力を生じます(684条・620条)。「組合契約の解除の効力は,将来に向かってのみ生ずる」という肢は正しいです。
業務は組合員の過半数で決めますが、業務執行者を置けば業務執行者が決定・執行し、業務執行者は組合員以外の者でもかまいません
組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員が執行します(670条1項)。組合契約の定めにより、業務の決定と執行を一人又は数人の組合員又は第三者に委任でき(同条2項)、委任を受けた業務執行者が業務を決定し執行します(同条3項)。「業務執行者があるときであっても,組合員の過半数をもってする」という肢は誤りです。業務執行者は第三者でもよいので、「業務執行者は組合員の中から選ばなければならない」という肢は誤りです。組合の常務は、各組合員又は各業務執行者が単独で行えます(同条5項)。組合員を代理するのは、業務執行者があるときは業務執行者だけで(670条の2第2項)、常務の代理も各組合員又は各業務執行者が単独でできるにとどまります(同条3項)。業務執行者があるときに業務執行者でない組合員が他の組合員を代理するとする肢は誤りです。業務を執行する組合員には委任の644条から650条までが準用されるので(671条)、特約がなければ報酬を請求できません。「特約がない限り,報酬を請求することができない」という肢は正しいです。業務執行組合員は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によって解任できます(672条2項)。「正当な事由がある場合に限り,他の組合員の全員の一致によって解任することができる」という肢は正しいです。業務執行権のない組合員も、業務と組合財産の状況を検査できます(673条)。「業務及び組合財産の状況を検査することができる」という肢は正しいです。損益分配の割合を定めなかったときは、各組合員の出資の価額に応じて定めます(674条1項)。「各組合員に等しい割合で分配される」という肢は誤りです。ある組合員が損失を分担しない旨の合意も、組合員の間では有効です(大判明治44年12月26日)。「その組合員は,他の組合員に対し,当該合意の効力を主張することができる」という肢は正しいです。
存続期間を定めてもやむを得ない事由があれば脱退でき、これを許さない約定は無効で、死亡・破産・後見開始・除名で当然に脱退します
存続期間を定めなかったときは、各組合員はいつでも脱退できますが、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期には脱退できません(678条1項)。存続期間を定めた場合でも、やむを得ない事由があるときは脱退できます(同条2項)。「組合の存続期間を定めた場合,各組合員は,脱退することはできない」とする肢は誤りで、「やむを得ない事由があるときは,脱退することができる」という肢は正しいです。判例は、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない約定は、678条のこの部分が強行法規なので無効としました(最判平成11年2月23日)。「その約定は無効である」という肢と「その合意は無効である」という肢は正しいです。組合員は、死亡、破産手続開始の決定、後見開始の審判、除名によって脱退します(679条)。「組合員は死亡によって脱退する」という肢と「組合員は、後見開始の審判を受けたことによって脱退する」という肢は正しいです。組合は組合員どうしの信頼が基礎なので、組合員の地位は相続されません。「組合員たる地位は相続により承継される」という肢、存続期間の定めがあるときに相続人が脱退できるとする肢は誤りです。相続人は残存組合員との合意で加入することはできますが、残存組合員の一方的な意思表示で当然に組合員になるのではありません(大判昭和13年2月15日)。「当該相続人の意思にかかわらず組合員となる」という肢は誤りです。他方、組合が解散した後に組合員が死亡した場合は、679条は適用されず、相続人は残余財産の分配請求権を相続します(最判昭和33年2月13日)。「残余財産分配請求権を相続しない」という肢は誤りです。
脱退した組合員には持分が金銭で払い戻され、脱退前の組合債務は従前の範囲で弁済し、新たな加入は全員の同意によります
脱退した組合員と他の組合員との計算は脱退の時の組合財産の状況に従い(681条1項)、持分は出資の種類を問わず金銭で払い戻せます(同条2項)。除名による脱退でも同じです。「出資の種類を問わず,金銭で払い戻すことができる」という肢と「除名された場合であっても,持分の払戻しを受けることができる」という肢は正しく、「除名された組合員は,持分の払戻しを受けることができない」という肢は誤りです。脱退した組合員は、脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内で弁済する責任を負います(680条の2第1項)。「従前の責任の範囲内で弁済する責任を負う」という肢は正しいです。新たな組合員の加入は、組合員全員の同意か組合契約の定めによります(677条の2第1項)。「組合員の過半数の同意によって,新たに組合員を加入させることができる」という肢は誤りです。加入した組合員は、加入前に生じた組合の債務を弁済する責任を負いません(同条2項)。「その加入前に生じた組合の債務について弁済する責任を負わない」という肢は正しいです。組合は、目的である事業の成功又はその成功の不能、存続期間の満了、組合契約で定めた解散事由の発生、総組合員の同意で解散し(682条)、やむを得ない事由があれば各組合員が解散を請求できます(683条)。「その目的である事業の成功によって解散する」という肢は正しいです。
- 出資(667条)金銭に限らず労務も可。法人も組合員になれます
- 他の組合員の不履行(667条の2)組合契約を解除できません
- 業務の決定・執行(670条)組合員の過半数。業務執行者があれば業務執行者。業務執行者は第三者でも可
- 代理(670条の2)業務執行者があれば業務執行者だけ
- 損益分配(674条)定めがなければ出資の価額に応じて
- 脱退(678条・679条)やむを得ない事由があれば期間中でも可。死亡・破産・後見開始・除名で当然脱退
- 払戻し(681条)除名でも受けられ、金銭で払い戻せます
- 脱退・加入と債務(680条の2・677条の2)脱退者は従前の範囲で責任。加入は全員の同意で、加入前の債務は負いません
民法670条2項
組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる。
民法678条2項
組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる。
民法680条の2第1項
脱退した組合員は、その脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。この場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、脱退した組合員は、組合に担保を供させ、又は組合に対して自己に免責を得させることを請求することができる。
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