多数当事者間の債務の連帯(連帯債務・連帯保証)とは
たすうとうじしゃかんのさいむのれんたい
多数当事者間の債務の連帯とは、数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときはその債務が連帯債務になり、主たる債務が主たる債務者の商行為によって生じたとき又は保証が商行為であるときは保証が連帯保証になるという商法の規律のことです(商法511条)。民法の分割債務の原則と単純保証の原則の例外です。
会社が銀行から借りたお金を社長が個人で保証した場合、社長は「まず会社に請求してください」とは言えません。民法では、数人が同じ債務を負っても分割債務が原則で、保証人にも催告・検索の抗弁がありますが、商売の借金は確実に素早く回収できることが信用の土台なので、商法は商行為によって生じた債務を当然に連帯債務・連帯保証にしました。保証人が商人でなくても、主たる債務が商行為で生じていれば連帯保証になります。
数人がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、各自が連帯して負担します
民法では、数人が同じ債務を負担しても、特約が無ければ各自が等しい割合で分割して負う分割債務が原則です(民法427条)。商法511条1項は、数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は各自が連帯して負担すると定め、当然に連帯債務とします。債務者のうち一人にとって商行為であれば足り、債権者にとって商行為である必要はありません。「相手方のためには商行為となる行為でなくても,数人の者がそのうちの一人のために商行為となる行為によって債務を負担したときは,その債務は,各自が連帯して負担する」という肢は正しく、「当該債務を数人の者が負担する場合であっても,その債務が一人のために商行為となる行為によって負担したものであるときは,当該債務は,連帯債務とはならない」という肢は誤りです。
主たる債務が商行為によって生じたとき、又は保証が商行為であるときは、保証は連帯保証になります
民法の保証は特約が無ければ単純保証で、保証人は催告の抗弁(民法452条)と検索の抗弁(民法453条)を持ちます。商法511条2項は、保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき、又は保証が商行為であるときは、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても、その債務は各自が連帯して負担すると定めます。主たる債務者と保証人が別々の契約で債務を負っていても連帯保証になり、保証人は催告・検索の抗弁を失います。保証人が商人であるかどうかは要件ではないので、株式会社の事業資金の借入れを商人でない自然人が保証した場合も、主たる債務が会社の商行為(会社法5条)によって生じているので連帯保証になります。「保証人がある場合において,債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるときは,主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときでも,その債務は,各自が連帯して負担する」という肢、「保証人がある場合において,債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるときは,当該主たる債務者及び当該保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても,その債務は,各自が連帯して負担する」という肢、「B信用金庫に対するA株式会社の債務を商人でないC(自然人)が保証した場合には,当該保証は連帯保証となる」という肢はいずれも正しいです。
判例は、保証が債権者にとって商行為である場合も「保証が商行為であるとき」に含めます
511条2項の「保証が商行為であるとき」は、保証人にとって保証が商行為である場合(信用保証を業とする会社が保証する場合など)だけを指すのか、債権者にとって商行為である場合も含むのかが問題になります。判例は、保証人にとって商行為であるときだけでなく、債権者にとって商行為である場合も含むとしています(大判昭和14年12月27日)。銀行が営業として貸し付けた貸金を個人が保証した場合、主たる債務者にとって商行為でなくても、債権者である銀行にとって保証を受けることが商行為なので連帯保証になります。「判例によれば,保証人がある場合において,保証が債権者にとって商行為であるときは,主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても,その債務は,各自が連帯して負担する」という肢は正しいです。
多数当事者間の債務の連帯(商法511条)
- 1項 連帯債務: 数人が、その一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担 → 各自連帯。債権者にとって商行為である必要は無い(民法427条の分割債務の例外)
- 2項 連帯保証: ①主たる債務が主たる債務者の商行為によって生じた、又は②保証が商行為である → 各別の行為で負担しても連帯保証。保証人が商人であることは不要
- 判例: ②には債権者にとって商行為である場合も含む(大判昭14.12.27)
- 効果: 保証人は催告の抗弁・検索の抗弁(民法452条・453条)を失う
商法511条
数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する。2 保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき、又は保証が商行為であるときは、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても、その債務は、各自が連帯して負担する。
論文ではこう使う
会社の借入金を取締役や親族が個人で保証した事案で債権者が保証人に直接請求してきたときは、保証契約に連帯の特約が無くても、主たる債務が会社の事業のためにする借入れとして商行為(会社法5条)によって生じたものである以上、商法511条2項により連帯保証となり、保証人は催告・検索の抗弁を主張できないと論じます。主たる債務者が商人でない事案では、債権者である銀行にとって保証を受けることが商行為であることを指摘し、判例(大判昭14.12.27)により同項に当たるとつなぎます。
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