司法試験・予備試験AIブートラボ 司法試験AIブートラボ
用語集 / 商法 / 商人の報酬請求権と利息請求権

商人の報酬請求権と利息請求権(立替金・商人間の金銭消費貸借)とは

しょうにんのほうしゅうせいきゅうけんとりそくせいきゅうけん

商法 商行為

商人の報酬請求権とは、商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときに、特約が無くても相当な報酬を請求できる権利のことです(商法512条)。利息請求権とは、商人間の金銭消費貸借で利息の約定が無くても貸主が法定利息を請求でき、商人が営業の範囲内で他人のために金銭を立て替えたときに立替えの日以後の法定利息を請求できる権利のことです(商法513条)。

友人に頼まれて荷物を預かっても、ふつうは「お礼をください」とは言えません。民法では委任も寄託も無償が原則だからです。しかし商人は儲けるために営業しているので、報酬の約束をしていなくても、営業の範囲で他人のために行為をすれば相当な報酬を請求できます。お金についても同じで、商人同士がお金を貸し借りすれば利息の約束が無くても法定利息を請求でき、商人が営業の範囲で他人のためにお金を立て替えれば、立て替えた日からの法定利息を請求できます。

不動産屋の店先の場面。先生が不動産業者役(札「商人(宅地建物取引業者)」)でカウンターに立ち、向かいに男性の客(札「依頼者 商人ではない」)が土地の契約書を手にしている。カウンターに「報酬の約束なし」と書いたメモ。壁の板書「商法512条 商

商人が営業の範囲内で他人のために行為をしたときは、約束が無くても、相手が商人でなくても、相当な報酬を請求できます

民法では、委任は特約が無ければ無償で(民法648条1項)、寄託も同じです(民法665条)。商法512条は、商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができると定めます。営利を目的とする商人の営業活動を無償と扱うのは当事者の合理的な意思に反するからです。要件は、行為者が商人であること、その営業の範囲内の行為であること、他人のためにする行為であることで、相手方(報酬を請求される他人)が商人であることは要りません。「商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは,その他人が商人であるか否かにかかわらず,相当な報酬を請求することができる」という肢と、「委託者との間で報酬についての合意がないときであっても,その委託者に対し,相当な報酬を請求することができる」という肢、「商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる」という肢はいずれも正しいです。当事者双方が商人である場合に限り適用される規律かと問われれば、報酬請求権は行為者だけが商人であればよい規律です。

判例は、売主から委託を受けず売主のためにする意思も無かった宅地建物取引業者は、売主に報酬を請求できないとします

「他人のために」とは、他人の利益を図る意思でする、という意味です。判例は、宅地建物取引業者は他人間の商行為の媒介を業とする者ではないから商事仲立人ではなく民事仲立人であるが、仲立ちに関する行為を営業とする者として商人であるとしたうえで、買主からの委託だけで媒介をし、売主からの委託も無く売主のためにする意思も無かった場合には、売主に対して512条による報酬請求権を取得せず、仲立人の報酬を当事者双方に負担させる550条の適用を見る余地も無いとしました(最判昭和44年6月26日)。「宅地建物取引業者は,買主からの委託によって土地の売買の媒介をした場合であって,売主からの委託によるものでなく,かつ,売主のためにする意思をもってしたものでないときでも,当該売主に対し,相当な報酬を請求することができる」という肢は誤りです。

商店の帳場の場面。先生が貸主の商人役(札「商人(貸主)」)で帳簿を開き、向かいに男性の商人(札「商人(借主)」)が借用書を差し出す。借用書に「利息の約束なし」と書いてある。帳簿の横に領収書の束(札「営業で立て替えた代金」)。壁の板書「商法5

商人間の金銭消費貸借では利息の約束が無くても法定利息を請求でき、商人が営業の範囲内で立て替えた金銭には立替えの日以後の法定利息が付きます

民法の消費貸借は特約が無ければ無利息です(民法589条1項)。商法513条1項は、商人間において金銭の消費貸借をしたときは、貸主は法定利息を請求することができると定めます。この規律は貸主と借主の双方が商人であることを要し、当事者双方が商人である場合に限り適用される規律に当たります。一方だけが商人なら民法の原則どおり無利息です。「商人間において金銭の消費貸借をしたときは,利息の約定がなくても,貸主は,法定利息を請求することができる」という肢、「商人間において金銭の消費貸借をした場合において、利息の支払について別段の意思表示がないときは、貸主は、法定利息を請求することができる」という肢、「当該債務が商人間における金銭の消費貸借によって生じたものであるときは,貸主は,約定をしなくとも,当該債務につき,法定利率による利息を請求することができる」という肢はいずれも正しいです。513条2項は、商人がその営業の範囲内において他人のために金銭の立替えをしたときは、その立替えの日以後の法定利息を請求することができると定めます。こちらは立て替えた側が商人であればよく、相手が商人である必要はありません。「商人がその営業の範囲内において他人のために金銭の立替えをしたときは,その立替えの日以後の法定利息を請求することができる」という肢は正しいです。利率は、出題当時は商事法定利率を年6分とする旧514条によりましたが、平成29年民法改正に伴い旧514条は削除され、現在は民法404条の法定利率(年3パーセントから出発する変動制)によります。「立替えの日以後の年6分の利率により算定した利息を請求することができる」という肢は、出題当時は正しい肢でしたが、現行法では年6分という利率が無いので、立替えの日以後の法定利息を請求できるという結論だけが維持されます。「商人がその営業の範囲内において他人のために金銭の立替えをしたときは,当該商人は,当該他人に対して立替えの日以後の商事法定利率による利息を請求することができる」という肢も、出題当時は正しい肢で、商事法定利率を法定利息と読み替えれば現在も正しいです。同じく、「貸主が年6分の利率による利息を請求することができるとの規律」が商人間に限り適用されるかという問いも、現在は「法定利息」と読み替えて、商人間に限る規律だと答えることになります。

報酬請求権と利息請求権(商法512条・513条)

  • 512条 報酬請求権: 商人が営業の範囲内で他人のために行為 → 相当な報酬。相手方が商人であることは不要。「他人のために」は他人の利益を図る意思(最判昭44.6.26)
  • 513条1項 利息請求権: 商人間の金銭消費貸借 → 約定が無くても法定利息。双方が商人であることが必要
  • 513条2項 立替金の利息: 商人が営業の範囲内で他人のために立替え → 立替えの日以後の法定利息。相手方が商人であることは不要
  • 利率: 旧514条の年6分は削除され、民法404条の法定利率による

商法512条

商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。

商法513条

商人間において金銭の消費貸借をしたときは、貸主は、法定利息を請求することができる。2 商人がその営業の範囲内において他人のために金銭の立替えをしたときは、その立替えの日以後の法定利息を請求することができる。

試験ではこう問われる

「商人の報酬請求権と利息請求権」が短答式でどう出題されてきたか、ひっかけの型5件と関係する過去問の肢12本は、無料のアカウントでログインすると読めます。

読んだあとに、商法の肢別演習を

この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。

関連する用語