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交互計算とは

こうごけいさん

商法 商行為

交互計算とは、商人間又は商人と商人でない者との間で平常取引をする場合に、一定の期間内の取引から生ずる債権及び債務の総額について相殺をし、その残額の支払をすることを約する契約のことです(商法529条)。組み入れた個々の債権は期末の相殺まで個別に行使・処分できず、これを交互計算不可分の原則といいます。

毎日のように売ったり買ったりしている取引先とは、代金をその都度やり取りするより、半年分をまとめて差し引きし、残りだけ払う方が楽です。これを約束するのが交互計算で、組み入れた個々の債権は期末の差引きまで一本ずつ取り立てたり譲ったりできなくなります。相手は商人でなくてもよく、普段から取引している相手ならできます。差引きまで個々の債権を動かせないという性質を、相手を知らない第三者にまで主張できるかが議論されています。

商店の帳場の場面。先生が店主役(札「商人」)で大きな帳簿を開き、帳簿の左ページに「売った分」の行が並び、右ページに「買った分」の行が並び、一番下に「6か月分をまとめて差引き → 残額だけ支払」。向かいに男性(札「平常取引の相手 商人でなくて

交互計算は、商人間だけでなく商人と商人でない者との間でも、平常取引から生ずる債権債務を一定期間ごとに相殺して残額を支払う約束で効力を生じます

商法529条は、交互計算は、商人間又は商人と商人でない者との間で平常取引をする場合において、一定の期間内の取引から生ずる債権及び債務の総額について相殺をし、その残額の支払をすることを約することによって効力を生ずると定めます。当事者の一方が商人であればよく、双方が商人であることは要りません。「交互計算は、商人間においてのみ、その効力を生ずる」という肢は誤りです。相殺をすべき期間を定めなかったときは6か月です(531条)。当事者は計算書の承認をしたときは各項目について異議を述べることができず、錯誤又は脱漏があったときだけ例外です(532条)。残額については計算の閉鎖の日以後の法定利息を請求でき(533条1項)、各当事者はいつでも交互計算を解除して直ちに計算を閉鎖し、残額の支払を請求できます(534条)。

交互計算に組み入れた債権は期末の相殺まで個別に行使・処分できず、その都度決済する当座勘定取引はこれに当たりません

交互計算に組み入れられた個々の債権は、計算期間中は独立性を失い、個別に取り立てたり譲渡したり差し押さえたりできなくなると解されています。これを交互計算不可分の原則といい、期末の相殺による残額債権へ転化することを互いに担保する働きがあります。手形その他の商業証券から生じた債権債務を組み入れた場合に証券の債務者が弁済しないときは、その項目を交互計算から除外できます(530条)。これに対し、銀行の当座勘定取引は、顧客の入金と顧客が振り出した手形・小切手の支払をその都度計算して残高を出す仕組みで、債権債務が生じた段階で自動的に差し引かれるので、期末まで個々の債権が存続して担保の働きをする交互計算とは異なり、交互計算不可分の原則の適用はありません。「B信用金庫とA株式会社との間に当座勘定取引が行われているときは,当該取引は商法にいう交互計算契約に該当し,いわゆる交互計算不可分の原則の適用がある」という肢は誤りです。

教室の板書の場面。先生(札「先生」)が黒板の前に立ち、黒板に「組入債権の譲渡禁止を善意の第三者にも対抗できるという見解」と題し、左に「論拠 ・交互計算の下で生じた債権の当然の結果 ・第三者は債権者代位で解除して保護できる」、右に「批判・別の

組み入れた債権の譲渡禁止を善意の第三者にも対抗できるとする見解は、債権の性質上当然の帰結であることを論拠にし、公示手段の無さや差押禁止財産を作ることへの批判を受けます

交互計算に組み入れた債権を譲渡できないことを、交互計算契約の成立を知らない第三者にも対抗できるとする見解があります。この見解は、組み入れた債権を譲渡できないのは、その債権が交互計算の下における取引により生じたことの当然の結果であって、当事者の合意で譲渡を禁じたからではないと説明します。債権自体の性質による制約なので、第三者の善意・悪意を問わないという帰結になり、この説明はこの見解の論拠になります。第三者が害されるという批判に対しては、第三者の保護は、債権者代位権に基づいて交互計算契約を解除する方法によって図ることができると応じます。各当事者はいつでも交互計算を解除できる(534条)ので、組入債権の債権者の債権者は債務者の解除権を代位行使して計算を閉鎖させ、残額債権を差し押さえればよいという考え方で、この見解と親和性があります。これに対し、交互計算は第三者に対する公示手段を持たないという指摘は、知らない第三者に不可視の拘束を及ぼすのは酷だという方向に働くので、この見解の論拠にはならず、善意の第三者に対抗できないとする見解の論拠です。当事者の意思に基づいて差押禁止財産を作ることは許容すべきでないという指摘は、この見解への批判です。組み入れた債権について当事者間に譲渡禁止の特約があると考える構成は、民法466条の譲渡制限の意思表示と同じく第三者の主観を問題にせざるを得ないので、この見解とは結び付きません。判例は、交互計算に組み入れた債権は性質上譲渡性を有しない債権であり、譲渡が許されないことは第三者が交互計算契約の成立を知っていたかどうかを問わず第三者に対抗できるとしています(大判昭和11年3月11日)。

交互計算(商法529条〜534条)

  • 529条: 商人間 or 商人と商人でない者との間の平常取引。一定期間の債権債務の総額を相殺し残額を支払う約束
  • 530条: 商業証券の債務者が弁済しないときはその項目を除外できる
  • 531条: 期間の定めが無ければ6か月
  • 532条: 計算書の承認後は異議を述べられない(錯誤・脱漏を除く)
  • 533条: 残額に計算閉鎖の日以後の法定利息
  • 534条: 各当事者はいつでも解除でき、直ちに計算を閉鎖して残額を請求できる
  • 交互計算不可分の原則: 組入債権は期末まで個別に行使・処分できない。当座勘定取引には適用なし

商法529条

交互計算は、商人間又は商人と商人でない者との間で平常取引をする場合において、一定の期間内の取引から生ずる債権及び債務の総額について相殺をし、その残額の支払をすることを約することによって、その効力を生ずる。

試験ではこう問われる

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