小切手(一覧払・支払呈示期間・線引小切手・支払保証)とは
こぎって
小切手とは、振出人が銀行(支払人)に対して一定の金額を受取人又は持参人に支払うよう委託する証券で、支払の手段として、支払人は銀行に限られ、常に一覧払で、支払呈示期間は振出日から10日、引受けはできません(小切手法3条・4条・28条・29条)。線引小切手は支払先を銀行や取引先に限ることで不正な取得者への支払を防ぎ、支払保証は支払人が支払義務を負う唯一の方法です。
小切手は現金の代わりに使う紙です。銀行に当座預金を持っている人が、銀行を支払人として「この人に払ってください」と書いて渡し、受け取った人は銀行に持ち込んですぐ現金にします。だから小切手は信用の手段ではなく支払の手段として作られていて、支払人は銀行に限られ、いつでも払われる一覧払で、呈示期間は10日と短く、支払人が引受けをして長く流通させることもできません。盗まれたときに備えて、支払先を銀行や取引先に限る線引の制度もあります。
小切手の支払人は銀行に限られ、振出人は資金を持っていなければならず、引受けはできず主たる債務者がいません
小切手は、振出人が処分できる資金のある銀行に宛てて、資金を小切手で処分できる契約(小切手契約)に従って振り出さなければなりません(小切手法3条)。支払人が銀行又はこれと同視される者に限られる点と資金関係が要求される点は、為替手形との違いです。「小切手においては,支払人が銀行その他の金融機関に限られ,かつ,振出人は,その支払人の下に小切手の支払に充てられるべき資金を有していなければならないが,為替手形においては,そのような制約はない」という規律は、小切手が支払の手段として規律されていることと関係があります。小切手は引受けをすることができず、小切手にした引受けの記載は無いものとみなされます(4条)。引受けを認めると銀行の信用で小切手が長く流通して信用証券化するからで、「小切手は,引受けをすることができない」という肢は正しく、小切手には主たる債務者がいません。支払人は、支払保証をしない限り、所持人に対して小切手金を支払う義務を負いません。「小切手の支払人は、支払保証をしていない限り、適法な所持人に対して小切手金を支払う小切手法上の義務を負わない」という肢は正しいです。振出人は支払を担保する遡求義務者で、支払人が支払を拒絶したときに責任を負います。「約束手形の振出人は,第一次的な支払義務を負うが,小切手の振出人は,支払人が支払拒絶をしたことを条件とする支払義務を負うにとどまる」という違いは、支払約束証券か支払委託証券かの違いによるもので、信用の手段か支払の手段かの違いとは関係がありません。
小切手は常に一覧払で、支払呈示期間は振出日から10日です
小切手は一覧払とされ、これに反する一切の記載は無いものとみなされます(28条1項)。特定の日に支払う旨を書いても一覧払のままで、「特定の日に支払う旨の記載をした小切手であっても,一覧払のものとされる」という肢は正しいです。手形では一覧払のほか確定日払・日附後定期払・一覧後定期払が認められますが、小切手は一覧払しか認められません。この違いは支払の手段としての規律と関係があり、「小切手の満期は,一覧払及び確定日払に限られる」という肢と、「約束手形及び小切手は、いずれも満期として一覧後定期払及び日附後定期払のいずれかを選択することができる」という肢は誤りです。国内で振り出して支払う小切手は、振出日付から10日内に支払のため呈示しなければなりません(29条1項・4項)。一覧払手形の呈示期間が振出日から1年(手形法34条1項)であるのと比べて短く、「小切手の支払呈示期間は,原則として振出日の日付から10日内とされているが,一覧払手形の支払呈示期間は,原則として振出日の日付から1年内とされている」という規律も支払の手段としての規律と関係があります。呈示期間を過ぎても、支払委託の取消しが無ければ支払人は支払うことができます(32条2項)。所持人の遡求権は呈示期間経過後6か月で時効にかかります(51条1項)。
小切手は持参人払式で振り出せ、受取人の記載が無ければ持参人払式とみなされ、自己宛てでも振り出せます
小切手は、記名式又は指図式、指図禁止の記名式、持参人払式のいずれかで振り出すことができ(5条1項)、受取人の記載の無い小切手は持参人払式小切手とみなされます(同条3項)。「小切手は記名式でない方法により振り出すことができる」という肢は正しく、無記名式の小切手を「指図式小切手とみなされる」とする肢は誤りです。小切手は振出人の自己指図でも自己宛てでも振り出せます(6条1項・3項)。「小切手は,振出人の自己宛てで振り出すことができない」という肢は誤りで、銀行が自分を支払人として振り出す自己宛小切手(預手)が実務で使われています。小切手要件の一部を欠いても白地小切手として有効になり得ます(13条)。利息文句は記載が無いものとみなされ(7条)、「為替手形及び小切手については,いずれも,利息文句を記載することにより,手形金額及び小切手金額に利息を付すことができる」という肢は誤りです。支払委託は単純でなければならず条件は付けられません(1条2号)。支払人の裏書は無効で(15条3項)、支払人に対する裏書は受取証書の効力しかありません(同条5項)。
線引小切手は支払先が銀行や取引先に限られ、一般線引から特定線引への変更はできますが逆はできません
振出人又は所持人は、小切手の表面に二条の平行線を引いて線引をすることができます(37条1項・2項)。線内に何も書かないか「銀行」と書いたものが一般線引で、支払人は銀行又は自己の取引先に対してだけ支払えます(37条3項、38条1項)。「小切手面上に2本の平行線が引かれ,線内に何も書かれていないときは,小切手の支払人は,支払人の取引先に対してのみ支払うことができる」という肢は、他の銀行にも支払える点を落としているので誤りです。線内に銀行の名称を書いたものが特定線引で、支払人は被指定銀行に対してだけ(被指定銀行が支払人なら自己の取引先に対してだけ)支払えます(38条2項)。一般線引は特定線引に変更できますが、特定線引を一般線引に変更することはできません(37条4項)。支払を受けられる者を狭める方向の変更は不正取得者の支払を防ぐ趣旨に沿うからです。「一般線引小切手は,二条の平行線内に銀行の名称を記載することにより,特定線引小切手に変更することができる」という肢は正しいです。線引や被指定銀行の名称を抹消しても、抹消は無いものとみなされます(37条5項)。支払人は支払保証をすることができ、支払保証をした支払人は呈示期間内に呈示があった場合にだけ支払義務を負います(53条、55条1項)。
小切手の規律
- 支払人: 銀行等に限る。振出人は資金と小切手契約が要る(3条)。違反しても小切手は有効
- 引受け不可(4条)。主たる債務者なし。支払人は支払保証(53条)をしない限り義務なし。振出人は遡求義務者
- 常に一覧払(28条1項)。呈示期間は振出日付から10日(29条)。遡求権の時効は呈示期間経過後6か月(51条)
- 記名式・指図式・持参人払式。受取人の記載なしは持参人払式とみなす(5条)。自己宛て可(6条3項)。白地小切手あり(13条)
- 利息文句は無益的記載(7条)。支払委託に条件は付けられない(1条2号)。支払人の裏書は無効(15条3項)
- 線引: 一般線引は銀行又は取引先にのみ支払(38条1項)。特定線引は被指定銀行にのみ。一般→特定の変更は可、逆は不可(37条4項)
小切手法4条
小切手ハ引受ヲ為スコトヲ得ズ小切手ニ為シタル引受ノ記載ハ之ヲ為サザルモノト看做ス
小切手法28条1項
小切手ハ一覧払ノモノトス之ニ反スル一切ノ記載ハ之ヲ為サザルモノト看做ス
小切手法29条1項
国内ニ於テ振出シ且支払フベキ小切手ハ十日内ニ支払ノ為之ヲ呈示スルコトヲ要ス
小切手法38条1項
一般線引小切手ハ支払人ニ於テ銀行ニ対シ又ハ支払人ノ取引先ニ対シテノミ之ヲ支払フコトヲ得
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