裏書の方式と効力(白地式裏書・担保的効力・無担保裏書・裏書禁止)とは
うらがきのほうしきとこうりょく
裏書とは、手形の所持人が手形又は補箋に署名して手形上の権利を他人に譲渡する行為で、被裏書人を書かずにする白地式裏書もあります。裏書によって手形上の一切の権利が移転し(権利移転的効力)、裏書人は引受け・支払を担保する責任を負いますが(担保的効力)、無担保裏書や新たな裏書を禁じる記載もできます。
手形を受け取った人が、支払期日を待たずに仕入先への支払に使いたいとき、手形の裏に自分の名前を書いて次の人に渡します。これが裏書です。裏書をすると手形上の権利がそっくり次の人に移るだけでなく、裏書した人は「もし振出人が払わなければ私が払う」という保証人のような責任(担保責任)も負います。だから手形は人の手を渡るほど信用が厚くなります。裏書は裏面に署名するだけでもでき、担保責任を負わない旨の裏書や、これ以上の裏書を禁じる記載もできます。
裏書は裏面に署名するだけでもでき、条件は無いものとみなされ、一部の裏書は無効です
裏書は、手形又はこれと結合した紙片(補箋)に記載して裏書人が署名してします(手形法13条1項、77条1項1号)。被裏書人を指定せず、又は裏書人の署名だけでする裏書を白地式裏書といい、署名だけの場合は手形の裏面か補箋にしなければ効力がありません(13条2項)。「裏書は,手形の裏面に単に裏書人の署名をすることによって行うことができる」という肢は正しいです。裏書は単純でなければならず、裏書に付けた条件は記載が無いものとみなされますが(12条1項)、裏書そのものは有効で権利移転の効力を生じます。「商品の引渡しを条件とするなど,一定の条件を付した裏書は,手形上の権利を移転する効力を有しない」という肢は誤りです。これに対し、一部の裏書は無効です(12条2項)。手形上の権利は証券と結び付いていて分割できないからで、「手形金の一部のみを譲渡する裏書は、無効である」という肢は正しく、「Bは,手形金額の一部のみであっても裏書により譲渡することができる」という肢は誤りです。
裏書の方式(13条・14条)
- 記名式裏書: 裏書文句+被裏書人の名称+裏書人の署名
- 白地式裏書: 被裏書人を書かない裏書。署名だけなら裏面か補箋に限る
- 白地式裏書で取得した所持人は、自分や他人の名で白地を補充でき、白地式又は記名式で更に裏書でき、補充も裏書もせず交付だけで譲渡できる(14条2項)
- 条件付きの裏書: 条件は無いものとみなす(12条1項)。一部の裏書: 無効(12条2項)
裏書で手形上の一切の権利が移転し、裏書人は担保責任を負いますが、無担保裏書や裏書禁止の記載ができます
裏書は手形から生ずる一切の権利を移転します(権利移転的効力。14条1項)。「裏書により,手形上の権利はすべて被裏書人に移転する」という記述はこの効力を述べたものです。裏書人は、反対の文言が無い限り引受けと支払を担保するので(担保的効力。15条1項)、振出人が支払わなければ所持人から遡求を受けます。裏書人は担保責任を負わない旨を裏書に記載でき(無担保裏書)、「裏書人として署名して手形を譲渡する者は,適法な手形所持人に対する裏書人としての担保責任を負わない旨の裏書をすることができる」という肢は正しいです。担保責任を負うのは裏書人として署名した者だけです。白地式裏書で手形を取得した者が、裏書をせずに交付だけで譲渡したときは、署名していないので担保責任を負いません。「CがDに対し裏書をしないで単なる交付により譲渡した場合には,Cは,手形所持人に対し,担保責任を負わない」という肢は正しいです。同じ理由で、白地式裏書のまま保管していた手形を盗まれた者は、盗難について重過失があっても、署名していない以上遡求義務を負いません。「Cに重過失があった場合でも,Cは,この手形について遡求義務を負うことはない」という肢は正しいです。振出人は手形に「指図禁止」の文字を記載でき、その手形は債権譲渡の方式と効力でだけ譲渡できます(11条2項)。裏書人も新たな裏書を禁ずることができ、その場合、その裏書人は後の被裏書人に対して担保責任を負いません(15条2項)。「振出人は,手形に「指図禁止」の文字を記載することができるが,裏書人は,新たな裏書を禁止することはできない」という肢は誤りです。
手形は裏書によらず債権譲渡の方法でも譲渡でき、振出人に対する裏書(戻裏書)もできます
手形は指図式で振り出さなくても裏書で譲渡できる法律上当然の指図証券ですが(11条1項)、裏書だけが譲渡の方法ではありません。判例は、手形上の権利を民法の債権譲渡の方法(民法467条)で譲渡することもできるとしています(最判昭和49年2月28日)。相続や合併によっても移転します。「手形は法律上当然の指図証券であるから,裏書によらない手形の譲渡は無効である」という肢は誤りです。裏書は、引受けをした又はしない支払人、振出人その他の債務者に対してもすることができ、これらの者は更に手形を裏書できます(11条3項)。「約束手形の所持人は,その振出人に対して裏書譲渡することができる」という肢は正しいです。振出人や裏書人への裏書を戻裏書といい、人的抗弁との関係は特殊の裏書の語で扱います。
裏書の効力
- 権利移転的効力(14条1項): 手形上の一切の権利が被裏書人に移る
- 担保的効力(15条1項): 裏書人は引受け・支払を担保。無担保裏書で免れる。署名しない者(交付だけの譲渡人・盗まれた者)は負わない
- 資格授与的効力(16条1項): 裏書の連続する手形の所持人は適法な所持人と推定(裏書の連続の語で扱う)
- 裏書禁止(15条2項): 裏書人は新たな裏書を禁じ、後の被裏書人に担保責任を負わない。振出人の指図禁止(11条2項)は債権譲渡の効力だけにする
手形法12条1項
裏書ハ単純ナルコトヲ要ス裏書ニ附シタル条件ハ之ヲ記載セザルモノト看做ス
手形法12条2項
一部ノ裏書ハ之ヲ無効トス
手形法13条2項
裏書ハ被裏書人ヲ指定セズシテ之ヲ為シ又ハ単ニ裏書人ノ署名ノミヲ以テ之ヲ為スコトヲ得(白地式裏書)此ノ後ノ場合ニ於テハ裏書ハ為替手形ノ裏面又ハ補箋ニ之ヲ為スニ非ザレバ其ノ効力ヲ有セズ
手形法15条1項
裏書人ハ反対ノ文言ナキ限リ引受及支払ヲ担保ス
この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。