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株主名簿と基準日とは

かぶぬしめいぼときじゅんび

商法 株式の譲渡と管理

株主名簿とは、株主の氏名又は名称と住所、有する株式の数、株式を取得した日、株券発行会社では株券の番号を記載した会社の帳簿です(会社法121条)。基準日とは、会社が一定の日を定めて、その日に株主名簿に記載されている株主をその権利を行使することができる者と定める制度のことです(124条1項)。

会社が配当を払ったり株主総会の案内を送ったりするには、誰が株主かを一覧にした帳簿が要ります。それが株主名簿で、株式が人から人へ移っても、会社はこの名簿に載っている人を株主として扱えば足ります。株式は日々売買されるので、「この日の名簿に載っている人に配当や議決権を与える」と日付で区切る仕組みが基準日です。名簿を基礎に会社の事務を進める制度なので、通知は名簿上の住所に送れば足り、5年以上届かない株主には送らなくてよいなど、会社の負担を軽くする規定が並んでいます。

会社の総務部の場面。先生が会社の担当者役(札「株式会社」)で机に座り、机の上に大きな帳簿が開かれ、表紙に「株主名簿」。帳簿のページに4つの列「氏名・住所」「株式の数」「取得した日」「株券の番号」が見え、「取得した日」の列を深紅の枠で囲む。机

株主名簿には株式を取得した日も記載し、株主名簿管理人は置く旨だけを定款で定めます

会社は株主名簿を作成し、株主の氏名又は名称と住所、その株主の有する株式の数(種類株式発行会社では種類と種類ごとの数)、株主が株式を取得した日、株券発行会社では株券の番号を記載又は記録しなければなりません(121条)。取得した日を載せるのは、株主総会の招集の請求(297条1項)のように一定期間の継続保有を要件とする権利があるからです。「株式会社は、株主名簿に株主が株式を取得した日を記載又は記録することを要しない」という肢は誤りです。会社は、株主名簿の作成と備置きその他の株主名簿に関する事務を行う株主名簿管理人を置く旨を定款で定め、その事務を委託できます(123条)。「株式会社は、株主名簿管理人を置く旨を定款で定め、株主名簿の作成及び備置きその他の株主名簿に関する事務を行うことを委託することができる」という肢は正しいです。定款で定めるのは管理人を置く旨だけで、管理人の氏名又は名称は定款に書かなくてよく、登記で公示されます(911条3項11号)。管理人を変えるたびに定款変更が要るのでは煩わしいからです。「株主名簿管理人を置く旨及びその氏名又は名称を定款で定めなければならない」という肢は誤りです。株主名簿は本店(管理人があればその営業所)に備え置きます(125条1項)。

株主名簿の閲覧は株主と債権者が請求でき、競業者であることだけでは拒めません

株主と債権者は、会社の営業時間内はいつでも、請求の理由を明らかにして株主名簿の閲覧又は謄写を請求できます(125条2項)。会社が拒めるのは、権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求したとき、会社の業務の遂行を妨げ又は株主の共同の利益を害する目的で請求したとき、知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき、過去2年以内にそのような通報をしたことがあるときに限られます(同条3項)。会計帳簿の閲覧(433条2項3号)と違って、請求者が会社と実質的に競争関係にある事業を営むことは拒絶事由に入っていません。株主名簿は株主が他の株主に働きかけるための基礎であり、営業上の秘密に当たらないからです。「当該請求を行う株主が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事する者であるときは、当該請求を拒むことができる」という肢は誤りです。出題当時より前の平成26年改正前は競業者であることが拒絶事由でしたが、改正で削除されました。

通知は名簿上の住所に発すれば足り、5年以上届かない株主には通知を要しません

会社が株主にする通知又は催告は、株主名簿に記載した株主の住所(株主が別に通知を受ける場所又は連絡先を会社に通知していればその場所)に宛てて発すれば足り(126条1項)、通常到達すべきであった時に到達したものとみなされます(同条2項)。多数の株主を相手にする会社の事務の便宜のための規定で、住所の変更を届け出ない不利益は株主が負います。「株主が別に通知を受ける場所又は連絡先を株式会社に通知していないときは、当該株式会社が当該株主に対してする通知は、株主名簿に記載又は記録された当該株主の住所に宛てて発すれば足りる」という肢は正しいです。会社がする通知又は催告が5年以上継続して到達しない場合には、会社はその株主に通知又は催告をすることを要せず(196条1項)、株主総会の招集の通知も発しなくてよいです。「当該株式会社は,当該株主に対し,株主総会の招集の通知を発する必要はない」という肢は正しいです。この場合、その株主に対する会社の義務の履行を行う場所は会社の住所地になります(同条2項)。「当該株主に対する当該株式会社の義務の履行を行う場所は,当該株式会社の住所地である」という肢は正しいです。

教室の場面。先生が黒板の前に立ち、黒板に横一本の時間の線を描く。線の上に左から目盛りと札「2週間前までに公告」「基準日 3月31日 この日の株主名簿上の株主が権利を行使する」「3か月以内 定時株主総会 6月」。「基準日」の目盛りを深紅の縦線

基準日は2週間前までに公告が要り、個別の通知で代えることはできず、株式の併合では定めません

会社は、一定の日(基準日)を定めて、その日に株主名簿に記載されている株主(基準日株主)をその権利を行使することができる者と定めることができます(124条1項)。「株式会社は、一定の日を定めて、当該日において株主名簿に記載又は記録されている株主をその権利を行使することができる者と定めることができる」という肢は正しいです。基準日株主が行使できる権利は基準日から3か月以内に行使するものに限り、その内容を定めなければなりません(同条2項)。基準日を定めたときは、基準日の2週間前までに基準日と権利の内容を公告しなければならず、定款に定めがあるときだけ公告が要りません(同条3項)。基準日の後に株式を取得する人にも分かるようにするための公告なので、株主への個別の通知で代えることはできません。「株券発行会社にあっては,その旨の公告が原則として必要になるが,各株主に個々に通知をすれば,それをもって当該公告に代えることができる」という肢は誤りです。基準日株主の権利が議決権である場合には、会社は基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を議決権を行使できる者と定めることができますが、基準日株主の権利を害することはできません(同条4項)。株式の併合では、株主総会の決議で併合の割合、効力発生日、併合する株式の種類、効力発生日における発行可能株式総数を定めます(180条2項)。権利者は効力発生日の前日の株主と法律上決まっているので、基準日は決議事項に入っていません。基準日を定めるのは株式の分割です(183条2項1号)。「株式の併合の効力発生日のほか、当該株式の併合の基準日を定めなければならない」という肢は誤りです。

会社法124条1項〜3項

株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
2 基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
3 株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。

会社法196条

株式会社が株主に対してする通知又は催告が五年以上継続して到達しない場合には、株式会社は、当該株主に対する通知又は催告をすることを要しない。
2 前項の場合には、同項の株主に対する株式会社の義務の履行を行う場所は、株式会社の住所地とする。

論文ではこう使う

論文では、基準日の後に株式を取得した者が株主総会で議決権を行使できるかを問われたときに使います。「甲社は定時株主総会の議決権の基準日を3月31日と定款で定めている(会社法124条1項・3項ただし書)から、4月に株式を取得したBは基準日株主ではなく議決権を行使できないのが原則である。もっとも、会社は基準日後に株式を取得した者を議決権を行使できる者と定めることができる(同条4項本文)。ただし基準日株主Aの権利を害することはできない(同項ただし書)から、Aから譲り受けたBに議決権を認めるには、Aの議決権と重ならない形でなければならない」と展開します。所在不明株主への招集通知を欠く総会の瑕疵を問われたら、通知は名簿上の住所に発すれば足り(126条1項)、5年以上到達しなければ発する必要が無い(196条1項)ので招集手続の法令違反にならないことを書きます。

試験ではこう問われる

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