司法試験・予備試験AIブートラボ 司法試験AIブートラボ
用語集 / 民事訴訟法 / 証明と疎明・証明度

証明と疎明・証明度(高度の蓋然性)とは

しょうめいとそめいしょうめいど

民事訴訟法 証拠

証明とは、事実の存否について裁判官が確信を得た状態、またはその状態に至らせるための当事者の立証活動をいい、疎明とは、証明の程度には至らないものの一応確からしいという心証で足りる状態をいいます。訴訟上の証明に求められる程度(証明度)は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得る高度の蓋然性です。

お金を貸したと言っても、裁判官が本当だと確信しなければ、その事実は判決の基礎になりません。判決は権利の存否を最終的に決めるので、一応確からしいというだけでは足りないからです。他方で、手続の途中で生じる付随的な問題や、急いで仮の救済を与える場面まで確信を求めると、手続が進みません。そこで法律が明文で定めた場面に限って、一応確からしいという疎明で足りるとしています。

法廷の場面。裁判官席の先生(札「裁判所」)の前に、左右に大きな目盛りの物差しが横に置かれ、左端に「0%」、右寄りの位置に深紅の線で「証明(確信)」、真ん中より少し右に細い線で「疎明(一応確からしい)」と書かれている。物差しの下に札「本案の事

判決の基礎となる事実は証明するのが原則で、疎明で足りるのは法律が明文で定めた場面に限られます

証明とは、事実の存否について裁判官が確信を得た状態、またはその状態に至らせる当事者の立証活動をいいます。疎明とは、一応確からしいという程度の心証で足りる状態、またはその状態に至らせる立証活動をいいます。裁判の前提となる事実は証明によるのが原則で、疎明で足りるのは、手続上の派生的な事項や迅速な判断が求められる事項について、法律が「疎明しなければならない」と定めた場合に限られます。主要事実はもちろん、主要事実を推認させる間接事実も証明の対象であり、間接事実を疎明で足りるとする規定はありません。「主要事実を立証するためには証明が必要であるが,間接事実を立証するには疎明で足りる」という肢は誤りです。民事保全は本案判決を待てない場合の仮の救済なので、被保全権利と保全の必要性は疎明で足ります(民事保全法13条2項)。「民事保全法上の保全命令の発令要件の立証は,疎明で足りる」という肢は正しいです。これに対し、仲裁合意があることは訴えを却下させる抗弁ですが、疎明で足りるとする規定がないので証明が必要です。「訴訟要件に関する抗弁の一つである仲裁契約の立証は,疎明で足りる」という肢は誤りです。

  • 特別代理人の選任の申立て遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明します(35条1項)
  • 補助参加に異議が出たとき補助参加人は参加の理由を疎明します(44条1項)
  • 訴訟記録の謄写の請求第三者は利害関係を疎明します(91条3項)
  • 証言拒絶・宣誓拒絶拒絶の理由を疎明します(198条・201条5項)
  • 保全命令の申立て保全すべき権利と保全の必要性を疎明します(民事保全法13条2項)

疎明は即時に取り調べることができる証拠によりますが、在廷している証人のような人証も使えます

疎明は、即時に取り調べることができる証拠によってしなければなりません(188条)。迅速な判断のために認められた制度なので、期日を改めて証人を呼び出すような証拠調べはできず、使えるのは法廷に連れてきた証人(在廷証人)や当事者が手元に持っている文書などに限られます。即時性が求められるだけで、証拠の種類は制限されていないので、人証も疎明に使えます。「疎明は,即時に取り調べることができる証拠によってしなければならない」という肢は正しく、「疎明のための証拠方法には人証も含まれる」という肢も正しいです。また、疎明も証拠調べであることに変わりはなく、在廷証人を調べるなら証人尋問の方式により、文書を調べるなら書証の方式によります。疎明では求められる心証の程度が低く、188条の即時性の制限が加わるだけで、証拠調べの手続を外れてよいわけではありません。そのため「疎明も,民事訴訟法の定める証拠調べの手続に従わなければならない」という肢は正しいとされています。

厳格な証明と自由な証明は手続による区別であり、どちらも証明なので求められる確信の程度は同じです

厳格な証明とは、180条以下の法定の証拠調べ手続による証明をいい、自由な証明とは、その手続によらない証明をいいます。訴訟要件や外国法、経験則については自由な証明で足りるとする考え方がありますが、自由な証明も証明であって疎明ではありません。二つの区別は、どの手続で心証を得るかの違いであり、どの程度の心証が要るかの違いではないので、自由な証明でも裁判官は確信に達していなければなりません。「厳格な証明においては,要証事実について高度の蓋然性をもって証明する必要があるが,自由な証明においては,厳格な証明よりも低い証明度で足りる」という肢は誤りです。

訴訟上の因果関係の証明は、自然科学的な証明ではなく、通常人が疑いを差し挟まない程度の高度の蓋然性の証明で足ります

最判昭和50年10月24日(ルンバール事件)は、化膿性髄膜炎で入院していた3歳の子が、腰椎穿刺による髄液採取と薬液注入(ルンバール)を受けた直後に発作を起こし、重い後遺症が残った事案で、発作がルンバールによるものかが争われたものです。最高裁は、訴訟上の因果関係の立証は一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるとして、因果関係を否定した原判決を破棄しました。「裁判官は,特定の事実が特定の結果発生を招来した関係について,高度の蓋然性があるとの心証を抱いたときは,因果関係を認定することができる」という肢は正しいです。医薬品の被害を訴える多数の原告の事例で、判例の基準をそのまま述べた肢(因果関係は個々の原告ごとに立証し、その立証は高度の蓋然性の証明で足りるという肢)も正しいです。なお、証明責任を負う側は裁判官の心証を確信まで引き上げなければなりませんが(本証)、相手方は確信に至るのを妨げれば足ります(反証)。どちらが証明責任を負うかは、証明責任の分配の語で扱います。

病院の診察室を背景にした法廷の場面。左に小さく病院のベッドと点滴の絵(人物は描かない)、右に裁判官席の先生(札「裁判所」)。先生の手元の紙に「一点の疑義も許されない自然科学的証明」と書かれ、そこに×印。その下の紙に「高度の蓋然性(通常人が疑

民事訴訟法188条

疎明は、即時に取り調べることができる証拠によってしなければならない。

民事保全法13条2項

保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならない。

最判昭和50年10月24日(ルンバール事件)

訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる。

論文ではこう使う

因果関係が争われる事例(医療過誤・公害・薬害)では、まず因果関係が請求原因事実であり原告が証明責任を負うことを確認します。そのうえで、証明度はルンバール事件の示した高度の蓋然性で足り、自然科学的に一点の疑義もない証明までは要らないことを規範として示します。当てはめでは、時間的近接性、他の原因の可能性の排除、医学的知見などの間接事実を挙げ、経験則に照らして全体として高度の蓋然性があるかを論じます。原告側の立証が困難な事案では、証明度そのものを下げるのではなく、間接事実からの推認や相手方の立証の必要(事案解明)で調整する方向を示すと、判例の枠組みと整合します。

試験ではこう問われる

「証明と疎明・証明度」が短答式でどう出題されてきたか、ひっかけの型7件と関係する過去問の肢9本は、無料のアカウントでログインすると読めます。

読んだあとに、民事訴訟法の肢別演習を

この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。

関連する用語