公示送達(110条〜113条)とは
こうじそうたつ
公示送達とは、送達をすべき場所が知れない場合などに、裁判所書記官が送達すべき書類を保管していつでも交付する旨をインターネットと裁判所の掲示場等で公示し、一定期間の経過によって送達の効力を生じさせる送達の方法です(110条〜113条)。
相手が行方不明になっていると、どんな方法でも書類を手渡せず、訴訟を始めることすらできなくなります。そこで、裁判所が書類を保管していつでも渡せる状態にし、そのことをインターネットと裁判所の掲示場で知らせ、一定期間が過ぎたら届いたものとみなすのが公示送達です。相手は現実には何も知らないので、欠席しても自白したものとはみなさないなど、相手を守るための手当てが組み込まれています。
公示送達は送達場所が知れない場合のほか、書留郵便等に付する送達ができない場合や外国での送達ができない場合にもでき、判決の送達にも使えます
110条1項は、裁判所書記官は申立てにより公示送達をすることができるとし、その場合として、当事者の住所・居所その他送達をすべき場所が知れない場合(1号)、107条1項の書留郵便等に付する送達ができない場合(2号)、外国においてすべき送達について108条によることができず又はこれによっても送達できないと認めるべき場合(3号)、外国の管轄官庁に嘱託を発した後6か月を経過しても送達を証する書面の送付がない場合(4号)を挙げています。「公示送達は,当事者の住所,居所その他送達をすべき場所が知れない場合にのみ認められる」という肢も、「公示送達は,外国においてすべき送達については用いることができない」という肢も誤りです。送達すべき書類に限定はないので、「公示送達は,訴状及び期日呼出状についてのみ行うことができ,判決書の送達は公示送達によることができない」という肢も誤りです。
公示送達は裁判所書記官が申立てにより行い、裁判長の許可は要らず、2回目以降は職権でします
公示送達をするのは裁判所書記官で、申立てがあればすることができ(110条1項)、裁判長の許可の裁判は要りません。「公示送達は、申立てにより、裁判長の許可の裁判を得て、裁判所書記官が行う」という肢は誤りです。裁判所は、訴訟の遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てがなくても書記官に公示送達を命ずることができ(同条2項)、同一の当事者に対する2回目以降の公示送達は職権でします(同条3項)。
インターネットと掲示場の措置を始めた日から2週間で効力を生じ、同じ当事者への2回目以降は翌日に効力を生じます
公示送達は、書記官が書類を保管していつでも送達を受けるべき者に交付する旨などを、不特定多数の者が閲覧できる状態にする措置(インターネットでの公開)をとるとともに、裁判所の掲示場に掲示するか裁判所の端末で閲覧できるようにする措置をとってします(111条)。令和4年改正前は掲示場への掲示だけでした。効力は措置を開始した日から2週間を経過することによって生じ、2回目以降の公示送達は措置を開始した日の翌日に生じ(112条1項)、外国でする送達の公示送達は6週間です(同条2項)。この期間は短縮できません(同条3項)。「公示送達は,裁判所の掲示場に掲示して行い,掲示と同時に送達の効力が生じる」という肢は誤りです。訴状を公示送達した後に判決も公示送達したときは、判決の送達は翌日に効力を生じるので、両方とも2週間で効力を生ずるとする肢は誤りです。
公示送達で呼び出された被告が欠席しても擬制自白は成立しませんが、弁論を終結して判決することはできます
当事者が口頭弁論の期日に出頭しないときは相手方の主張した事実を自白したものとみなされますが、公示送達による呼出しを受けた当事者は除かれます(159条3項ただし書)。現実には訴えを知らない者に自白の効果を負わせるのは酷だからです。「被告が当該期日に欠席したときは,原告の主張した事実を自白したものとみなす」という肢は誤りで、自白したものとみなされることはないとする肢は正しいです。原告は請求原因事実を証拠で証明しなければなりませんが、裁判をするのに熟すれば、公示送達で呼び出された被告が欠席したその期日に弁論を終結することもできます。「被告がその期日に出頭しなかったときであっても,裁判所は,その期日において口頭弁論を終結することはできない」という肢は誤りです。少額訴訟では、公示送達によらなければ被告に最初の期日の呼出しができないとき、裁判所は通常の手続に移行させる決定をしなければならないので(373条3項3号)、この点を問う肢は正しいです。
訴状に書いた解除などの意思表示も、公示送達で相手方に到達したものとみなされます
訴訟の当事者が相手方の所在を知ることができない場合に、公示送達された書類にその訴訟の目的である請求又は防御の方法に関する意思表示が記載されているときは、その意思表示は、111条の措置を開始した日から2週間を経過した時に相手方に到達したものとみなされます(113条)。訴状で契約解除の意思表示をしておけば、公示送達によって解除の意思表示も到達するので、「契約解除の意思表示が被告に到達したことにはならない」とする肢は誤りです。住所を知りながら不明と偽って公示送達を申し立てた原告に対しては、被告は控訴の追完(97条)や再審で争うことができ、この点は期日・期間と呼出しの語と送達の瑕疵の語で扱っています。
民事訴訟法112条1項
公示送達は、前条の規定による措置を開始した日から二週間を経過することによって、その効力を生ずる。ただし、第百十条第三項の公示送達は、前条の規定による措置を開始した日の翌日にその効力を生ずる。
民事訴訟法159条3項
第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。
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