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用語集 / 民法 / 財産分与

財産分与(768条)とは

ざいさんぶんよ

民法 親族・相続

財産分与とは、離婚をした者の一方が相手方に対して財産の分与を請求することで(768条1項・771条)、協議が調わなければ離婚の時から5年以内に家庭裁判所に協議に代わる処分を請求でき、家庭裁判所は婚姻中の財産の取得・維持への寄与の程度その他一切の事情を考慮して分与の可否・額・方法を定めます(同条2項・3項)。

離婚するとき、結婚中に夫婦で築いた財産は名義にかかわらず分け合うのが公平です。これが財産分与で、離婚後に生活に困る側を支える意味や、慰謝料の意味を込めることもできます。話合いがまとまらなければ、離婚から5年以内に家庭裁判所に決めてもらいます。財産分与は内容が決まるまでは金額がはっきりしないので、それを当てにして他人の財産に手を出すことはできません。また、借金を逃れるために財産分与の名目で過大な財産を移すと、債権者から取り消されることがあります。

家庭裁判所の調停室の場面。テーブルの上に、夫名義の家と預金通帳の模型が置かれている。女性(札「元妻」)が「名義は夫でも、二人で築いた財産です」と言い、男性(札「元夫」)が腕を組んでいる。先生が調停委員役(札「家庭裁判所」)で座り、吹き出し「

財産分与は婚姻中の財産の清算と離婚後の扶養を目的とし、相手方が有責でなくても請求でき、過当に負担した婚姻費用の清算も含められます

判例は、財産分与の制度は、夫婦が婚姻中に有していた実質上共同の財産を清算分配し、かつ、離婚後における一方の当事者の生計の維持をはかることを目的とするものとしています(最判昭和46年7月23日)。「離婚後における一方の当事者の生計の維持を図ることを目的としてもすることができる」という肢は正しいです。財産分与請求権は相手方に離婚について有責不法の行為があったことを要件としないので(最判昭和31年2月21日)、「相手方が離婚につき有責でない場合であっても、財産分与を請求することができる」という肢は正しいです。裁判所は一切の事情を考慮して分与の額と方法を定めるので(768条3項)、当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付も含めて定めることができます(最判昭和53年11月14日)。「過当に負担した婚姻費用の清算のための給付を含めて財産分与の額及び方法を定めることができる」という肢は正しく、「婚姻費用の清算のための給付を考慮することができない」という肢は誤りです。

  • 清算の要素婚姻中に夫婦が協力して得た財産を分ける。寄与の程度は明らかに異ならなければ等しい(768条3項後段)
  • 扶養の要素離婚後の一方の生計の維持(最判昭和46年7月23日)
  • 慰謝料の要素含めることもできる。含めなければ別に慰謝料を請求できる
  • 婚姻費用の清算過当に負担した分を含められる(最判昭和53年11月14日)

財産分与が損害賠償の要素を含む趣旨と解されなければ、別に不法行為を理由として離婚の慰謝料を請求できます

財産分与は夫婦財産の清算と扶養を主眼とする制度で、離婚の慰謝料は相手方の有責不法な行為による損害の賠償なので、両者は性質が違います。判例は、財産分与がされても、それが損害賠償の要素を含めた趣旨と解されないか、含めたとしても請求者の精神的苦痛を慰謝するには足りないときは、別に不法行為を理由として慰謝料を請求することを妨げないとしています(最判昭和46年7月23日)。「別個に不法行為を理由として離婚による慰謝料を請求することを妨げられない」という肢は正しく、「財産の分与を請求した場合には,相手方に対し慰謝料を請求することはできない」という肢は誤りです。

財産分与請求権は協議や審判で具体的内容が形成されるまでは債権者代位の被保全債権になりませんが、形成された後はなります

判例は、離婚によって生ずることあるべき財産分与請求権は一個の私権たる性格を有するものの、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、これを保全するために債権者代位権を行使することはできないとしています(最判昭和55年7月11日)。「協議又は審判その他の手続によって具体的内容が形成されるまでは,これを保全するために債権者代位権を行使することはできない」という肢と「協議又は審判によって具体化されるまではその範囲及び内容が不確定・不明確であるため」代位できないとする肢は正しく、「具体的内容が確定する前であっても、債権者代位権の被保全債権とすることができる」という肢は誤りです。反対に、協議によって具体的内容が形成された後は被保全債権になるので、「これを被保全債権とする債権者代位権の行使が認められる」という肢は正しいです。債権者代位権の要件は債権者代位権の語で扱います。

財産分与は原則として詐害行為になりませんが、不相当に過大で財産分与に仮託した財産処分と認められれば、過大な部分は取り消されます

判例は、離婚に伴う財産分与は、768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為として債権者による取消しの対象とならないとし(最判昭和58年12月19日)、特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度で取り消されるとしています(最判平成12年3月9日)。「財産分与としてされた財産処分は,詐害行為として取り消されることはない」という肢と「不相当に過大であっても、詐害行為として取り消されることはない」という肢は誤りで、債務超過の者の過大な金銭給付の合意について「不相当に過大な部分について,その限度において詐害行為として取り消すことができる」という肢は正しいです。同じ判例は、離婚に伴う慰謝料を支払う合意のうち、負担すべき損害賠償債務の額を超えない部分は新たな負担を生じさせないので取消しの対象にならないとしており、「当該損害賠償債務の額を超えない部分については、詐害行為取消権行使の対象とならない」という肢は正しいです。

銀行の応接室の場面。借金を抱えた男性(札「債務者A」)が、離婚する妻(札「妻B」)に札束の山を渡す書面に署名している。ドアの外から男性(札「Aの債権者X」)がのぞき込んでいる。先生が説明役(札「先生」)で立ち、吹き出し「財産分与は原則として

財産分与の請求期間は離婚の時から5年で、内縁の死亡解消には類推されず、書面によらなくても550条で解除することはできません

協議が調わないとき又はできないときは、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できますが、離婚の時から5年を経過したときはできません(768条2項)。令和6年の改正(2026年4月施行)で2年から5年に延びました。協議による分与に期間の定めはないので、「夫婦の共有財産は,離婚の時から2年以内に分割しなければならない」という肢は出題当時から誤りです。裁判上の離婚では、財産分与は申立てを受けて離婚の判決と一緒に裁判される附帯処分なので、「申立てがあるときに限り、裁判所は、財産分与についての裁判をすることができる」という肢は正しいです。判例は、内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に768条を類推適用することはできないとしています(最決平成12年3月10日)。法律婚でも死亡による解消は相続で処理されるからで、「内縁の妻は,内縁の夫の相続人に対し,財産の分与を請求することができる」という肢と「Aの相続人に対して財産分与を請求することができる」という肢は誤りです。また判例は、離婚に際して財産を分与する約束は離婚協議の一条項で単純な贈与とは違うとして550条を適用しないので(最判昭和27年5月6日)、「書面によらない財産分与契約は、履行の終わった部分を除き、各当事者が解除をすることができる」という肢は誤りです。

民法768条1項

協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

民法768条2項

前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から五年を経過したときは、この限りでない。

最判昭和46年7月23日

離婚における財産分与の制度は、夫婦が婚姻中に有していた実質上共同の財産を清算分配し、かつ、離婚後における一方の当事者の生計の維持をはかることを目的とするもの

論文ではこう使う

論文では、財産分与と詐害行為取消しの場面で使います。財産分与は清算・扶養(・慰謝料)の性質を持ち、分与者の債務の存在も考慮すべき一事情にすぎないから、768条3項の趣旨に反して不相当に過大で財産分与に仮託した財産処分と認められる特段の事情がない限り詐害行為にならず、特段の事情があれば過大な部分の限度で取り消せるとする判例の枠組みで書きます。債権者代位では、具体的内容が形成される前の財産分与請求権は範囲と内容が不確定なので被保全債権にならないことを示します。

試験ではこう問われる

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