普通養子縁組(792条〜817条・要件・効果・離縁)とは
ふつうようしえんぐみ
普通養子縁組とは、縁組の意思を持つ当事者が届出をすることで、養子が縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得し(809条)、実方との親族関係も存続する縁組のことで、養親は20歳以上(792条)、未成年者を養子とするには原則として家庭裁判所の許可が要り(798条)、離縁は協議・裁判などによってできます(811条以下)。
普通養子縁組は、届出だけで親子になれる身近な仕組みで、養子は養親の嫡出子になりますが、実の親との親子関係も残ります。子どもを守るため、15歳未満の子は親などが代わりに承諾し、未成年者を養子にするには家庭裁判所の許可が要ります。ただし孫や配偶者の連れ子を養子にするときは、家庭の中のことなので許可は要りません。結婚している人が未成年者を養子にするときは、夫婦そろって養親になるのが原則です。親子をやめる離縁も、話合いや裁判ですることができます。
養親は20歳以上で、尊属・年長者は養子にできず、縁組は届出によって成立し、縁組の意思がなければ無効です
20歳に達した者は養子をすることができ(792条)、成年年齢が18歳になった後も養親の年齢は20歳のままです。尊属又は年長者は養子とすることができないので(793条)、「養子となるべき者が尊属又は年長者であるときは,これを養子とすることはできない」という肢は正しいです。縁組は婚姻の届出の規定の準用により届出によって成立し(799条・739条)、家庭裁判所の許可は届出の前提にすぎないので、「家庭裁判所の許可の審判があった時に成立する」という肢は誤りです。人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないときは縁組は無効です(802条1号)。「その縁組は無効である」という肢は正しいです。民法は既に養子となっている者が重ねて他の者の養子となること(転縁組)を禁じていないので、「養子は養親と離縁しない限り,他の者の養子になることはできない」という肢(司法2016・2022、予備2022)は誤りです。判例は、他人の子を嫡出子として届け出た虚偽の出生届に養子縁組届としての効力を認めていません(最判昭和50年4月8日)。
15歳未満の者は法定代理人が代わって承諾し、15歳以上の者は未成年者でも自ら縁組でき、法定代理人の同意は要りません
養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が代わって縁組の承諾をします(797条1項)。法定代理人が承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者が他にあるときは、その同意を得なければなりません(同条2項)。「親権者の承諾のほかに監護権者の同意が必要である」という肢は正しく、認知した父が監護者でもない事例で「Dの承諾を得るとともに,家庭裁判所の許可を得る必要があるが,Cの同意を得る必要はない」という肢は正しいです。15歳未満の者の縁組には代諾が必須で、家庭裁判所の許可があっても代諾に代わらないので、「法定代理人が本人に代わってする承諾又は家庭裁判所の許可があれば縁組をすることができる」という肢は誤りです。15歳以上の者は自ら縁組の承諾ができ、法定代理人の同意は要らないので、「17歳の者が縁組をして養子となるには,その法定代理人の同意を得なければならない」という肢と、18歳の者について「その法定代理人が,これに代わって,縁組の承諾をすることができる」という肢は誤りです。判例は、法定代理人でない者の代諾による縁組も、養子が15歳に達した後に追認すれば有効になるとしており(最判昭和27年10月3日)、「満15歳に達すれば,追認することができる」という肢は正しいです。
- 15歳未満(797条1項)法定代理人が代わって承諾(代諾)
- 監護者がいる場合(797条2項)監護をすべき父母の同意も要る
- 15歳以上自ら承諾。法定代理人の同意は不要
- 無権代諾(最判昭和27年10月3日)養子が15歳に達した後に追認できる
未成年者を養子とするには家庭裁判所の許可が要りますが、自己又は配偶者の直系卑属を養子とするときは要らず、後見人が被後見人を養子とする許可は別に要ります
未成年者を養子とするには家庭裁判所の許可を得なければならず、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は要りません(798条)。「自己の孫を養子とする場合には,その孫が未成年者であっても,家庭裁判所の許可を得ることを要しない」という肢は正しく、「配偶者の直系卑属である未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない」という肢は誤りです。遺言で認知された14歳の子を父の親が養子にするときも、子は父の親の直系卑属なので許可は要らず、法定代理人である母の代諾だけで足ります。「少年の母の承諾のみによって少年を養子にすることができる」という肢は正しいです。父母の共同親権に服する子でも祖父母と縁組できるので、「祖父母との間で養子縁組をすることができない」という肢は誤りです。後見人が被後見人を養子とするには、管理の計算が終わるまで、家庭裁判所の許可が要ります(794条)。798条の許可とは趣旨が違うので両方が必要で、「後見人が被後見人を養子とするには,家庭裁判所の許可を得なければならない」という肢は正しく、798条の許可を得れば794条の許可は要らないとする肢は誤りです。
配偶者のある者が未成年者を養子とするには夫婦共同でし、配偶者のある者の縁組には配偶者の同意が要ります
配偶者のある者が未成年者を養子とするには配偶者とともにしなければならず、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は例外です(795条)。「配偶者とともにする必要はないが,配偶者の同意を得なければならない」という肢は誤りで、795条の文言どおりの肢(司法2016)は正しいです。配偶者の嫡出子ではなくその直系卑属(連れ子の子)を養子とするときは例外に当たらないので、「Bとともに養子縁組をすることを要しない」という肢は誤りです。配偶者のある者が縁組をするには、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者が意思を表示できない場合を除き、配偶者の同意が要ります(796条)。配偶者の嫡出子を単独で養子とする場合も同意は要るので、「配偶者の同意を得ることを要しない」という肢は誤りで、配偶者のある者が養子となる場合について796条の文言どおりの肢(司法2010)は正しいです。
- 795条(未成年者を養子とする)夫婦共同。配偶者の嫡出子・配偶者が意思表示できないときは単独可
- 796条(配偶者のある者の縁組)配偶者の同意。共同縁組・意思表示できないときは不要
- 798条未成年者を養子とするには家庭裁判所の許可。自己・配偶者の直系卑属は不要
- 794条後見人が被後見人を養子とするには家庭裁判所の許可(798条とは別)
養子は養親の嫡出子となり実方との親族関係も残り、15歳未満の養子の離縁は離縁後の法定代理人と協議し、死後離縁には家庭裁判所の許可が要ります
養子は縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得し(809条)、養親の親権に服しますが(818条3項)、実方の親族関係は終了しません。「DE間の親族関係は存続するが,CE間の親族関係は終了する」という肢は誤りです。縁組の当事者は協議で離縁でき(811条1項)、養子が15歳未満のときは、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でします(同条2項)。「離縁後にその養子の法定代理人となるべき者と養親との協議によって行う」という肢(司法2012・2022など)は正しいです。15歳以上の養子は自ら協議するので、18歳の養子について「養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議ですることができる」という肢は誤りです。縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をするには家庭裁判所の許可が要り(811条6項)、「家庭裁判所の許可を得て,これをすることができる」という肢と「家庭裁判所の許可を得なければ離縁をすることができない」という肢は正しいです。強迫による離縁の取消しは強迫を免れた後6か月を経過すると請求できないので(812条・747条)、「いつでも家庭裁判所にその取消しを請求することができる」という肢は誤りです。養親が夫婦の場合に未成年の養子と離縁するには夫婦が共にし(811条の2)、夫婦の一方とだけ離縁したときは縁組前の氏に復さないので(816条1項ただし書)、「離縁によって縁組前の氏に復する」とする肢は誤りです。
民法797条1項
養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
民法798条
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。
民法795条
配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
民法811条6項
縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
論文ではこう使う
論文では、他人の子を実子として届け出た「藁の上からの養子」や、代諾権のない者の代諾による縁組の効力の場面で使います。虚偽の嫡出子出生届は要式行為である縁組の届出に当たらず養子縁組としての効力を持たない(最判昭和50年4月8日)一方、無権代諾の縁組は無権代理に準じて養子が15歳に達した後に追認でき(最判昭和27年10月3日)、追認は遡って効力を生じることを示します。
この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。